先日、阿川佐和子さんがテレビ番組「笑っていいとも」で、阿川さんが新幹線「のぞみ」の名付け親だったという話をしていた。当時の新車両(300系)の名前を決める審議会で、ほとんど決まりかかっていた「希望」に対し、阿川さんの言った一言「それを大和言葉で言うと“のぞみ”ですね」で決まったそうだ。その“のぞみ”に先月1日から投入されたのが最新鋭「N700系」だ。JR西日本の社長はN700系の出発式で「最新の鉄道技術を結集した自慢の車両」と言った。高速性を追及した500系、居住性を追及した700系の後継として、高速性と快適性を兼ね備えた、文字通り次世代型ハイテク車両である。そのハイテクを確かめたく“のぞみ26号”の博多−小倉間に乗車してきた。加速力が1.6倍(対700系)に向上(2.6km/h/s)し、“静かで滑るような走り”と“快適さ”に、そのハイスペックを実感してきた。
せっかくだから、乗車の前に写真も撮りたい。時刻表を見ると午前10時45分(13番ホーム)と50分(14番ホーム)に到着する。ひょっとすると、N700系が並んでいる写真が撮れるかもしれないと早めに出かけた。待つことしばし、思惑通り13番、14番に並んだまではよかったが、カメラに広角レンズをつけてないので、端が切れてしまったのが残念だった(写真1)。1.5m長くなった先頭車両はさすがに迫力がある。その形は「エアロ・ダブルウィング」(写真2)と呼ばれる。空気抵抗を極限まで抑え、快適性と省エネを追及していったらこの形になったという。車両の連結部は「全周ホロ」(写真3)で覆われている。触って見ると、硬めのスポンジのような感触だ。16両を一本の車両のようにすることで、空気抵抗とデッキ内の騒音を減らすのである。東海道新幹線のR2500の曲線走行時の「車体傾斜システム」は最新鋭と言うに相応しい技術だ。「N700系」のキャッチコピーは「最新技術という、おもてなし」である。
N700系は次期主力として、今後順次「のぞみ」に投入されていくが、JR東海の社長は「東海道新幹線は、技術的にも、輸送力の面でも最高水準に達し、限界に近いところまできている」と指摘する。東北新幹線のファステックは、360km営業運転を目指していたが、騒音やメンテ費用などの兼ね合いで、320kmになった。フランスのTGV東ヨーロッパ線も320kmで開業したのを考えれば、やはりこのあたりのスピードが一応の限界なのかもしれない。これを打ち破るべく登場するのが「リニア」である。「リニア」と言えば愛知万博で活躍した「リニモ」を思い出すが、これは常電導で最高速度100km/hだった。JR東海が最近発表した計画は、2025年に超電導で時速500km/h営業運転を目指すというものだ。中央新幹線(東京〜山梨〜名古屋〜奈良〜大阪)約500kmを1時間で走る計画だという。開発に着手してほぼ半世紀、実験線では世界最高の581kmを出している。鉄道ファンならずとも夢が広がる。
2011年の九州新幹線全線開通と同時開業を目指して新博多駅ビルの工事も本格化している(写真4)。一日約千本の列車と約40万人の客が行き交う博多駅の大改装である。新博多駅が完成すれば、今の約7倍になるという。阪急百貨店に続いて東急ハンズの出店が決まった。特に東急ハンズの開店は楽しみだ。博多郵便局も駅に隣接する新郵便局ビルを一体開発する。周辺地区全体として新駅ビル開業を契機に魅力ある街に生まれ変わろうとしている。一体開発のキーワードは「博多」にありそうだ。これを生かさなければ駅名をあえて「博多」にしている意味がない。要するに二つ目の天神をつくっても魅力はないということだ。このところ好調な決算をしているJR九州だが、営業基盤は本州3社に比べればその差は歴然である。山陽新幹線との「N700系」相互乗り入れも含め、先行投資がきつそうだが、それだけに鹿児島ルート全線開通と新駅ビル開業よる増収効果にかける期待は大きいようだ。