次世代新幹線
「 N700系 」に乗る

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FileNo.070803

先日、阿川佐和子さんがテレビ番組「笑っていいとも」で、阿川さんが新幹線「のぞみ」の名付け親だったという話をしていた。当時の新車両(300系)の名前を決める審議会で、ほとんど決まりかかっていた「希望」に対し、阿川さんの言った一言「それを大和言葉で言うと“のぞみ”ですね」で決まったそうだ。その“のぞみ”に先月1日から投入されたのが最新鋭「N700系」だ。JR西日本の社長はN700系の出発式で「最新の鉄道技術を結集した自慢の車両」と言った。高速性を追及した500系、居住性を追及した700系の後継として、高速性と快適性を兼ね備えた、文字通り次世代型ハイテク車両である。そのハイテクを確かめたく“のぞみ26号”の博多−小倉間に乗車してきた。加速力が1.6倍(対700系)に向上(2.6km/h/s)し、“静かで滑るような走り”と“快適さ”に、そのハイスペックを実感してきた。

せっかくだから、乗車の前に写真も撮りたい。時刻表を見ると午前10時45分(13番ホーム)と50分(14番ホーム)に到着する。ひょっとすると、N700系が並んでいる写真が撮れるかもしれないと早めに出かけた。待つことしばし、思惑通り13番、14番に並んだまではよかったが、カメラに広角レンズをつけてないので、端が切れてしまったのが残念だった(写真1)。1.5m長くなった先頭車両はさすがに迫力がある。その形は「エアロ・ダブルウィング」(写真2)と呼ばれる。空気抵抗を極限まで抑え、快適性と省エネを追及していったらこの形になったという。車両の連結部は「全周ホロ」(写真3)で覆われている。触って見ると、硬めのスポンジのような感触だ。16両を一本の車両のようにすることで、空気抵抗とデッキ内の騒音を減らすのである。東海道新幹線のR2500の曲線走行時の「車体傾斜システム」は最新鋭と言うに相応しい技術だ。「N700系」のキャッチコピーは「最新技術という、おもてなし」である。

N700系は次期主力として、今後順次「のぞみ」に投入されていくが、JR東海の社長は「東海道新幹線は、技術的にも、輸送力の面でも最高水準に達し、限界に近いところまできている」と指摘する。東北新幹線のファステックは、360km営業運転を目指していたが、騒音やメンテ費用などの兼ね合いで、320kmになった。フランスのTGV東ヨーロッパ線も320kmで開業したのを考えれば、やはりこのあたりのスピードが一応の限界なのかもしれない。これを打ち破るべく登場するのが「リニア」である。「リニア」と言えば愛知万博で活躍した「リニモ」を思い出すが、これは常電導で最高速度100km/hだった。JR東海が最近発表した計画は、2025年に超電導で時速500km/h営業運転を目指すというものだ。中央新幹線(東京〜山梨〜名古屋〜奈良〜大阪)約500kmを1時間で走る計画だという。開発に着手してほぼ半世紀、実験線では世界最高の581kmを出している。鉄道ファンならずとも夢が広がる。

2011年の九州新幹線全線開通と同時開業を目指して新博多駅ビルの工事も本格化している(写真4)。一日約千本の列車と約40万人の客が行き交う博多駅の大改装である。新博多駅が完成すれば、今の約7倍になるという。阪急百貨店に続いて東急ハンズの出店が決まった。特に東急ハンズの開店は楽しみだ。博多郵便局も駅に隣接する新郵便局ビルを一体開発する。周辺地区全体として新駅ビル開業を契機に魅力ある街に生まれ変わろうとしている。一体開発のキーワードは「博多」にありそうだ。これを生かさなければ駅名をあえて「博多」にしている意味がない。要するに二つ目の天神をつくっても魅力はないということだ。このところ好調な決算をしているJR九州だが、営業基盤は本州3社に比べればその差は歴然である。山陽新幹線との「N700系」相互乗り入れも含め、先行投資がきつそうだが、それだけに鹿児島ルート全線開通と新駅ビル開業よる増収効果にかける期待は大きいようだ。


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“0系”新幹線こだま 新幹線:博多総合車両所 鉄道関連の古い新聞記事
(1)並んだN700系 (2)エアロ・ダブルウィング (3)全周ホロ (4)工事中
西日本鉄道が去年(2006年)から営業運転している「3000形」が鉄道友の会が選ぶ2007年の「ローレル賞」を受賞した。「ローレル賞」は最高賞の「ブルーリボン賞」につぐ賞で、車両の性能やデザインが優れているものに授与される。写真を撮りたいと、西鉄の案内嬢に運行状況を聞くと、「○時○分に○番ホームに入ります」とすぐ教えてくれた。明るく丸みのあるデザインが、西鉄のコーポレートカラーによく合っている。因みに「ブルーリボン賞」は、富山の「ライトレール」で「ローレル賞」はもう一つ、JR東日本の「E233系」も受賞している。
博多駅の新幹線
0系 100系 500系・300形 700系レールスター
新幹線800系つばめ (2008・02・21新八代駅にて)
2009/08/01 西日本新聞より
つばめ 金箔の装い
 JR九州は31日、九州新幹線「つばめ」の現行車両を改良した新800系(6両1編成)が完成したと発表。客室を仕切る壁に金箔(きんぱく)を張るなど、日本の伝統技術を織り交ぜ、「和風」の趣を強調した内装デザインを公表した。
 鹿児島や宮崎産の木材を使用した車内は一部が金箔で装飾されているほか、トイレや電話室ののれんにい草や久留米絣(かすり)を用いるなど、九州の工芸品もふんだんに使用。座席シートは、西陣織など車両ごとに変えている。
 8月20日に有料の「体験ツアー」で初運行した後、22日から営業運転に入る。



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平成19年(2007年)12月20日 西日本新聞
「夢の超特急」来秋(2008年秋)お別れ:0系新幹線廃車へ(JR西日本)
 JR西日本は、1964年に世界最速列車として登場、今も山陽新幹線(新大阪−博多)で走る初代新幹線「0系」を来年秋、すべて廃車することを決めた。20日に発表する。日本の高度成長期を象徴した「夢の超特急」の元祖が姿を消す。廃車の理由は、老朽化と最新型の「N700系」登場などによる世代交代。だが根強いファンも多く、当然の時代の流れとはいえ「寂しい」との声も上がりそうだ。
 0系は東京五輪が開催された64年10月、東海道新幹線開業と同時に「ひかり」「こだまとしてデビュー。独特の先頭形状で親しまれた。最高時速は210kmで、東京−大阪を3時間10分で結び、それまでの在来線による6時間半を大幅に短縮。86年にはさらに10km速くなり3時間を切った。
 国鉄末期の86年3月までに3216両が製造されたが「100系」「300系」など新型に押され、1999年9月に東海道区間から引退。現在はJR西が6編成計36両を、山陽区間の「こだま」として運用している。ことし7月にN700系が登場。「のぞみ」として使われていた500系の一部をこだまに転用することになり、0系の廃車が決まった。


浮上式鉄道(リニア)宮崎実験センター
(オレンジカード)JR九州1987年8月

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