ゼロバランス理論 異次元からの制御 異次元からの制御 2 異次元からの制御 3 異次元からの制御 4
映画「デジャヴ」と
   “異次元の世界”

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FileNo.070416

フェリー爆破事件の1時間前に現場付近で女性の死体が発見された。ATF(アルコール・たばこ・火器局)の敏腕捜査官のダグは、この美しい女性クレアに、なぜかデジャヴを感じた。この映画のパンフレットには【デジャヴ(既視感)】についてこう書いてある。・・・初めて体験することなのに、以前どこかで体験したような、あの奇妙な感覚・・・説明不可能なこの現象は、果たして何を意味するのか・・・。捜査のために“はじめて”訪れたクレアの部屋には、何故かダグの指紋、血痕が残されていた。留守電に残されていた自分自身からのメッセージに呆然とするダグ。ストーリーは、「過去」と「現在」がからみあい複雑な展開になる。今まで見たことのないカーチェイスシーンもある。装着したゴーグルに映る“過去(雨の夜)を走る車”をダグの運転する“現在(朝のラッシュ)を走る車”が激しく追跡する。この映画の設定ならではの斬新なシーンだった。敏腕捜査官ダグを演じるのはデンゼル・ワシントン。撮影場所は「カトリーナ」で大きな被害に遭ったニューオーリンズである。

この映画で“時空”に関して最も重要なのが、FBIの特殊捜査班が持つ監視システムだ。「タイム・ウィンドウ」に映しだされているのは、ビデオではなくリアルタイムで進行中の過去だった。ダグはモニターに映るクレアが、ダグの指したレーザー・ポインターに反応したことで、これは単なる映像ではないことを見破る。それは時空を折り曲げ、離れた時空の2点間をリンクした本物の過去の様子だった。つまり、ワームホール越しに、リアルタイムで進む“4日と6時間前”の過去を覗いていたのである。このシステムを使い、メモを過去に送ったことでダグの相棒は死ぬ。さて過去を変えたらどうなるのか。時空をテーマにすると必ず出てくる問題だ。クレアの部屋のボードに残されていた「U CAN SAVE HER」のメッセージ。ダグは反対を押し切って過去へ行く。このシステムは「生機能」を破壊する可能性のあるもので、文字どうり命がけのタイムスリップになる。だが、それを承知でクレアを助けに行くほど、ダグは彼女を愛してしまった。

私は以前から“異次元からの制御”という考えを持っている。前提は「“異次元からの制御”によって未来は変えられる」である。いい機会なのでイメージをまとめてみた。まずは異次元への出入りであるが、当然時間軸を破らなければならない。これが可能な人は、元々これを破る能力の備わった人や未来への強烈な願望のある人だ。次に異次元から自分の命運を確認する訳だが、それは制御前の命運であるから、制御後には消えてしまう。つまり、パラレルワールドは存在しない。我々の宇宙に関係のない、全く別の宇宙は存在するかも知れないが、我々の存在する世界は一つだけだと思っている。“異次元からの制御”はエネルギー効率の一番いい「現在」において実行する。制御のポイントが現在に到来した瞬間にコントロールする。エネルギー効率がいいと言っても、当然それなりのエネルギーを要する。そのエネルギーは、それに対応するマイナスエネルギーでつくり出す。つまりエネルギーのトータルは“ゼロ”でバランスしなければならない。詳しくは下の概念図を見て欲しい。

SF映画「バック・トウ・ザ・フューチャー2」では2015年から現在(1985年)に戻ると、ビフの君臨する荒廃した世界になっている。ドクはこう言う「時の流れが突然方向を変えて、別の1985年をつくった」。そこでマーティは、2015年に戻って元の世界を取り戻そうと言うが、ドクが「だめだ、この時点から未来へ旅すると、こっちの(荒廃した)流れの未来に行ってしまう」ということで、更に30年過去に戻って、支流の出来た1955年で修正し、本流を維持しようとする。今回の映画では、本流で死んだクレアを助ける訳だから、逆に支流の世界を生かすことが前提になる。つまり、支流が本流になり、それまでの本流は消える。私の考える“異次元からの制御”は「現在」で流れを変えるという点で違いはあるが、制御後の流れが本流になる点では一致する。歴史はひとつである。最後に「時間」にどう向き合うべきかは重要だ。原田知世主演の映画「時をかける少女」で、2660年の未来から来た薬学博士が、未来へ戻る時にこう言う。「時間は過ぎていくものじゃない。やってくるものなんだ」

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STORY
監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、 ポーラ・パットン
アメリカ・ニューオーリンズ。ミシシッピー川で543名の犠牲者を出すフェリー爆破事件が発生した。悲惨な現場で出会ったクレアという女性の遺体に「デジャヴ」を感じたATFの敏腕捜査官ダグ。捜査の為にはじめて訪れたクレアの部屋には、なぜかダグの指紋、血液、ダグ自身の留守電メッセージが残されていた。ダグはその捜査ぶりから、FBIの特別捜査班に誘われる。そこにあったシステムは、4日と6時間前の過去が時空を越えてつながっていた。

私の考える「異次元からの制御」のイメージ        (大きい画像へ)



1983年「時をかける少女」(監督:大林宣彦、主演:原田知世)より

 
・・・予期したとおり、地震と火事が起きたことを確認して、家に帰る途中の会話・・・

和子 「テレポーテーション?」
一夫 「超能力の一種で、別の場所に身体が移動できるんだ」
和子 「でも私の場合は、時間も逆戻りしちゃったんだよ」
一夫 「それはタイム・リープだ。時間を跳躍できる能力なんだ。つまり君はテレポーテーションとタイムリープを同時に行うことが出来る能力を持ってしまったとしか考えられない」


1989年「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」より

 ・・・ジェニファーが未来の自分に合わないようにドクとマーティは取り戻そうとする・・・

ドグ 「まず第一に30年後の自分を見たとき、ショックで気絶してしまう可能性大。次に、そのためにタイムパラドックスが生じ、その結果連鎖反応が起きでもしたら、時空連続帯を乱されて、この宇宙全体を破壊してしまうかもしれない。だが、それは最悪の場合で、運がよければこの銀河系の破壊だけで済むかもしれん」



新しいテレビドラマで「プロポーズ大作戦」という番組が始まった。このドラマはストーリー設定が面白い。好きな彼女(長澤まさみ)が他の男(藤木直人)と結婚する。その結婚式場で、自分(山下智久)は本当に彼女が好きだったことに気づく。出来ることなら過去に戻ってやり直したい。彼女が他の男と結婚してしまうことを後悔する。そこへ何やら怪しい妖精(三上博史)が現れて、昔の写真の時点へ戻してやると言う。一つの写真に一回だけ戻れる。最初に戻ったのは、高校野球の予選試合の場所。心と身体は、現在のままタイムスリップするので、その時の場面がどう展開するのか、どういう結果が待っているのかは分っている。そこで自分がどう動いて、どう過去を変えれば、今、彼女の横に新郎として座ることが出来るのか、という挑戦が始まる。意外に主導権は礼が握っていて、妖精と組んで、タイムスリップで過去を変えさせようとしている、というのも悪くない。最後はどうなるか分らないが、もし過去を変えたことで現在が変わるなら、パラドックスをどう解決するかが楽しみだ。しかし、コメディなので無条件に“めでたし、めでたし”で終わるのかもしれない。