先日、日米外務防衛担当閣僚会議(2+2)が日本で開かれた。バイデン政権の閣僚初の外国訪問である。更に、4月に予定されている日米首脳会談は、ホワイトハウスに招かれる最初の賓客として菅首相が訪米の予定である。日米同盟が重視されていることの表れだ。軍事力を背景に、力による現状変更を試みる中国の傍若無人ぶりは目に余る。バイデン政権は、アジア重視の方針を打ち出し「開かれたインド太平洋構想」の実現に向け、クワッドやASEAN諸国との連携強化を図る。その基軸となるのが日米同盟である。日米首脳会談の共同文書には、海警法の施行で危機感を深める尖閣諸島や台湾海峡についても盛り込まれる。中国は尖閣諸島を台湾の一部とみなしている。台湾有事は即ち日本の有事である。
中国がこれだけ傍若無人の振る舞いをする背景には、東アジアにおいてアメリカの軍事力と肩を並べるまでになった自信がある。2027年には人民解放軍創建100年を迎える。その時の成果として台湾の統一がある。今後更に「強軍路線」を加速させアメリカを抜こうとしている。すでに迎撃困難な極超音速滑空兵器を搭載したアメリカ本土射程の弾道ミサイルの配備も始めているという。アメリカのインド太平洋司令官は「中国は今後10年間に核兵器を少なくとも2倍に増やすだろう」と言っている。すでに東アジアでは米中の軍事力が逆転したとの見方さえある。日本が中国に侵略されれば、即ウィグル自治区やチベットに見る人権無視の残虐な行為が日本でも繰り広げられることになる。
左翼・西日本新聞の社説は「日米の対中政策」についてこう書いている。『中国のけん制に偏重して不要に緊張を高めてはならない。中国との共存を図り地域の安定資する民主主義の結束を図るべきだ。・・・日本は双方(米・中)の出方を見極め、緊張を緩和する戦略も独自に描きたい』。典型的な左翼思想である。一方、読売新聞の社説はこう書いている。『中国の軍拡により米軍の抑止力が崩壊しつつある。インド太平洋で軍事バランスが崩れれば、日本への影響は深刻だ。日本周辺で起こりうる様々な事態を想定して国家安全保障会議で日本としてなすべき対策をしっかり議論しておくべきだ』。左翼・西日本新聞は、中国を刺激せず、米中の顔色をうかがいながら、うまく立ち回れと言っている。これに対し、読売新聞は、切迫感を持ってなすべき対策をしっかり議論しておけと言っている。
今の中国は共産党の一党支配ではない。共産党の上に習近平が君臨している。習近平の専制君主国家である。先ごろ開かれた中国全人代でも、習近平思想を指導思想とするとして、全人代の制度もこれに従うということになっている。中国における習近平カリスマ化の野望に向かって、周辺少数民族の同化、香港の支配の次に最終目標の台湾統一へと突き進む。軍事力と経済力を背景に、今や中国のやることはすべて正しく、米国やNATO諸国がどんなに非難しようと、中国の内政問題だと一向に気にしていない。そんな中国に対して、最前線に位置する我々日本国民はどうあるべきか。中国の侵略による第2のウィグルやチベットのような悲惨な迫害を受けないためにも、国家主権を守る強い覚悟が求められている。
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