日本のロケット | 随筆のページへ トップページへ file-No. 020720 |
先日、航空宇宙技術研究所は、次世代超音速旅客機(SST)初の飛行実験を行った。ところが、ロケットに乗せた実験機が発射直後に落下し失敗に終わった。次世代SSTは、乗客300人を乗せ、航空距離もジャンボジェット機並の能力を持つ超音速旅客機である。マッハ2以上の速度で、東京−ロサンゼルス間を5時間で飛ぶ能力を持つ。実験に失敗はつきものである。失敗は次の実験の糧とすればいい。(というには高価ではあるが・・・)
私は、小学生の頃からロケットや宇宙開発にかなり興味があった。当時、アメリカとソ連はそれぞれの威信をかけて宇宙開発に力を注いでいた。ソ連が人工衛星「スプートニク」を打ち上げれば、アメリカも負けじと「エクスプローラー」を打ち上げた。一方日本では糸川英夫教授が、日本海に向けて「カッパ・ロケット」を打ち上げた。「カッパ」というネーミングが良かったのか、誰もが知るロケットとなった。新聞を切り抜きにも熱が入った。このあと「カッパ(K)」「ラムダ(L)」「ミュー(M)」と進化していく。やがてソ連は、宇宙飛行士を誕生させ、アメリカは「アポロ11号」を打ち上げる。
時は半世紀を超え、今年の5月、宇宙開発事業団が開発した「AMSR−E」を搭載したロケットが打ち上げられた。この「AMSR−E」は地球環境変動のメカニズムの解明を目的としている。更に今年の秋には、鯨生態観測衛星「観太くん」を純国産ロケットH2Aで打ち上げる予定である。このプロジェクトはクジラの生態のみならず、海洋汚染や地球温暖化など環境変化のデーターを、クジラに取り付けた発信器で収集し、観測衛星経由で取得分析するという。折りしも気象庁は、世界の天候に影響を及ぼす「エルニーニョ現象」が既に発生している可能性が高いと発表した。先月は平年差がプラス0.9度に達し、少なくとも来年1月まではこのような状態が続きそうだ。環境問題が、地球的規模の問題となった今、対応もまた地球的規模が必要である。「AMSR−E」や「観太くん」の活躍が期待される。
糸川教授が、ロケットの研究に取り組んだときの夢は「ロケットで超音速、超高層を飛ぶ輸送機」だった。教授によって始まった日本のロケット技術は、内之浦から打ち上げた日本初の人工衛星「おおすみ」を経て、今や世界に君臨するまでになった。私がその昔、新聞切り抜きをしていた時代から隔世の感があり感慨深い。
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(2005/02/26 H2A7号機打ち上げ成功:西日本新聞より) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
H2A ロケット7号機 |
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昭和33年(1958年) 中学生の友1年 9月号(小学館) 掲載 | |||||||||||||||||||||||||||
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平成17年6月29日 西日本新聞 |
気象衛星ひまわり復活・・・新型6号の運用開始 |
気象庁は、2月に打ち上げられた運輸多目的衛星ひまわり6号を使った気象観測の正式運用を28日正午から開始した。 日本の気象衛星は1999年、ひまわり5号の後継機の打ち上げに失敗。2003年からは米国の衛星ゴーズ9号を使う綱渡り状態が続いてきた。約2年ぶりに日本の気象衛星を使った観測の復活となる。 同日正午に公開された画像には、新潟県内などで大雨をふらせている梅雨前線がはっきりと撮影されており、気象庁は「運用は順調にスタートした」としている。 ひまわり6号が撮影した画像は、アジアや西太平洋地域26の国・地域の気象機関などにも配信。撮影間隔は従来より短縮され、台風や集中豪雨時観測制度の向上が期待されている。 ひまわり6号の撮影画素数は5号の約8千万画素に対し、約1億3千万画素に向上。センサー増強などにより、夜間の霧や下層雲の撮影も可能になるという。 気象庁は、ひまわり6号の安定運用が確認される7月中旬まで、ゴーズ9号を使った観測も続ける方針。 |
平成17年(2005年)7月11日 西日本新聞 |
M5ロケット打ち上げ・・・衛星分離、命名「すざく」 (鹿児島・内之浦) |
宇宙航空開発研究機構は10日午後零時半、エックス線天文衛星「アストロE2」を搭載したM5ロケット6号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から打ち上げた。約20分後に衛星を分離。予定のだ円軌道に投入され打ち上げは成功した。同機構は衛星を「すざく」と命名した。M5ロケットの打ち上げは2003年5月、小惑星探査衛星を搭載した5号機以来、約二年ぶり。 日本で5番目のエックス線天文衛星となる「すざく」は2000年2月、打ち上げに失敗したM5ロケット4号機に搭載していたアストロえの代替機。全長6.5メートル、重量1.7トンで、日本の科学衛星で最大級。エックス線によるわずかな温度上昇を検出するマイクロカロリーメーターを世界で初めて搭載したほか、エックス線CCDカメラなど世界最高水準機器を装備。天体からのエックス線をとらえブラックホールの構造や宇宙の形成過程解明の手がかりを探る。 |
M5ロケット 探査・観測機など科学衛星打ち上げのために開発された世界最大の固体燃料ロケット。1990年に文部科学省宇宙科学研究所(当時)がM3S2ロケットの後継機として開発をスタート。全長30.8メートル、直径2.5メートル、重さ140.4トン。1号機は97年に打ち上げ成功。2000年の4号機は第1段モーターの不具合で衛星の軌道投入に失敗したが、03年には改良した5号機で小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げに成功した。 |
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平成17年(2005年)8月23日 西日本新聞 |
超音速旅客機の開発へ実験再開・・・・来月にも宇宙機構 |
宇宙航空開発機構(宇宙機構)は22日、次世代の超音速旅客機(SST)の開発に向け、小型無人機の飛行実験を早ければ9月に行うと発表した。予算は2回の実験で計125億円。実験機は長さ11.5メートル、幅4.7メートルで、重さは約2トン。 オーストラリア南部のウーメラ実験場から、ロケットで高度約20キロに打ち上げ、グライダーのように滑空させ、音速の2倍の速度を達成。機体の500ヶ所に取り付けたセンサーで、表面の摩擦や圧力などのデータを集める。機体はパラシュートで着陸させる。 2002年の第一回飛行実験は、一機約10億円の実験機が発射直後にロケットから落下して失敗。ジェットエンジンを組み込んだ次の実験に進む計画は凍結され、日本のSST開発は頓挫した。宇宙機構は、対策を講じて臨む再挑戦で、開発機構の再復活を目指す。宇宙機構の泉耕二航空プログラムディレクターは「成功させ、再びジェット実験機での飛行を提案したい」と言っている。 SSTをめぐっては6月、日本とフランスの航空機業界が、開発に向けた共同研究を行うことで合意。宇宙機構はこれに今回の実験結果の提供を含めた技術協力を検討している。 |