「鉄腕アトム」の時代に生きる 映画「アイ・ロボット」を観て

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10万馬力で自由に空を飛び回り、悪に立ち向かうロボット「鉄腕アトム」の誕生日は20034月7日だった。ロボットではあるが、自分で考え、行動する高度の知能を備えている。それどころか「人権」をも認められているという。アトムの誕生日を記念して某市では住民登録をするそうだ。高度の人工知能と言えば、スタンリー・キューブリックの名作「2001宇宙の旅」に出てくる、「HAL9000」であろう。人間と戦う人工知能コンピュータで、読唇術まで持っている。更に、ネコ型ロボットの「ドラえもん」に出てくる「タイムマシン」が出来たのは2008らしい(?)。これらを比べてみると、いづれもほぼ時を同じくしており、すべて21世紀初めということになる。

今をさかのぼる事40年、私がまだ高校時代の事だった。学校で「ファクシミリ」のデモンストレーションがあった。まだ実用段階ではなく、理論を証明してみせるといった感じだった。左右に円筒形のドラムがあり、その二つのドラムが線でつながっている。一方のドラムには原稿を、もう一方には記録紙が巻きつけてある。スイッチを入れると、左右のドラムが同じ速さで回り、地震計の針みたいなもので端から順次原稿を読み取っていく。その信号をもう一方が受けて同じような針で記録紙を焼いていく。記録紙の焼ける臭いとともに、原稿と同じものがゆっくり現れてくる。感動であった。「アトム」が登場したのは1952年、「2001年宇宙の旅」は1968年、「ドラえもん」は1969年である。私がファクシミリの原型に感動していた頃のことである。

さて、2003年現実のロボットはどうであろうか。戦争になるとピンポイント攻撃で脚光をあびる「トマホーク巡航ミサイル」は、攻撃先を記憶し、発射されると正確な自分の位置を把握しながら、途中の地形を正確に読み取り、目標の数メートル以内に着弾する。一種の人工知能ロボットと言える。人間型ロボットでは「二足歩行ロボット」が現代のロボット技術の最先端と言えるだろう。テレビのCMにも出てくるロボットは、駅の階段をトロトロ下りてきて、結局電車に乗り遅れてしまう。だがこの技術は、何年か前までは、実現は困難とされていた高度な技術らしい。我々素人の感想を聞けば、開発した人は嘆くだろうが、アトムやHALには遠く及ばないのが現実の技術水準である。

では近未来はどうであろうか。先日、テレビでサイエンススペシャル「未来予測学会」という番組を総合司会タモリさんで放映していた。この番組は「最新の技術と理論を元に大胆に未来を予測するエンターテインメントプログラム」というふれ込みで数日にわたって放映された。詳細は最後に記載するが、その一部は次のとおりである。

自動車

2025

空飛ぶ自動車(スカイカー)が自由に飛び回る

マンション

2023

1000mの超高層マンション出現。20万人が住み、一つの都市となる。

これはすごい!!手を伸ばせば届きそうなところに、自動車が空を飛びまわり、1000メートルの超高層マンションに住む時代があるという。しかもこれは荒唐無稽な「たわごと」ではない。それなりに科学的根拠をもって大胆に予測した結果なのである。

漫画や映画の作者は、わずか30年〜50年で、高度の人工知能やタイムマシンが活躍する未来を想定した訳である。我々は今、まさにその未来に生きている。ついこの間、ミレニアムだ新世紀だとお祭り騒ぎをしたが、通り過ぎてしまえば、昨日に続く今日であり、今日に続く明日であった。しかし、作者のイメージしたのは、単なる年数ではないような気がする。それは、「21世紀」という新しい「科学の世紀」に夢を託したに違いない。近未来にはすばらしい世界が待っていると、我々に夢を与えてくれたのである。TVの「未来予測学会」の大胆な予測も、「ええ〜、本当?」などと言わず、夢を持って受け止め、その日が来るのを楽しみにしたいものである。

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未来予測学会(FNSサイエンススペシャル)H1502
この番組は最新の技術と理論を元に大胆に未来を予測するエンターテインメントプログラムである。

自動車

2015

空飛ぶ自動車の販売開始

2025

空飛ぶ自動車(スカイカー)が自由に飛び回る

マンション

2023

1000mの超高層マンション出現
20万人が住み、一つの都市となる。周辺は緑地化

日帰り海外旅行

2016年以降

超音速旅客機「ハイパーX」。
マッハ10のスピード(時速8000km
東京−ロス間、2時間

埋込み型携帯電話

2007

歯の中に埋め込む携帯電話。骨伝導方式

マンモスの復活

2005

赤ちゃんマンモス誕生。ペットライフの新たな時代

ハゲ

2011

ハゲがこの世からなくなる。

オリンピック

2008

スーパーヘモグロビンを輸血したランナー出現。
マラソンで1時間30分を切る。(現在2時間5分)

ガン

2012

ガン克服
 医療用のリモートコントロールドリルによるガン手術。
  ガン組織を内側から焼き殺す。

  ガンの増殖をとめる画期的な方法
カゼのアデノウィルス→遺伝子操作で無害化し、ガンの細胞の中だけで増殖し破壊させる。

ダイエット

2013

いくら食べても太らない

燃料

2016

石油価格急上昇。日本は「メタンハイドレード(Co2が少ない)実用化。天然ガスとして供給

2043

日本が世界一の金持ち大国になる。

火星移住計画

2040

有人探査

2055

NASAの隊員が火星の基地で暮らす。

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追伸:平成16年2月 前回放映からちょうど一年。タモリさん司会の未来予測学会が、更に新しい事実に基づいて放映された。新事実や修正された内容は次のとおり。尚、(訂正)は前年放映を新事実により訂正したもの。

2420年 人類の寿命が400才になる シマリスの持つ「冬眠たんぱく質」を人間に応用。2020年にはその利用を開始。
2050年 小型化人類誕生 50年後世界の人口90億人の食糧問題を解決するための発想の転換。
2029年 1泊2日、88万円の宇宙旅行が実現 新素材「カーボンナノチューブ」で地球と宇宙ステーションを結ぶ「スペースエレベーター構想」
2015年 空飛ぶ自動車が飛び回る(訂正 世界屈指のハイテク国家イスラエルで最大出力800馬力の「X−HAWK」開発中
2014年 この世から占いがなくなる 性格遺伝子「バイタリティ」「執着」「好奇心」「感情」の各遺伝子分析で適正職業を決定する。
2011年 いくら食べても太らなくなる(訂正 「脂肪ため込み停止酵素」と脂肪から取り出した幹細胞を胸に注入することで夢のプロポーションを実現。
2010年 ハゲがこの世からいなくなる(訂正 毛乳頭を植えるだけでは不十分。毛包幹細胞も一緒に植えつける。毛髪再生マシーン登場。
2007年 海上マンション出現 人口7万5千人の巨大な船のマンション出現。ビジネスをしながら世界一周を楽しむ。


追伸:平成16年3月 最近開発された主な人型ロボット(2004・03・19読売新聞より)

メーカー 名前 特徴
トヨタ自動車 パートナーロボット 二足歩行型、車輪走行型など トランペットを演奏する。愛知万博で楽団を組んで演奏予定
ホンダ ASIMO(アシモ) 二足歩行型 人間と簡単な会話が出来る
ソニー QRIO(キュリオ) 二足歩行型 走ったり、リズムに合わせてダンスを踊る
ソニーのロボットQRIO(キュリオ)が9日(2004・03・09)、東京オペラシティで約70人の東京フィルハーモニー交響楽団を従え、ベートーベンの交響曲第五番「運命」第一楽章冒頭を指揮した。13日に東京・渋谷で開かれるコンサートのリハーサルで、QRIOは指揮台に上がり、「がんばるからよろしく」とあいさつしてタクトをふった。五回ほど繰り返すうちに呼吸が合い、最後はメンバーから拍手が送られた。QRIOは本番でも指揮を披露する。(2004・03・10読売新聞より)
三菱重工業 WAKAMARU(ワカマル) 車輪走行型 留守中の不審者をメールで知らせる
ZMP NUVO(ぬーボー) 二足歩行型 声や携帯電話で遠隔操作できる


平成17年12月14日 西日本新聞より
ASIMO 走った・・・ホンダが新技術公開
ジグザグに走ったり、接客も完璧に・・・。ホンダは13日、人間そっくりに歩く二足歩行ロボット「ASIMO」(アシモ)の新技術を報道陣に公開した。時速6キロで俊敏に走ることができ、福井社長は「高いレベルで人と同じ身体能力を獲得できた」とあいさつ。ホンダはアシモの「進化」で培った技術を、オフィス向けや自動車の安全面などに活用する。

これまでは時速3キロで小走りに進んでいたが、両足ウ浮いているときでも姿勢の傾きを安定的に制御することでスピードアップを実現。身体の重心を制御し、高速のまま旋回できるようになった。

各機能を総合的に制御するシステム開発。接客では、センサーやIC通信カードなどの活用で相手を認識して客を案内する。手をつないだり、歩いて先導もする。福井社長は「自動車の衝突回避機能などに役立てたい」と話している。