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雑 感 (2022年12月) | 雑感(目次)へ 随筆のページへ トップページへ |
原発の運転延長と電力ひっ迫 | |
Pentel−Tradio | 安全保障関連3文書の改定 |
原発の運転延長と電力ひっ迫 |
政府は、脱炭素政策を検討する「GX実行会議」を開催し基本方針を決定した。直面する深刻なエネルギー危機に対応し、原発を最大限活用する方針である。今、政府の最大の課題は「エネルギー危機克服と脱炭素社会の両立」である。資源を持たない日本において、エネルギーを確保し、企業や一般家庭への電気を安定供給するのは経済安全保障である。先日、北陸地方は大雪で大規模停電が発生。人々は極寒の中の停電生活を強いられた。気温が0℃を下回る中、信号機は止まり、家庭では電気ストーブもテレビもつかない、石油は売り切れ、夜は懐中電灯を頼る生活だった。人々の精神的疲労はいかばかりだったろうか。暖をとるため車で過ごした女性は、一酸化炭素中毒で死亡した。つまり電力の安定供給は、命の問題である。岸田首相は「直面するエネルギー危機に対応した政策を加速する」との考えを示した。 ロシアのウクライナ侵攻に端を発したLNGなど燃料の高騰は、エネルギー事情を一変させた。EUなど先進国では、電力安定供給のため石炭火力発電所に回帰する動きが見られる。そんな中日本は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた、2030年のCO2削減目標は、2013年比46%の低減としている。この目標達成のためには年率7.8%、毎年減らし続ける必要があるというが、現状ではこの目標達成は非常に厳しい状況だという。次世代型原発SMR、高温ガス炉、核融合炉などの開発も進められてはいるが、目途は2030年代半ば以降になる。今、経産省が重視しているのが、既存の大型軽水炉をベースに安全性を高めた「革新軽水炉」だが、これにしても運転開始は同じく30年代半ばのようである。電気の安定供給と脱炭素社会両立に向けた動きと、電力のひっ迫が懸念されている今現在を踏まえれば、原発の延長や再稼働といった現存原発の最大活用は、現実的な選択と思われる 九州電力は、火力発電の比率が4割弱と比較的他の電力会社より低いとはいえ、燃料高騰で財務は悪化している。10/31に発表した9月期中間決算は、純損益が約476億円の赤字と、中間決算としては8年ぶりの最終赤字となった。他の電力会社が、家庭向け規制料金の値上げ方針を相次いで発表する中、九州電力には発電原価の安い原子力発電所があるとして、当面値上げしない意向を示した。社長は「電力需給の安定上からも原子力の重要性は増している」と話す。原発は脱炭素目指す電源として発電量も大きく、重要な電源である。九電は先ごろ川内原発1,2号機の運転期間を20年延長する認可申請書を原子力規制委員会に提出した。川内原発は14年に新規制基準の適合性検査に、全国の原発で初めて合格している。認可されれば、九州の原発では初めて運転期間が40年超となる。 |
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Pentel−Tradio | ||
かなり前に買った 「Pentel-Tradio」。 いつ買ったのかも記憶に無い。 使い続けているうちに、 至るところにインクが付いた。 フッと気付くとカラフルである。 これは間違いなく私が描いた 「現代アート」だ。 |
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安全保障関連3文書の改定 |
日本を取り巻く安全保障環境は、非常に厳しく緊迫感を増している。そんな中政府は、年末までに安全保障関連の3文書(国家安全保障戦略・防衛計画大綱・中期防衛力整備計画)の改定を目指している。先日、防衛力強化に関する政府の有識者会議が、岸田首相に報告書を提出した。報告書では、防衛力の抜本的強化及び経済、財政も含めた総合的な防衛体制の強化を提言していた。今やインド太平洋におけるパワーバランスは大きく変化している。オバマ大統領は「世界の警察官を止める」と言い、トランプ大統領は「アメリカファースト」だった。中国の軍事力の増強、北朝鮮のミサイル技術の高度化など、東アジアの情勢は、アメリカ一国では対応できない事態である。アメリカが日本の同盟国として圧倒的な軍事力をもって君臨していた時代は終わった。とはいえ日米同盟は、わが国の安全保障政策の基軸であることに変わりはない。日本の防衛力の抜本的強化は、わが国の主権を守り、かつ欧米やクワッドなど同志国の信頼を得ることでもある。 防衛省は、防衛力の抜本的強化として次のことを掲げている。 @スタンド・オフ防衛能力 A総合ミサイル防空能力 B無人アセット防衛能力 C領域横断作戦能力 D指揮統制・情報関連機能 E機動展開能力 F持続性・強靭性 。抑止力強化となるスタンド・オフ防衛能力であるが、現在「12式地対艦誘導ミサイル」の改修を急いでいる。射程100~200kmを1000kmに伸ばし、地上配備型、艦載型、戦闘機搭載型を量産し2026年の配備を目指す。だがその配備までの期間を埋めるものとして、米国製巡航ミサイル「トマホーク」(射程1600km、高速かつ低い高度でピンポイントの攻撃をする)の取得も検討されている。持続性・強靭性について言われているのが「継戦能力の強化」だ。すなわち、他国による侵略の抑止、あるいは排除するため継続して戦える能力である。これまで自衛隊はGDP比1%の少ない防衛費の中で何とかやりくりしてきた。別の戦闘機から部品を外してしのぐなど、稼働率の落ちた現在の武器や弾薬の備蓄状況では、真に戦いを継続できる「継戦能力」があるとは言い難い。 今、「継戦能力」向上のための装備品の調達、配備、運用が求められている。そのための防衛予算として、NATOなどが採用しているGDP比2%を一応の目安としている。そうすることで日本が防衛力強化に積極的に取り組んでいることを世界に示すことができる。だが、増額は必要だが、決して2%ありきではない。日本の主権を守るために、何をどれだけ必要かをひとつひとつ積み上げた予算でなければならない。有識者会議は、恒久的財源の確保を「税」に求めているが、まずは歳出削減を優先的にすべきとしている。当面、コロナ関連予算や、税収の自然増が見込まれるようだが、恒久的な財源としての「税」はやもう得まい。政府としては国交省、文科省、内閣府の予算に特別枠を設けるようだが、我々国民の理解を得るには更に継続的な行財政改革が必要である。同時に報告書では我々国民の側も「自らの国は自ら守るという当事者意識を持つことが大切」との自覚を求めている。 |
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安保3文書の主な内容(産経新聞・日本経済新聞より) | ||
項 目 | 内 容 | |
戦略 | ○日本の安全確保、繁栄実現、自由で開かれたインド太平洋を維持・発展。 ○国際社会の主要アクターとして新たな均衡を実現。 |
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防衛力強化 | ○10年後までに、より早期かつ遠方で侵攻を阻止・排除できる防衛力の強化。 ○今後5年間は現有装備の最大限活用、将来の中核能力を強化。 |
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中国の現状認識 | ○「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と明記 | |
反撃能力 | ○必要最小限の自衛措置として相手領域で反撃可能な能力を保有。行使は米と協力。 ○巡航ミサイル、極超音速誘導弾など反撃能力を保有。 ○攻撃能力を持つ小型無人機を整備。 |
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ミサイル戦略 | ○「統合防空ミサイル防衛」を採用。 ○長射程ミサイルとして、米国製のトマホークを導入。 ○国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の開発促進。 |
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防衛費 | ○2027年度に現在のGDP比2%を目指す。 ○公共インフラ、研究開発費も安保予算に。 |
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サイバー | ○攻撃を未然に排除する「能動的サイバー防御」導入の法整備。 | |
自衛隊の体制 | ○米国との調整役を担う常設の統合司令部創設。 ○航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改称。 ○宇宙、サイバー、電磁波と陸海空を有機的に融合する「多次元統合防衛力」を強化。 |
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装備品の輸出拡大 | ○防衛装備移転三原則や運用指針などの見直しを検討。 ○官民一体で装備移転推進。 |
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