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「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産へ 原発処理水・東電、濃度を測定せず放出方針
ぺんてるinfree新色とアピカCDノート 半導体とEV用電池

[2021/06/23]
「北海道・北東北の縄文遺跡群」世界遺産へ


ユネスコの諮問機関が「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。その評価した内容は『15千年前に遡る農耕以前における定住生活の在り方及び先史時代の複雑な精神文化を示し、発展段階や様々な環境変化への適応を示している』としている。今回指定される北海道、北東北地域では同一文化圏が形成され、縄文文化を代表する貴重な遺跡が数多くあるという。縄文時代が始まったおよそ15千年前、地球の軌道が変化、氷河期が終わり温暖な気候になった。広葉樹林が広がる森で獣を狩り、その森には木の実が豊かに実り、海には豊富に魚介類が生育した。家(竪穴住居)を建て家族の安定した生活を基本に、一定地域で大集落を形成していった。争いのない平和な定住生活から、土器や土偶など日本独自の文化や精神世界が醸成されていった時代である。

縄文時代は、当然科学的知見は無く、ただただ自然の中で生き、自然に生かされているという感覚で生きていた。日本の豊かな自然環境の下、自然の恵みを大切にし、そうすることで自然はより豊かに循環したはずだ。縄文の人たちの食生活は、土器の登場で劇的に変わった。採集した食料を煮たきすることで、食べられる食材も広がった。さらに魚や肉を燻製にして食料不足に対処し、栗の木や小豆大豆なども栽培されていたという。新たな発掘や発見で、これまでの縄文の生活のイメージは大きく変わった。とはいえ生きていくうえに必要な分だけを頂く、という自然と共生しながらの生活は変わらなかった。現代の自然環境は、縄文時代とほぼ変わらない。今の時代にも残る「里山」の文化はこの時代に始まったと言える。

イコモスの評価で注目したいのが「精神文化」である。秋田県の大湯環状列石などに見られるストーンサークルはそのひとつといえる。ここはその地域の共同墓地であり、ここで葬送の儀礼が行われていた。縄文の人たちが最も大切にした場所である。祭祀や祭に使った道具からは高度な精神性が伺われると言う。縄文の人たちは、生と死と再生という生命の循環を信じていた。家族の絆、地域との結びつきが深かっただけに、死者の再生を願う気持ちも一段と強かったと思われる。その終わりのない輪廻こそがストーンサークルという形に表されたのだろう。太陽の周りを回る地球、地球の周りを回る月、この天体の動きと「自然の循環」の中で生かされているということを鋭く感じとっていたに違いない。彼らの葬送の儀礼の中には、そういう自然に対する畏敬の念が込められている。


自然の一員として生きた縄文の人たちの精神文化は、時代は変わったとはいえ、今の我々根底に流れている。千数百年前の万葉の人たちが残した歌の心は、今の我々にも共感を与える。自然と調和し生きた縄文時代の自然環境は今も変わらない。その中で生きてきた人の感じることは、時を経てもそう違うものではない。ところが科学を手にした人類は、おごり高ぶった。だが今、暴走していることに気付いた人類は、SDGsを推進しようとしている。ややもすると世界遺産への登録は、その地域の観光の起爆剤として使われがちである。世界遺産の目的はそうではないはずだ。特に「北海道・北東北の縄文遺跡群」の登録は、縄文時代に生きた人々の「心」を学んでこそ意味あるものになる。


過日、テレビ番組で放送された「古代人の心を発掘せよ!」(BSP)という番組で、こんな発言があった。

松木武彦氏(考古学者)
『飲食することは、単にお腹を満たすのではなく、精神を満たす、心を満たす、縄文時代の人々の食事はそういうものであった』
中野信子氏(脳科学者)
『縄文時代、効率とか生産性というのは、早くリソースを食いつぶしてしまう「悪」だった。必要なものだけを頂いて、ゆったりと身の丈にあった暮らしをするのが「善」であった』

←左の画像は、最近放映されたテレビ番組の内容である。
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[2021/06/12]
原発処理水・東電、濃度を測定せず放出方針

東京電力は、福島第一原発処理水の海洋放出で、処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を海水で薄めて放出する。ところが報道によると、放出前に濃度を測定せず、計算だけで基準を満たしているか判断する方針だという。海水で100倍薄めているのだから、測定しなくてもいいだろうという安易な考えなのだろう。というより恐らく大量にあるからいちいち測定なんかしていれないという考えなのかもしれない。東電がやろうとしているのは、ポンプでくみ上げた海水が流れる中に処理水を混ぜ、そのまま海に流すのだという。

東電は、これだけ国民、国家に迷惑をかけながら、何の反省も無く、安易な方法でやろうとしている。原子力規制委員会では「放出する水の濃度測定をぜひやってほしい」という意見がでたという。“規制”と名の付く委員会から出た意見が「・・・やってほしい」とは情けない。処理水放出は、世界に対する日本国の責任においてやることだ。相変わらず能天気な何の反省も無い、東電の考えでやることではない。国際原子力機関(IAEA)が、日本の方針を支持したのも、まさか計算だけで大丈夫だとして放出するとは思ってはいないだろう。

IAEAは処理水の海洋放出について次のような考えを示している。『モニタリングなどでIAEAが常時関与、放出前後を含め一連の作業の中心的役割を担う。日本だけで行うよりも、IAEAが独立した立場で調査に加わることが信頼性を担保することになる』。これに日本は『原子力を専門とする国際機関の関与は、透明性確保の上で大きな意味を持つ』とし、さらに国際的専門家にアドバイザーとして参画を求める方針も示している。

韓国は、IAEAの基準に従うなら反対しないと一旦結論付けたが、強く反発する中国と歩調を合わせるため、この結論を白紙に戻した。ムン・ジェインは「国際海洋裁判所への提訴」も指示した。もし、海洋放出途上で、ただの一滴でも基準を上回る処理水を放出したら、日本は世界の信用を失う。東電の大量にあるから面倒くさい、というようなレベルではない。また重視しなければならないのは、福島の海で生計を立てている人たちである。今回の東電の方針をどう受け止めているのだろうか。時々測定をするからいいだろうでは、とても納得いくまい。これまでの原発の状況を見れば、放出途中で手違いは一切ないなどとは口が裂けても言えないだろう。

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[20210611]
ぺんてるinfree新色とアピカCDノート
     
PentelのENER-Gel-「infree」の新色が出ていたので、バイオレットとバーガンディと買ってきた。バーガンディ色というのは初めてだったので、調べてみると「ワインレッド」のようだ。少し華やかさが感じられて、ノートするとき多用している。これで「infree」は、ほとんどの色を手に入れた。
(「infree」0.4のターコイズブルーとオレンジのリフィルはストック用)
ノートは、これも愛用のAPICAのCDノート。使い終わりそうなのが3冊あるので、まとめて5冊買ってきた。
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[2021/06/01]
半導体とEV用電池

下に掲載した画像の左は、三菱自動車の軽の電気自動車(EV) 「i−MiEV(三菱自動車と九州電力の共同研究による開発)である。これは2007年の福岡モーターショーに出展された時のもので、日本初の量産電気自動車(EV)である。日本のEVの開発は随分早かったのだ。ところが、今の日本は急激な世界の「脱炭素」と「EV」の流れに乗り遅れまいと必死の状態である。優秀なエンジン技術で君臨していた日本だったが、大市場・中国のEV化で一気に流れが変わった。EVは高度なエンジン技術を必要としないため、色々な分野が参入し乱闘状態である。そんな危機感から、過日の報道によると「ダイハツ」と「スズキ」という日本の軽自動車販売の1位と2位が、小型EVの共同開発を進めるという。EVの開発には多額の研究開発費と設備投資がいる。今や国内でライバルとして争っている場合ではないのである。


今後のEVの能力を左右する大きな要因は電池である。現在、リチウムイオン電池が使用されているが、次世代の本命とされる「全固体電池」の開発が急ピッチで進められている。この固体電池は安全性が向上し、走行距離も飛躍的に延びるという。更に、「次々世代」の電池の研究開発も進められている。そんな中、日本が圧倒的に強い次世代エンジンがある。「水素エンジン」である。トヨタが先ごろ発売した燃料電池車(FCV)「ミライ」は水素エンジンで走る。水素エンジンはガソリンエンジンとほぼ同じメカニズムで、現行のガソリン車の部品を使えるという。しかも充填時間3分、走行距離は850kmと長い。技術的にも、先月のスーパー耐久富士24時間レースに水素エンジンのカローラが参戦し完走したというから、後の課題はインフラの整備である。


自動車も含めて世界の競争を勝ち抜く大きな要因に「半導体」がある。「半導体を制するものが世界を制する」とまで言われている。今や半導体はデジタル社会の基盤であり、半導体なしでは何も動かないまでになっている。今、コロナ禍の需要増もあって、半導体は世界的にひっ迫している。3月には日本の半導体大手のルネサス・エレクトロニクスの工場の火災もあって、自動車業界は生産停止を余儀なくされた。昔、半導体と言えば日本だったが、「風前の灯」である。これに対し現在、世界で圧倒的なシェアーを誇るのが台湾の「TSMC」である。アメリカのインテルや中国でさえ足元にも及ばない。日本は“ましていわんや”の状態である。半導体においては、省庁を問わず、官民を問わず、なりふり構わず国を挙げて取り組むべき課題なのである。


さてこの状況を踏まえ、政府は6月に成長戦略をまとめるが、その原案が報道された。国としてまずやることは、自立した半導体の設計、製造の基盤作りに向け、思い切った財政支援である。幸い日本は半導体をつくる材料と、半導体をつくる製造装置に強い。コロナ禍の需要増で、この二つは輸出が大きく伸びている。問題はTSMCの工場の日本への誘致である。日本経済を左右する先端半導体誘致には「他国に匹敵する規模」の支援措置を講じるとしているから、今後の動向に注目したい。自動車業界においては、EVの急速充電器3万基整備するという。さらに日本の技術の結晶である燃料電池車(FCV)の水素ステーションついては、これを1000基整備すると言う。水素ステーション設置には、ガソリンスタンドと違って多額の費用がかかる。自動車業界の裾野を守り、推進していくには国の積極的な支援が必要である。今の日本はどっちに転ぶか瀬戸際にある。

《追伸》2021/06/05《経産省・半導体再興へ新戦略》
経産省は6月4日、半導体の開発や生産体制の強化に向けた新戦略を発表した。半導体産業強化を「国家事業」と位置づける。製造を受注し生産を行う海外企業と連携して工場を設立し、日本国内の製造能力を整備する。先端半導体の次世代製造技術の国産化や、既存工場の刷新、半導体の設計や技術開発も強化する内容となっている。通常の産業政策を超えた、特例扱いの措置を講ずる制度構築を検討するとしているが、投入資金が明らかになっていない。「国家事業」と位置付けるに相応しい規模の投入を期待したい。

経産省は、台湾半導体大手「TSMC」が日本国内で行う半導体製造技術の研究開発に対し、約190億円を拠出し開発を後押しする。半導体のさらなる高性能化を可能にする技術の確立を目指す。旭化成やイビデンなど日本企業20社超が参加し、つくば市の産業技術総合研究所で実施する. 

2007年・三菱i-MiEV
 
ダイハツ・GINO

スズキ・ALTO 
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