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小説「Tの衝撃」 車のEVシフトは世界の潮流
福岡モーターショー2017 巡航ミサイルの開発と導入
天皇陛下、譲位日程決まる 白鵬に横綱の品格は無い
横綱・日馬富士の引退 大相撲についての私見

[2017/12/26]
小説「Tの衝撃」

著者 安生 正
発行 実業之日本社
初版 2017年2月
軽井沢付近で輸送中のMOX燃料50kgが正体不明の武装勢力によって奪われた。陸上自衛隊の07式重装輪運搬車によって再処理核燃料貯蔵施設へ輸送途中のことだった。
再処理核燃料貯蔵施設(サイト3)は、国内に分散していた再処理核燃料を一か所に集め、万全の保安体制を敷いた最新の地下貯蔵施設である。ところが実はこのサイト3は、わが国初の核兵器製造・実験工場だった。
4か月前自衛隊は、面の割れていない北朝鮮の朝鮮人民軍偵察総局所属の工作員が極秘任務でわが国に潜入したという情報を掴んでいた。
奪われた核燃料は長崎型原爆4個をつくれる量である。その核燃料を使ってテロリストが核爆弾を製造する事態は何としても避けなければならない。
わが国が核兵器開発を決断したのは昭和40年ころである。当時の政府が、今後50年間の国防方針を決定するとき、防衛政策決定組織を立ち上げた。5年に及ぶ議論を経て、核兵器開発の実施が決断された。
原爆用プルトニウムを生成するためにはプルトニウム239の濃度が93%以上となるよう原子炉の滞在時間を考え再処理する必要がある。プルトニウム239を製造するということは、最初から核兵器の原料とする意図が必要なのだ。
わが国の核兵器開発は、すでに最終段階に入っていた。すでに起爆装置の性能は確認され、あとは爆弾の完成度を確認するため、M4.5クラスの地下核実験を実施するだけになっていた。
陸上自衛隊は、第2回目のMOX燃料輸送を予定通り実施する。全ルートに陸自の総力を結集し、敵を鎮圧し、一回目のミスの帳消しと部隊出動の実績をつくりたいためだ。
陸自の総力が輸送ルートに集中する中、武装勢力が攻撃してきたのはサイト3だった。サイト3の警備にあたっていたのは普通科連隊の小隊だった。圧倒的な敵の火力に、緊急応援が要請された。
この緊急事態に投入されたのが中央即応集団に属する特殊作戦群だ。陸自初でかつ唯一の特殊部隊である。部隊はUH-60JAブラックホーク2機に分乗しサイト3へ急行する。
「全てを失うことになっても怯(ひる)むな。身を切られる悲しみ、烈火の怒りに我を失うな。お前が自衛官である以上、そして私(寺田陸幕長)に選ばれた以上、お前が国を守るのだ」
1回目の襲撃と、今回サイト3を襲撃した武装集団は、実は北朝鮮の特殊部隊ではなかった。
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[2017/12/23]
車のEVシフトは世界の潮流
今回の福岡モーターショーでもみられたように、自動車のEVシフトが鮮明になっている。この急激なEV化流れは世界的で、100年に一度の大転換期とも言われる。その大きな要因となったのが、中国政府が打ち出したZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制である。中国における販売台数の10%をZEV(EV、FCV、PHV)にしなければならなくなる。これまで日本が世界をリードしてきたHV車は対象外となる厳しい制度である。

中国は高度な技術を要するHVでは太刀打ちできない。しかしエンジン技術のいらないEVなら世界の自動車強国になれる。世界の自動車メーカーが一斉にEV化へ舵を切ったのも、中国が自動車販売台数約2800万台と世界で最大の市場を抱えているためである。中国の自動車メーカーBYDは、今年10月までの世界の新エネルギー車の販売量でトップになったという。一党独裁による方針の徹底は、日本と違ってフットワークが軽い。

EVが普及していくためには、電池技術の開発が鍵となる。航続距離の拡大、軽量化、コスト削減などが課題として挙げられる。ホンダと日産は「全固体電池」をそれぞれ開発しているという。「全固体電池」とは正極、負極、電解質が全て固体で液漏れの恐れが無く安全性が高い。また大容量化に向いており航続距離を延ばすことが期待されている。日本経済をけん引してきた自動車産業を考えれば、中国に勝つために、オール日本で開発したいところだ。

日本の経済を支えてきた自動車産業だが、一気にEV化となると裾野の広い業界に与える影響は大きい。とはいえEV化は、ねばならない状況に追い込まれている。一方、EVが主流になれば、何千万台ものEVが走ることになる。原発反対の訴訟があちこちで起こされている日本である。電力不足の懸念はないだろうか。また火力発電でCo2をまき散らしながらつくった電気で走るEVはZEVなどとは言えまい。解決すべき問題は多い。100年に一度の大転換期を日本はどう乗り切るのか。
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[2017/12/15]
福岡モーターショー2017
最近の自動車業界の動きで見逃せないのが「自動運転」である。「自動運転」は、電流の調整だけで加減速ができるEVとの相性がいいという。愛知県で運転手のいないレベル4による自動運転を、一般の車が走る公道で実証実験が行われた。自動運転は、ディープラーニングと強化学習によって、AI自身が最適な方法を学んでいく。問題なのは危険回避や人命を救うために、法令を破らざるをえない場面に遭遇したときである。

人間も判断に苦慮するような、緊急事態をAIがどう判断するのか。よく事例として出されるのが、直進したら歩行者を殺傷する、回避のためハンドルを切ったら崖から落ちて搭乗者の命が危ないというケースである。自動運転の車に、開発者がどんな倫理観を持たせるかといっても、人間が判断できなければAIも判断は無理である。緊急事態に置いては、AIがヒトの生殺与奪を握る場面があるかもしれない。

トヨタ自動車が今回のモーターショーのパンフレットにこんなことを書いている。
『自動運転ができるようになって、クルマを取り巻く環境がどれだけ変わっても、どうしても忘れたくないものがあります。・・・エンジンの振動が鼓舞してくれる勇気。何もかも忘れさせてくれるあの風。クルマはやはりエモーショナルな存在で、そのことをとても大切にしていきたい』

私は以前こんなことを書いた。
『青い空と緑に覆われた高原、それに豪快な山のたたずまい。その中を"やまなみハイウェイ"が貫く。軽くアクセルに足を置き、澄んだ空気を切り裂くように愛車が疾走する。まっすぐな道も良し、また変化に富んだワインディング・ロードも良しである。行きと帰り、同じコースを通っても、目の前に現れる景色、差し込む光が違う。言ってみれば、これは自然が描いた絵画である。目の前に"額縁の無い絵画"が豪快に、そして繊細に現れては過ぎ去っていく』
自動運転もEVもそれぞれメリットはあるが、エンジン車におけるこの感覚こそクルマの醍醐味である。
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[2017/12/09]
巡航ミサイルの開発と導入
北朝鮮が、米国へ到達可能な新型ICBM「火星15」の発射に成功した。とはいえ大気圏突入時の技術や、核の小型化など、まだクリアすべき課題はありそうだ。だが日本に対してはすでに「ノドン」「スカッドER」で「飽和攻撃」できるだけの大量のミサイルを保有している。加えて潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」の開発も進められているという。核の小型化が完成すれば、ミサイルの脅威が格段に高まることは間違いない。

中国空軍は先月、西太平洋や南シナ海で主力戦略爆撃機「H6K」を中心とした編隊による飛行訓練を実施した。西太平洋へは、沖縄本島・宮古島間の宮古海峡を通過し、第1列島線を越えて西太平洋へ飛行したという。H6Kは陸・海ともに標的とする射程1000km以上の巡航ミサイルを搭載でき、その行動範囲は3500km以上だと言う。中国軍は、第2列島線の範囲までの攻撃能力を備えることとなったと発表している。

中国は「海洋強国」を目標に掲げ、すでに南シナ海ではほぼ全域を支配している。大型船に乗っているのは軍事訓練を受けた「民兵」である。南シナ海で起きていることは、必ず尖閣諸島など東シナ海でも起きる。漁民を装った大量の民兵が離島を占領する。漁民を装った民兵であれば、米軍の支援も期待できない。巡航ミサイル導入や水陸機動団の創設など、離島防衛強化のための対策が進められているが、あらゆる事態を想定したシナリオの対策が必要である。中国による尖閣・沖縄侵略のXデーは、日本が南海トラフの大地震で混乱に陥った時ではないかと私は考えている。

日本を取り巻く安全保障環境は、予想を上回る速さで厳しくなってきている。そんな中、今朝(12/09)の新聞によると、防衛省は航空自衛隊の戦闘機に搭載する3種類の長距離巡航ミサイルを導入する見込みである。調達のための関連費用を、18年度予算案に計上する。導入を予定しているのは、ノルウェー製「JSM」(射程約500km)と米国製「JASSM-ER」「LRASM」(射程約900km)である。「JSM」はF-35に搭載するが、米国製の2機種については、F-15へ搭載するための、F-15の改修費用を計上する。

一方、日本版トマホークの開発も検討に入った。これはまだ2018年度から研究を始める段階である。開発するミサイルは、対艦ミサイルに対地攻撃能力を付加する。ステルス機能を有し、標的直前で搭載したレーダーに切り替え標的を破壊する。射程は300km以上で、護衛艦、P1哨戒機、戦闘機などから発射を可能にするという。占領された離島の敵地上部隊や、接近する敵艦船を攻撃し離島を奪還する目的である。巡航ミサイルや、イージスアショアの導入も、配備は何年も先になる。急がなければ間に合わないかもしれない。

防衛大綱の見直しの時期である。北朝鮮の核・ミサイルに対する防衛と、中国の軍備増強と海洋進出を考えれば、当然これらへの対処が重要なテーマとなる。巡航ミサイルの導入と同時に、敵基地反撃能力の保有は喫緊の課題である。激変する安全保障環境に対処するには、防衛予算の増加も当然といえる。国民の生命と財産、領土を守る考えなど無いバカな左翼は、すぐ専守防衛を逸脱するなどと言うだろう。我々国民は、どうあるべきか、正しい判断を持つためにも、緊張感をもって現実を見据える必要がある。
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[2017/12/05]
天皇陛下、譲位日程決まる
天皇陛下の譲位の日程が決まった。平成31年4月30日に譲位、皇太子さまが5月1日に即位され改元する。この日程は、皇室の行事や行政の日程などを勘案し、「静かな環境」で諸行事が行える日程を選んだという。特に今回は、天皇陛下の退位を、多くの国民が前向きにとらえ、これに続くおめでたい皇太子殿下の即位、改元となる。時期的にも、全国民が心からお祝いするに適切な時期になったと思う。

高齢による体力面の懸念を示された陛下であるが、10月には九州北部豪雨の被災地である朝倉市(福岡県)を訪問され、沿道では1万4千人の人が旗を振って両陛下を歓迎申し上げた。両陛下は被災者の方々にお見舞いと励ましのお言葉をかけられ、消防隊員や警察官、自衛隊員ら災害復旧に尽力した人たちにもねぎらいのお言葉をかけられた。両陛下からお言葉をいただいた人たちはもとより、多くの県民が今後の復興の心の支えになるに違いない。

このように自らお考えを行動でお示しになり、全身全霊で務めを果たされてきた陛下である。退位後はゆっくりとお過ごしいただきたいというのが多くの国民の気持ちである。両陛下ともに静かで穏やかな時間をお過ごしいただきたい。親しい人たちとの楽しい交流もいい、公的な務めから解放されたご旅行もいい。そのうえで、新年の一般参賀などで、元気なお姿を拝見できればこれ以上のことは無い。

天皇陛下譲位にともない、皇太子さまが新天皇として即位される。おそらく天皇陛下が、昨年8月のビデオメッセージで示された次のお考えは、引き継いでいかれるのではないかと思う。『伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、日々新たなる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています』。新天皇は、このお考えと共に、また新しい時代にふさわしい天皇像をお示しになることだろう。

「降る雪や 明治は遠く なりにけり」。昔を懐かしく思った俳人の句である。新天皇即位を前に新元号が発表される。元号とその時代は、表裏一体に国民の脳裏に刻みこまれる。「大正ロマン」も、実に時代の雰囲気を感じさせる。「三丁目の夕日」に描かれた昭和30年代の世相は、まさに昭和の臭いである。「それって昭和のリアクションだよ!」「えっ、平成生まれなの!」。元号は適切に時代を表現し、いたるところで使われ、広く浸透している。さて、新しい元号はどんな元号になるのだろうか。
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[20171202]
白鵬に横綱の品格は無い
九州場所11日目結びの一番。中途半端な立ち合いで、一気に寄り切られ、土俵下に落ちた。白鵬は軍配に納得せず、約1分間土俵に上がらなかったという。横綱ともあろうものが、自分の勘違いから審判に抗議をするという前代未聞の不祥事である。審判部は"力士自らは「物言い」ができない"ルールについて説明したという。40回優勝した横綱が、力士の初歩の初歩であるルールさえ知らない。八角理事長は「まだ修業の身である」と言ったという。白鵬に横綱らしさがどこにある。

白鵬はおよそ横綱相撲とは縁のない「エルボー(ひじ打ち)」「猫だまし」「ダメ押し」といった相撲を取る。「ダメ押し」というのは、土俵を割った相手が力を抜いたところを更に押し倒すことをいう。これは相手がケガをする可能性が高く、危険な行為である。つまり白鵬にとって相撲は、格闘技であり勝ち負けだけの問題なのである。そもそもこんな「汚い相撲」を取る力士に品格などある訳が無く、ましてや日本伝統の精神に基づく神事であることとは無縁のようだ。明治神宮での手数入りは止めてくれ。

八角理事長が日馬富士の問題について、力士を集めて暴力根絶を徹底した。ただ噂によれば「講話」レベルだったという。このとき、白鵬が「巡業部長を変えてほしい。変えてくれなければ巡業に出たくない」と言った。信じられないような発言である。一般企業なら、上司が気に食わないから、仕事をしたくない、と言っているのと同じである。即刻、首である。そんな発言が許されるわけがない。常軌を逸している。理事会で注意を受けたと言うが、やはり相撲協会は根本から改革が必要なようだ。

先日の九州場所の千秋楽。優勝インタビューで白鵬は客席に「万歳三唱」を要求した。八角理事長が暴力問題でお詫びをした直後である。さらに「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げたい」とか「この土俵の横で誓います。場所後に真実を話してうみを出し切る」と言った。これは各方面からかなりの批判が出た。以前白鵬は「モンゴル国籍のまま親方になりたい」と言ったという。これもまた許しがたい不遜な発言である。白鵬の言う「うみ」とは白鵬自身のことである。とっとと国に帰ってくれ。

白鵬は、軍配に物言いをし、暴行を受ける力士を傍観し、上司に対する常軌を逸した発言をし、いったい何さまのつもりかという千秋楽の発言にいたっては、明らかに日本の国技にふさわしくない横綱である。しかし本人にその自覚は無く、何かと言えば「力士代表として」という枕詞がつく。言葉と行動が一致しない。朝青龍、日馬富士、白鵬、育った気候風土、環境から、モンゴル人力士に、相撲道の精神「角道」を理解するのは無理と思われる。ましてや、生ぬるい相撲協会に、本気で向き合わせる力を期待できそうもない。
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[2017/12/02]
横綱・日馬富士の引退
横綱・日馬富士が、貴ノ岩への「暴力による制裁」で引退に追い込まれた。大相撲の最高位にある横綱としての品格が問われる問題である。ところが日馬富士自身は、あくまでも暴力は後輩に対する「礼儀と礼節」の指導であり、それは先輩の義務でもあるとの考えだ。記者会見でも、貴ノ岩に対する謝罪は一切なかった。よくも「礼儀と礼節」を口にできたものだ。それどころか「今後は相撲道を学んだことを生かし、人様に迷惑をかけないよう、ちゃんとした生き方をしていく」って、何を学んだのだと言うのか。

記者会見で質問に対して気色ばんで「お酒を飲んだから起きた事件ではない」と言った。もしそうだとしたら、日馬富士は冷静な判断で、平手で十数発殴り、カラオケリモコンで10針近く縫うケガを負わせたということになる。幸いシャンパンボトルが手からすべったからよかったものの、もしそのまま殴っていたら、恐らく「頭がい骨骨折」で命の危険だったろう。傷害罪どころか、悪くすると殺人未遂である。これがモンゴル人横綱の、冷静な指導である。

この制裁の場に同席した、モンゴル人横綱二人は、馬乗りになって殴り続ける日馬富士をただ傍観していた。白鵬と鶴竜である。シャンパンボトルを持った時点で、その危険性は察知できたはずだ。止めに入ったのは下位力士の照ノ富士で、こちらも数発殴られたという。目の前で危険にさらされている同郷力士を見ながら放置しているのは、横綱にあるまじき行為である。10年前に朝青龍が暴力問題で引退したが、モンゴル人横綱に品位は無いとみえる。

このただ事ではない出来事に、後日事件を知った貴乃花親方は、鳥取県警に被害届を提出した。巡業部長として、相撲協会に報告の義務があることぐらい百も承知のはずである。その根底には相撲協会への不信があると思われる。公益法人となって暴力根絶を掲げてはいるものの、先に相撲協会に任せていれば、内々で処理して無かったことにされてしまう。貴乃花親方の行動には、自分の処遇など何するものぞ、協会を改革するための強い信念が見て取れる。
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[2017/12/01]
大相撲についての私見
私は過去に、大相撲についてこんなことを書いた。
 2008年01月 「伝統文化」
茶道、武道いかなるものも、日本の"道"は、厳しい稽古から会得する"心"であるとも言える。・・・・相撲にしても、品格を問われる位置にありながら"道"が理解できないようなら、相撲を取る資格はない。それぞれの"道"を崇高な域まで極めた達人を人間国宝と呼ぶ。すなわち伝統文化とは"心"である。
 2010年02月 「相撲界に思う」
本場所前日には「神迎えの儀式」により土俵に神様をお招きし、場所が終わると感謝とともに「神送りの儀式」が行われる。土俵の上にある屋形は「神明造(しんめいづくり)」という伊勢神宮と同じ造りになっている。つまり場所中、土俵上は"神宿る"聖なる空間となる。力士は、水で身を清め、塩で土俵を清める。その所作ひとつひとつに神事としての意味が込められている。
 2011年07月 「魁皇関 おめでとうございます!」
土俵下で取り組みを待つ大関の表情はあくまでも穏やかである。「心・技・体」の充実にこそ、日本伝統の奥深さがある。貴乃花親方はこう言っている。「何よりこれまでの魁皇の努力には頭が下がります。それは日々鍛錬を怠らず、何よりも基本動作、基礎的な体力を強くしていく努力を続けてきた。相撲の基本動作の繰り返しというのは、一番みんながやりたがらないことだが、若い力士たちにも是非その姿勢を学んでほしい」。今の相撲界を真に立ち直らせ、ファンの心をつかむのは、第2、第3の魁皇関を育てることである。
 2000年09月 柔道・篠原選手"無念の銀メダル"(シドニー)
競技中、相手は審判の死角をついて「肩襟」という「反則行為」をした。・・・・すべてを分かっていながら、篠原選手は「ドイエはやっぱり強かった。誤審?不満はありません」と相手をたたえるコメントをした。大相撲では、行司の判定に物言いが付いたり、ビデオによる検証によって判定が覆ることも多い。しかし、土俵上の力士は行司の判定に絶対注文をつけない。「泰然自若として騒がず」である。武道における勝敗は、勝ことだけではない。武道は、日本の長い歴史に培われた日本独特の精神に裏付けられている。柔道精神に基づき、日本の誇りを守った篠原選手こそ真の金メダリストである。
 2015年03月 「もし外国人力士がいなければ番付表はこうなる?」

故郷の声援を受け、それに応え、誇りを持って相撲を取る。それでこそ日本の大相撲だ。横綱としての品格を疑われるような、また相撲は神事であることを理解しないような、そんな外国人力士などいらない。
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