オシリス･レックス
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File No.160909


アトラスＶ･ 打ち上げ成功		 アメリカの小惑星探査機｢オシリス・レックス｣が、今朝(現地時間9月8日・日本時間9日朝)フロリダ・ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられ成功した。探査機の目的は｢サンプル・リターン計画｣といい、採取した試料を地球に持ち帰り、初期の太陽系の姿を解き明かそうとするものである。今後の予定は、約1年後に地球スイングバイによって｢ベンヌ｣へ向かい、2018年に到達予定である。到達後、搭載機器による観測を行い、2020年にサンプル採取を行う。採取方法は、円盤状の装置を接地させ、ガスの噴射によって巻きあがった物質を60ｇほど採取する。この試料の入ったカプセルを2023年に地球に持ち帰る予定である。このミッションは、我々の感動を呼んだ日本の｢はやぶさ｣が、小惑星｢イトカワ｣から試料を持ち帰ったときと同じである。さらに今｢はやぶさ２｣が、小惑星｢リュウグウ｣に向かって飛んでいる。｢はやぶさ２｣は2020年、｢オシリス・レックス｣より一足先に地球に戻ってくる。JAXAとNASAが採取した試料は、お互い共有し研究する予定だという。

｢オシリス・レックス｣にはもう一つの目的がある。｢ヤルコフスキー効果の観測｣である。ベンヌは6年ごとに、月と同じ程度の距離まで地球に接近する。可能性として、ベンヌは22世紀後半に地球と衝突する恐れがあるという。ベンヌの衝突の確率は低くはあるが、地球へ衝突の可能性のある小天体はベンヌだけではない。ベンヌの直径は約500mと、恐竜を絶滅させた隕石に比べれば小さいが、衝突すれば間違いなく相当の打撃を受ける。｢オシリス･レックス｣は、｢ヤルコフスキー効果｣による軌道の変化を詳しく調べる。｢ヤルコフスキー効果｣というのは、自転する小惑星の表面が、熱せられた昼間と夜の、熱放射量の差によって、微妙な力が働き、長い時間の積み重ねで軌道に変化を与えるというものである。実際に予測された軌道とずれている天体が観測されている。天体ごとに形状が異なり、予測は困難なようではあるが、小天体の地球への衝突を回避するデータの蓄積と対策は、地球上の生物にとって重要である。
小惑星｢ベンヌ｣

ＮＡＳＡとアメリカ惑星協会は、オシリス・レックスに、名前を刻んだマイクロチップを搭載するキャンペーンを行った。この名簿登録のキャンペーンは、2014年1月から9月まで、世界に向け行われた。私もこのイベント情報を知り、2014年1月、発表から間もなく登録した。まだ15万人台のＩＤだったので、かなり早かったほうだと思っている。登録直後から、アメリカ惑星協会のメールが届くようになった。下に掲載したメールの一部は、打ち上げ直前に届いたものである。今週の木曜日の予定だと書いてある。登録した私の名前は、マイクロチップにエッチングされ、地球に帰るチップと宇宙を飛び続けるチップ二枚が今、宇宙を飛んでいる。｢オシリス・レックス｣は、2023年に地球に帰還し、採取したサンプルを投下するが、投下後も、太陽を回る軌道を飛び続ける。私の名前が、人工惑星として、半永久的に宇宙を飛び続ける。私がこの世を去り、私を知る人もまた去り、完全に私が消滅したあとも、人知れず私の名前が宇宙を漂う。

現在、日本の｢はやぶさ２｣がサンプル採取に向かっている小惑星｢リュウグウ｣は、Ｃ型(Carbon)小惑星である。水や有機物が存在していると思われる。｢オシリス・レックス｣が向かう｢ベンヌ｣もまた炭素質の小惑星で、水や有機物が存在すると考えられている。このミッションは日本の｢はやぶさ｣の成功が大いに参考になっている。ベンヌは太陽系誕生直後にできた小惑星であるため、その頃の古い物質が変質せず存在している。サンプルを持ち帰れば、｢はやぶさ２｣の試料とともに、太陽系初期の状況が明らかになり、また生命の起源にも迫ることができる。ＮＡＳＡは、このミッションに約800億円投じたという。つまり、こういう根源的な研究にはそれだけの価値があり、科学者たちの強い期待があるということでもある。2020年に｢はやぶさ２｣が帰り、2023年に｢オシリス・レックス｣が帰ってくる。やがてJAXAとNASAが協力し、我々がどこから来たのかという究極の問いに、何らかの答えを出してくれることだろう。


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名簿・登録画面
名前＆ＩＤ・ 証明書

打ち上げ直前に届いたメール
Dear ******,
Launch day is coming for NASA's next interplanetary explorer! OSIRIS-REx is scheduled to launch this Thursday, September 8, 2016, from Cape Canaveral. It will take two years for the spacecraft to enter orbit at asteroid Bennu for a mission that will return samples to Earth in 2023. Look below for information on catching the live-stream of this historic mission launch.
ASTEROID SAMPLE RETURN MISSION