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File No.160421
先日、産経新聞社から「正論SP・日本国憲法100の論点」が発売された。これは産経新聞で100回にわたり連載されていたものをまとめたものである。百地章教授、西修教授をはじめ最高の執筆陣が中高生向けに、現行憲法の矛盾やどうあるべきかを、分かりやすく解説されている。私は昭和37年高校生のころ、参院選を迎える候補者の信条が載った新聞をスクラップしていた。その中に「憲法を改正したい。今の憲法は平和憲法ではなく敗戦屈辱の亡国憲法であり、米国が押し付けた非日的なものである」という候補者がいた。「正論SP」では、こんなところも「問題だらけの制定過程」で、詳しく解説されている。平成27年の世論調査では「日本を守る方法」として「現状通り、日米安保体制と自衛隊で」が84.6%、「日米安保体制をやめて自衛隊だけで」が6.6%だったという。日米安保体制と自衛隊を支持する人が90%を超えている。実に頼もしい限りだが、問題は「戦争になったらあなたは国のために戦いますか」という質問に「はい」と答えた日本人はわずかに15.1%だった。世界で日本がダントツでビリだという。ここに現在の問題点があるようだ。
中国は強大な軍事力を背景に、南シナ海で岩礁を埋め立てて軍事基地を建設し、西沙諸島には地対空ミサイルが設置され戦闘機も配備されている。東シナ海では、尖閣諸島を奪うための基地を建設し、尖閣諸島には中国公船が、領海侵入・接続水域の航行を繰り返している。尖閣諸島を奪おうとする意図は明らかなのだが、日常茶飯事で、もはや新聞などメディアが報道しなくなっている。そここそが中国の狙いなのだろう。しかも、日本の憲法では、尖閣諸島に中国の武装集団が上陸したくらいでは、自衛隊に防衛出動を発令することもできず、武器は自衛官の身を守るためだけしか使えない。そんなバカな話があるものか。諸悪の根源は憲法9条の2項だ。「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」。国は国の独立と平和、国民の生命、財産を守ることが使命である。ところがわが国には国防の規定が無い。しかも、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」である。つまり、中国、韓国、北朝鮮の公正と信義を信頼して日本の平和と保つということである。もう一度言う。そんなバカな話があるものか。
昭和21年、憲法が帝国議会で審議された時、9条に徹底的に反対したのが日本共産党と日本社会党(現・社民党の前身)だった。村山富市氏は首相になったら、それまで「自衛隊は違憲だ」としていた憲法解釈を「自衛隊は合憲である」と大転換をしたという。要するに左翼は、政府に反対することが目的であって、本当に国民を守ろうなどとは思っていない。反対のための反対だから「自衛隊は違憲だ」、「戦争になる」、「徴兵制になる」などと言いたい放題で、国民を政治利用しているにすぎない。民主党は、思想バラバラの寄せ集めに過ぎないから、党内の意見すらまとまらない。そこに今度、自衛隊を「軍隊」として位置づけていた「維新の会」が合流した。どっちみち主義主張など二の次、自分が可愛いだけの寄せ集め集団である。「正論SP」には、民主党の「東アジア共同体」についてこう書いてある。『東アジアにEUのような国際機構をつくって、日本の国家主権を一部これに移譲することを改憲の目標にしています。・・・この共同体は日本をはじめ中国、韓国などを構成国とするものです。・・・最終的には「政治統合」を果たすものとされています』。それこそ「正論SP」にある「これじゃあ日本が無くなってしまう」である。
アメリカ大統領予備選挙のニューヨークでは、トランプ候補が圧勝した。そのトランプ候補がアメリカ国民に対してこう言っている。「どうしてアメリカが日本を守らなくてはいけないのか?」「誰かが日本を攻撃したら、アメリカは駆けつけなければいけない。なのに、アメリカが攻撃を受けても、日本は助けにこない。日本はどうしてアメリカを 守らないのか?不公平だ」。こんな演説をしている候補がアメリカ国民に支持されている。つまり今のアメリカは、日本国憲法の成立過程など知る由もない。日本が血を流しているのを横目に、アメリカ議会が"助けに行かない"という議決をする可能性は高いかもしれない。以前、私はこのHPで『植木等ではないが「貢いだあげくが、はいそれまでよ〜」はアメリカと言えども例外ではない。その可能性も視野に入れて国家の戦略をたてることが対等で真に強い同盟関係をつくる』(2007/06)と書いた。「集団的自衛権」は、同盟を維持する最低限の条件である。先日海自の護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」がベトナムに寄港したのも、東南アジア諸国とのさらなる関係強化である。加藤清正は、強固な防衛能力の熊本城を築き、それを島津藩の参勤交代のとき、そのすごさが分かるところを通らせた。強い軍事力・防衛能力を持ち、それを見せることが抑止力となり平和が保てる。これこそが防衛と外交の基本である。

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力なき正義は無意味

「正論SP」105頁より
国民皆兵の国スイス
「軍事同盟を結んでいても相応の軍事力が必要だ。いわんや、同盟なくして自国の独立と安全を確保しようとするならば、その数倍の軍事力が必要だ」これがスイス人の考え方です。
スイス政府が国民に配布した「民間防衛」
スイス国民は、同時にスイスの兵士であり、国民はそれぞれの義務を遂行できるよう各自が武器をもっているが、国民の義務とは、武器を用いることが第一なのではなく、まず、その精神が問題である。外敵から国を守るため、及び国内の秩序を保つための、岩のような固い意思を持つ必要があり、その意思が強固であるときにのみ、われわれは持ちこたえることができるのである。・・・

2016/05/07 米大統領選・トランプ氏・共和党候補の指名獲得
共和党候補となったトランプ氏は、CNNテレビにインタビューで次のように発言した。
(発言のポイント)

米国には世界の軍隊、警察でいられる余裕はない。
米国は日本防衛に莫大な労力、エネルギー、兵器を投じている。日本には少なくともかかった費用を返済してもらいたい。
もし米国に適切に対処しなければ自力で防衛しなければならなくなる
トランプ氏が大統領になるか、ならないかという問題ではない。これをアメリカ国民が支持していること重く受け止めねばならない。机上の空論をこねくり回している左翼のバカども。真剣に領土・領海・領空、国民の生命を守ることを考えろ!!

2016/04/29 米大統領予備選・トランプ氏の外交演説
共和党の予備選でトランプ氏は次のような外交政策を発表した。
同盟国は、公平な負担金を支払っていない
同盟国が莫大な安全保障の負担による米国の財政的、政治的、人的コストに、より多く貢献すべきだ。
でなければ、米国は各国が自らを守るように準備しなければならない。選択の余地はない。
我々からみれば、思いやり予算の約2000億円をはじめ相当の負担をしているつもりだが、アメリカには負担をしてもらっているという意識はない。結局のところ
  必要な場合を除き、戦闘に私たちの部隊を送らない。本当に必要な場合にのみ、勝利のための計画がある場合にのみ派遣す
これが今のアメリカの本音である。

2016/04/25 北朝鮮SLBM発射
北朝鮮は23日、日本海でSLBMを発射した。北朝鮮のメディアは、金第1書記の言葉として「SLBM発射の大成功で海軍の水中作戦能力が非常に強化され、核攻撃をするための別の手段を持った。いつでもアメリカと韓国に核攻撃ができるよう核武力強化を進めるべき」と報じた。
2016/04/22 対中国機のスクランブル・昨年度571回と大幅増
中国機に対する自衛隊の戦闘機のスクランブル発進が大幅に増加した。前年に比べ、100回以上増えて571回だったという。防衛省は「安全保障環境としては厳しくなっていると認識すべきだ」との認識を示した。

(写真・上から) 著 者 発行所 摘 要
正論SP」 (平成28年4月)最新刊 産経新聞社 日本国憲法100の論点
「憲法の常識 常識の憲法 百地 章 文芸春秋 憲法を常識の立場から考察
「憲法改正の論点」 西  修 文芸春秋 国際比較を踏まえ提起する
一 個 人」 (平成24年6月号) KKベストセラーズ 特集「日本国憲法入門」