映画『ミッション:インポッシブル
ローグ・ネイション』
映画のページへ

随筆のページへ

トップページへ

File No.150821

「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」はこのシリーズ5作目となる。「ローグ・ネイション」とは、悪の組織で"ならずもの国家"というような意味だという。第1作公開から20年近くが経つ人気シリーズだが、絶対に不可能と思われる場所に侵入し、ミッションを果たすスパイアクションは今回も健在である。CGやスタントマンに頼らず、トム・クルーズ自身が体を張ったアクションを見せるのも常に話題になる。今回も、軍用機の外側ドアに張り付き、水中でデータを取り換え、激しいカーチェイスといった見せ場が用意されている。特にBMWスポーツバイク1000RRによるチェイスは圧巻である。共演陣の中ではベンジー・ダン役のサイモン・ペッグが、いい味を出している。今回3回目の出演になるが、最初はITのエキスパート、2回目はエージェント、そして今回イーサンと対等なエージェントにまで成長している。共演で特筆すべきはイルサ・ファウスト役のレベッカ・ファーガソンである。新人女優ながらトム・クルーズを相手に、堂々たる活躍をする。
A-400軍用機が飛び立とうとしている。ベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)が、機をコントロールし止めようとしているがロックがかかっている。イーサン・ハント(トム・クルーズ)は飛び立とうとする機の外側ドアに飛びつきそのまま空へ。「ドアをはやく開けろ!」。ベンジーは何とか機のドアを開け、イーサンは機内へ。敵と格闘し、危険物を奪って機から脱出する。場面は変わってここはロンドン。イーサンは今、悪の組織「シンジケート」を追跡している。イーサンはIMFの指令を受けるため、あるレコード店を訪れる。「初回プレス盤です」。プレーヤーにかけ指示を聞こうとするが、そこはすでに「シンジケート」の手に落ちていた。捕らえられたイーサンに拷問が待っていた。そこに現れたシンジケートの謎の美女・イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)に助けられる。一方、CIAでは、IMFを解体しCIAに移行しようとしていた。「IMFは規則を無視しがち。いつも運まかせ」。ロンドンで消息を絶ち行方不明のイーサンはCIAによる国際手配を受けることになる。
スウェーデン出身の新人女優レベッカ・ファーガソンが輝いている。今回のイルサ・ファウスト役にふさわしい女優を長い時間をかけ探していた。ところが、ミーティングに現れたレベッカを観たとたん即決だったという。その存在感、完璧な美貌、かつ知性を感じさせる雰囲気。ウィーンのオペラハウスでみせたあの華麗な姿、バイクによる危険なチェイスシーンでみせたあの颯爽とした姿、イーサンを助けたときのあの強烈な格闘を観れば納得がいく。イルサは、潜入捜査員としてシンジケートに入り込んでいる英国諜報員である。悪の組織の中にあって、常に死と隣り合わせの状況を切り抜けていく能力を持っている。これまでのIMFのチームの一員として機能しているエージェントとは本質的に違う。シンジケートに拉致されたイーサンを助け、水中の危険な状態のイーサンをも助け、バイクチェイスではイーサンを振り切りる。イーサンと対等な能力どころか、イーサンの能力を超えた働きである。次回作が楽しみだが、007のボンドガールにどうだろうか。
そもそも「ミッション・インポッシブル」は、1960年代の人気テレビドラマ「スパイ大作戦」が原作である。すぐれた作品には、007同様、すぐれたテーマ曲がある。そのテーマ曲をバックに、卓越した能力をもつエージェントたちが、チームリーダー指揮のもと鮮やかに任務を遂行する。前作の「ゴースト・プロトコル」では、エージェントたちが見事な連携を見せたシーンはそれを彷彿とさせた。今回もいくつか「スパイ大作戦」をイメージさせるシーンがある。その一つが英国首相拉致のシーンでイーサンが見せたアトリー長官への変装である。フェイスマスクによる変装は「スパイ大作戦」の常套手段だった。最後のシーンでは、イーサンが地下に落ち、動けない状態と見せて、ソロモン・レーンを透明な防弾ガラスの箱に誘い込む。そのガラスの箱は、あっという間にコンテナ車に積み込まれ、痕跡を残さず撤収する。まさに「スパイ大作戦」を想起させた。さて気になるのはイルサだが、イーサンとの別れの時「私を探せるわね」と、未来を暗示させる言葉を残して去っていく。

映画のページへ 随筆のページへ トップページへ

ミッション:インポッシブル
       ローグ・ネイション

 2015年8月公開
 アメリカ/2時間11分


 監督:クリストファー・マッカリー
 出演:トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン

 伝説のスパイ、イーサン・ハントが
 究極のミッションに挑む


「SCREEN」2015/09*1000号達成記念号 「SCREEN」2007/02*60周年記念号






「スクリーン」 1972/01
007/ダイヤモンドは永遠に
「スクリーン」 1979/05(付録)
映画ファン必携ハンドブック
「スクリーン」 1983/05(付録)
トップアイドル・ベストフィルム40




「SCREEN・1980年版映画ファンカレンダー」〜愛読者選出ベストワン作品集〜
1月「明日に向かって撃て」1970年度 2月「ドクトル・ジバゴ」1966年度
3月「ウェスト・サイド物語」1961年度 4月「ピクニック」1956年度
5月「サウンド・オブ・ミュージック」1965年度 6月「卒業」1968年度
7月「太陽がいっぱい」1960年度 8月「スター・ウォーズ」1978年度
9月「アラビアのロレンス」1963年度 10月「ロッキー」1977年度
11月「エデンの東」1955年度 12月「007/ロシアより愛を込めて」1964年




「一個人」2015年4月号
  特集*人生、最高に面白い「名作映画」*

個人的に記憶に残る映画
部門
映画
ラブストーリー(洋画)→ 「ローマの休日」オードリー・ヘップバーン
ラブストーリー(邦画)→ 「泥だらけの純情」吉永小百合
ヒューマンドラマ(洋画)→ 「道」アンソニー・クイン
ヒューマンドラマ(邦画)→ 「二十四の瞳」高峰秀子
アクション→ 「007/危機一発」ショーン・コネリー
SF→ 「未知との遭遇」リチャード・ドレイファス
ミステリー・サスペンス→ 「太陽がいっぱい」アラン・ドロン
コメディ→ 「アパートの鍵貸します」ジャック・レモン
ミュージカル→ 「マイ・フェア・レディ」オードリー・ヘップバーン
時代劇→ 「血槍富士」片岡千重恵蔵





テレビドラマ「リゾーリ&アイルズ」にジャクリーン・ビセット登場

昭和54年2月号
「SCREEN」付録
額縁用ポートレート集
「リゾーリ&アイルズ」のセカンドシージン第6話に、ジャクリーン・ビセットが出演していた。役どころは、モーラ・アイルズのセレブな母親役だった。これだけセレブ感を出しての出演であるから、今も映画界ではそれなりの存在であることが伺える。

コンスタンス・アイルズ(ジャクリーン・ビセット)は、現代アートの展覧会「コンスタンス・アイルズ展」のオープニングのために訪れる。その作品のひとつは、ペットボトルをつり下げたインスタレーションだった。

世界中を飛び回るセレブママというのは、こんな会話に表わされていた。『来月はスウェーデンのストックホルムで講演があるの。“戦後モダニズムにおける、女体の具象化について”のね。お父様とクロアチアで落ち合うと言ったかしら。ドイツ表現主義の祭典なの』

ジャクリーン・ビセットは、映画雑誌「スクリーン」の“愛読者選出・人気スター・ベスト20”で1971年から約10年にわたってランキング入りを果たしている。特に1975年には、女優の1位にランキングされた。