JAZZ タモリ | 随筆のページへ トップページへ File No.150707 |
「SWITCH」2015/05 特集:ジャズタモリ |
先日、天神西通りにある「無印良品」に行った時、2階のカフェに雑誌「SWITCH」が置いてあった。特集が「ジャズタモリ」だった。一通りめくってみたが、じっくり読まないと理解できないような難解な部分もあった。帰りにジュンク堂書店に寄って、在庫を調べてもらうと、まだあるという。タモリさんのジャズに対する思い、テレビに対する思想、あるいはタモリさんを取り巻く人たちの寄稿で、その人となりを浮き彫りにしている。その中でタモリさんについてこう表現していた。「タモリは自由です。・・・その自由さ、タモリの本質にジャズを重ねます。彼の生き方そのものがジャズのオフビートの精神なのかもしれない」。ジャズを聴く態度として、タモリさんは「ジャズは演奏者の自己主張が12小節に集約する音楽だ。ジャズを楽しむには、その話を聞いてあげる優しさをもたないといけない」と言う。これに雑誌編集者はこう付け加える。「聴くものが演じるものに対して何をするか、タモリの生き方そのものだ」。 |
タモリさん17歳の時、アート・ブレーキーの「モーニン」のリー・モーガンのトランペットに強い衝撃を受けたという。これがタモリさんのジャズ人生の始まりである。私もこのCDを持っている。このCDの小冊子の中にアート・ブレーキーがこう言ったと書いてある。「われわれが演奏しているのはモダン・ジャズだ。モダン・ジャズを理解するには、じっくり耳を傾けてもらうしかない」。モダン・ジャズを理解しない客に対して言ったものだが、ジャズな人の言葉である。この特集の企画で、タモリさんが、ジャズ喫茶「ベイシー」を訪れている。そのベイシーで聴いた19枚のジャズの中には、アート・ブレーキーはもとより、クリフォード・ブラウン、マイルス・デイヴィスなど、私も聞いてみたい盤がいくつもあった。なかでもクリフォード・ブラウンとマックスローチの「The Beginning And The End」は、タモリさんが、かなり気に入っていたという。見つけたらぜひ買いたい。 |
アート・ブレーキー(1958) (tp) リー・モーガン |
ブルックナー交響曲第4番 朝比奈隆指揮大阪フィル |
タモリさんは、ラフマニノフを聴くと指揮がやりたくなるという。ということで「ベイシー」で、ラフマニノフがかかり、タモリさんは、スピーカーに向かって指揮を始めたという。私の音楽の守備範囲は広いが、クラシックについて言えば、最近ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」をよく聴いている。これはテレビ番組の「題名のない音楽会」で、日本で本格的に交響曲を演奏する先駆けとなった曲だと紹介していた。ヨーゼフ・ラスカによって日本にオーケストラ文化を根付かせた曲なのである。日本でブルックナーを得意とする指揮者は、大阪フィルの朝比奈隆氏だという。ラッキーなことに、朝比奈隆指揮、大阪フィルのCDを見つけた。タモリさんのように、聴くと指揮がしたくなるといえば、私はマーラーの交響曲第5番である。そのドラマチックな展開にはまる。 |
『人間の思想は二つに分かれるとタモリは言う。「平地」の思想と「坂道」の思想。平地の思想は存在を時間で考えようとする。タモリはその例としてハイデガーを挙げた。そして坂道の思想は崖の上に立って自由意思が死を選ぶことができるという、不安と隣り合わせで生きることを選ぶ、キルケゴールを挙げた』。タモリさんは言う。「人は向上心なんか持つとロクなことはない」「ジャズも向上心を持ったらダメになる」。「向上心」、それはキルケゴールのいう美的実存を手に入れたいという心理ではないか。その行きつく先は、何の意味も見出せない挫折感である。自分の人生を自分の責任において歩いていく。今日という日に、己のすべての力を出し切って生きていく。ジャズは各パートを自由なアドリブで演奏していく。そこには自由意思が存在し、自分の技量と想像力の全てをもって表現する。自分自身の深い部分と向き合い、実存する自分を見いだす。そこにこそ"ジャズな生き方"がある。 |
クリフォード・ブラウン(1953) メモリアル・アルバム |
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アート・ブレーキー(1954) (tp)クリフォード・ブラウン |
クリフォード・ブラウン(tp) &マックス・ローチ(ds) (1954) |
マイルス・デイヴィス 1954−1956 |
マーラー交響曲第1番 |
マーラー交響曲第5番 |
マーラー交響曲第9番 |
昭和40(1965)年11月12日 当時、博多大丸は、まだ呉服町(福岡市博多区)にあった。 | |
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