『違憲、違憲で 国滅ぶ』 | 随筆のページへ トップページへ File No.150619 |
昨日(6/18)の衆院予算委員会の論戦で、安倍首相はこう答弁をした。「日本人を守り、日本のリスクを減らす根本を見ながら議論していくことこそ、私たちに課せられた使命だ。国際情勢に目をつぶり、従来の解釈に固執するのは政治家としての責任放棄だ。・・・・・時々の内閣が"必要な自衛の措置"が何かを考えるのは当然だ」。ここに今回の安保法制審議のポイントがある。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。国の防衛体制の確立は喫緊の課題である。政府には国家の主権、国民の生命財産、を守るという責務がある。国会の論戦は、この根本を見失ってはならない。「違憲、違憲で国滅ぶ」。「砂川事件」の最高裁判例は『わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではない。・・・・わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能行使として当然のことといわなければならない』となっている。 |
法学者・百地章教授がその「砂川事件」の最高裁判例を詳しく解説(産経新聞・正論)されている。その内容はこうである。『この事件で問題とされたのは米駐留軍と旧安保条約の合憲性であった。同条約は「すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認し」たうえ、日本国が「これらの権利を行使として」米軍の国内駐留を「希望する」(前文)としている。つまり、旧安保条約締結当時(昭和26年)、わが国政府は「集団的自衛権の行使」を認め、国会も承認したわけである。だから同判決は集団的自衛権を射程に入れた判断であって、判決のいう「自衛権」の中には当然「個別的自衛権と集団的自衛権」が含まれる』。国会で答弁した学者は、従来の政府見解の枠を超えた解釈と答弁しただけだという。百地章教授は、国際法と憲法さらに最高裁判決に照らして疑義が無い以上、政府与党は自信を持って安全保障関連法案を推進すべき、と述べられている。 |
先日の報道によれば、中国海警局は、尖閣諸島へ派遣する大型船が停泊できる大規模な基地「温州指揮総合保障基地」の建設計画を進めているという。尖閣諸島に近い温州での拠点建設により、尖閣での監視活動態勢を強化する。一方中国軍は、尖閣列島にさらに近い南キ列島に軍事拠点を整備している。中国は、軍と海警局がそれぞれ尖閣列島をにらんで、着々と準備を進めている。中国による南沙の人工島の埋め立てはほぼ完成に近い。写真を見ると、何もなかった海に、3kmの滑走路を含む巨大な人工島が出現している。ここが南沙における中国海軍と空軍の拠点となる。強大な軍事力を背景にすれば、フィリピンやベトナムがどんなに反対の声を上げようが聞く耳持たぬである。軍事力のバランスこそが平和を維持する。昨今の中国の動きを見るに、日米安保条約をより強固なものとしておくことは、自明の理である。要は尖閣有事において、米議会が"日本のために血を流してくれる決議"をするかどうかである。 |
左翼政党、左翼テレビ、左翼新聞は、現実には即さない理想だけを言い、正義面をする。真に国家の主権を守ろうとする政府の足を引っ張ることにかけては命がけである。左翼は国民の生命・財産を守るための手段を持たない。追い込まれると「外交努力」と言う。外交努力は、軍事力の背景があってはじめて機能する。今の中国と、フィリピン、ベトナムをみれば理解できるだろう。それに追い打ちをかけるように「この法案が通れば、日本が地球の裏側まで行って戦争する国になる」と不安をあおる。しかし、問題は我々国民が、我々の生命財産を守るにはどうあるべきかをしっかり判断する目を持つことだ。「私は平和を愛する」と言っておれば、平和が向こうからやってくる訳ではない。非武装中立など、現実世界では成り立たない。最高裁判例の「憲法の平和主義は、決して無防備、無抵抗を定めたものではない」をしっかり踏まえよう。まず我々が、冷静な判断が出来るだけの知識を持たねばならない。 |
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