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File No.140920


映画「2012」より
先日、「科学を語る会」の第2回講演会があり聴講してきた。九州大学名誉教授・伊藤久徳氏による講演で、テーマは「異常気象について〜頻発する大雪・猛暑・豪雨〜」だった。大規模場での循環・変動、特に異常気象に関する現象を原理的な面から分かりやすく教えていただいた。
異常気象とは⇒30年に1度程度起こる現象。
気候変動とは⇒長年(30年程度)の平均状態の変動。
温暖化とは⇒気候変動のひとつ。平均状態での気温が上がる。(100年スケール)
大規模場の異常気象は、偏西風の大きな蛇行やブロッキング現象が大きく関係している。特にブロッキング現象という偏西風帯のジェット気流が大きく南北に蛇行し、その状態が1週間以上続く現象が異常気象と密接に関係しているという。特に意外だったのが、大雨の頻度が増える反面、弱い降水も含めた降水の年間日数は減少していたことだ。経年変化のグラフでは確かに日降水量100mm、200mm以上の年間日数は漸増し、日降水量1mm以上の年間日数は漸減していた。

最近、天候に関して頻繁に耳にする言葉がある。「大気の状態が非常に不安定」、「経験したことのない大雨」、「ゲリラ豪雨」などである。「記録的短時間大雨情報」という気象予報用語まである。IPCCは報告書でこんな警告をしている。『このままでは今世紀末に世界の平均気温は産業革命前より3・7〜4・8度上昇する。国際目標の2度未満を大きく上回る。水資源や農作物などへの悪影響はすでに表れている。熱波や洪水、台風など極端な気象現象や海面上昇の恐れが高まり、生き物の大絶滅が起きかねない。水や食料の欠乏は、人間を戦争に駆り立てる要因にもなる』。温暖化の影響により、今世紀末には年間148億円の経済的損失が予想されているというが、それはすでに現実のものとなって甚大な被害をもたらしている。先日の広島の災害は、誰もが生命と財産を一気に奪われる可能性を示している。
映画「2012」より


映画「デイ・アフター・トウモロー」より
先日、原子力規制委員会は、九州電力の川内原発が新規制基準をクリアしているとして、合格の認定を与えた。ようやく原発の再稼働へ動き出した。ただ規制委員会の田中委員長は『科学技術に100%リスクゼロということはない』と釘を刺した。当然ではあるが電力会社は、それを充分に踏まえて臨まなければならない。東日本大震災では、福島原発と同じような立地条件で、同じ高さの津波に襲われた女川原発は被害を免れた。そこには建設する時の、独自の知見に基づく慎重な判断があったからだ。今後の再稼働に向けた電力会社に求められることは、まさにその緊張感のある取り組み姿勢だと言える。今、高騰する電力料金に悲鳴をあげている企業が多くある。中小企業にとって、これは死活問題である。「健康のためなら死んでもいい」というブラックジョークがあるが、今のままでは「原発を稼働させないためには、日本が破たんしてもいい」ということにもなりかねない。要はリスクを最小限に抑え、経済や環境とのバランスを取りつつ、再稼働させていくということが望ましい。

現在の日本は、発電量の9割を火力発電に頼って、大量の化石燃料を輸入し、大量のCO2を撒き散らしている。日本がCO2削減目標としていた25%の削減(この目標自体が無謀ではあったが・・・)どころか、昨年の目標は逆に3%増やす目標になった。これでは世界から非難を受けても致しかたない。気候変動による災害が全世界で現実となった今、適応策を講じなければ、取り返しのつかない負の遺産を残すことになる。以前、テレビ番組の「コージ魂」で、恐竜学者の小林快次先生がこんなことを言っていた、『「種の寿命」というのがある。種は生まれて繁栄して衰退していく。種の寿命は700万年から1000万年くらいで、種のターンオーバーという』。今、日本は自ら「種の衰退」を加速させていると言っても過言ではない。政府が決定したエネルギー基本計画では、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけている。温暖化の原因が、化石燃料の大量消費であることは世界の共通認識である。バランスのとれた、適切なエネルギー政策が求められている。
映画「デイ・アフター・トウモロー」より


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CO2排出量の比較
石炭火力: 原発の47倍
石油火力: 原発の36倍
液化天然ガス: 原発の29倍
再生可能エネルギー: 原発とほぼ同じだが不安定