ANA B787−9を撮る 随筆のページへ

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File No.140908

ANA B787-9 機体番号
全日空(ANA)は8月7日から「ボーイング787-9型機」を、羽田〜福岡線に就航させた。この他、羽田〜伊丹線と羽田〜松山線へも投入する。定期便として投入されるのは、世界でも初めてだという。この初号機の後、今年度中に、国際線仕様を含む2機を受領する予定である。ANAはこれまでに-8と-9合わせて787を80機発注しているというから、787は次世代の主力機種になる。ANA向けの787-9型初号機(JA830A)は、7月末頃受領したが、国内線就航に先立って8月4日には、小学生80人を含む171名が招待され世界初の旅客フライトが行われた。この時のセレモニーに、キャロライン・ケネディ駐日米国大使が出席され、「両国の深く永続する絆を作る上での数え切れない日米連携のシンボルでもあります」と挨拶をされた。そんな日米友好の意味を込めて機体には、それを象徴するロゴ「TOMO DACHI」が描かれている。

787の部品には、炭素繊維複合材料など、日本の最先端技術が多く使われている。これらにより異次元ともいえる快適性が実現した。その787-8の性能をベースに、787-9は全長が6メートル長くなり、国内線仕様では、約60席多く設定されている。しかし、フルサービスキャリアとして、お客さまに大いにアピールしたいのは、その快適性である。就航式典で全日空の篠辺社長が「従来機より機内湿度が2割高く、お肌に優しい飛行機」とあいさつしたように、居住性に優れている。一方経営としても、全長が長くなって客席が増えると同時に、貨物の搭載量も増える。これで燃費性能が、同クラスの機種と比べて、23%も向上しているというから、運航の効率はかなり良くなる。787-9を多く保有するということは、すなわち国際線で優位に戦えるということである。エンジンは787-8同様、ロールス・ロイスのトレント1000で、RRのロゴが付いていた。
ANA B787-9 エンジン


三菱MRJ
三菱リージョナルジェット(MRJ)は、三菱航空機が開発した国産旅客機である。YS-11以来、半世紀ぶりの国産旅客機だが、ジェット機としては日本初ということになる。MRJは、70〜90席の小型ジェット機で、この市場は今後大きく伸びると期待されている。このクラスはすでに、ボンバルディアやエンブラエルが先行しているが、MRJは燃費効率や静粛性など最先端の技術の導入で、優れた性能を売り込んでいる。来年には飛行試験をする予定で、2017年に初号機の納入を目指している。採算ラインがどれくらいか分からないが、受注はすでに400機を超えたようだ。航空機の製造は、高度な技術力の結晶といえる。零戦という優れた戦闘機をつくった日本である。航空機部品のすそ野は広く、技術屋さんたちの魂を呼び起こすに違いない。航空機製造が、日本の基幹産業に発展していくことを期待させる、夢のあるジェット機である。

先月、政府専用機検討委員会は、政府専用機の後継機をボーイング777-300ERに決定した。これまではボーイング747-400だったが、老朽化と同型機の退役が進み、新しい機体の選考となった。これに伴い専用機の整備を行う航空会社の募集が行われ、ANAとJALが応募した。機体の整備、乗組員の教育、経費などが総合的に判断された結果、今後はANAが整備をすることになった。経営破たんしたJALに代わって、ANAがナショナルフラッグキャリアとなったのである。ANAHDの伊東社長は「責任を全うすべく、全社を挙げて取り組む」とコメントした。「inspiration of JAPAN」という品質向上に真摯に取り組む企業風土が、こういうところに表れる。日本を代表する航空会社として、さらなる経営の安定を図らねばならない。羽田の発着枠の拡大で、今後のANAの成長は国際線への進出が大きく貢献する。訪日外国人2000万人や、2020年の東京オリンピックを視野に入れると、国際線進出は必須条件である。B787-9の積極的な導入が、それを支えることになる。
福岡空港国内線ビル再整備


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2016/08/16 MRJ 試験機、米国へ
MRJの試験1号機を米国で飛行させるための準備が進められている。実用化に向け、米ワシントン州モーゼスレイクにある空港で、本格的な試験飛行を行う。早ければ今月(8月)末にも飛行させる。その後、全部で4機をもちこむ予定だという。米国での試験期間は約1年を見込んでおり、ANAへの納入は2018年半ばの予定。