映画「ローン・サバイバー」を観て |
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この映画は、実際に作戦に参加し、帰還した隊員の証言に基づく、実話の映画化である。アメリカ海軍の精鋭ネイビーシールズ4人の壮絶な戦いが描かれている。映画の冒頭に描かれる過酷な訓練は、隊員たちの身体能力の高さ、精神力の強さに加え、隊員たちが強い信頼で結ばれていることを教えてくれる。「頼れる仲間は最高だ」。彼らは厳しい訓練を生き抜いた0.5%の超エリートたちである。映画ではわずか4人の隊員が、200人を超すタリバン兵士と壮絶な戦いを繰り広げる。しかしそれは決して米軍の栄光ではない。ネービーシールズ史上最悪の惨事といわれる失敗に終わった作戦である。圧倒的に不利な敵の土俵の中で、孤立した隊員たち。絶望的な状況にあっても「決して戦いから逃げない」と、最後まで軍人としての誇りをもって死闘を繰り広げる姿はまさに感動である。ただ、映画はリアルな戦闘の現実を突き付けるだけではない。人間としての生き方を、観客に問う深さもある。全米1位の興行収入の大ヒットとなったのも、そんなところが受け入れられたのかもしれない。 |
2005年6月、アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズによる特殊任務が遂行されようとしていた。タリバンの指導者アフマド・シャーの捕捉と殺害を目的とする "レッド・ウィング作戦"である。この特殊任務決行に先立ち、シャーの存在を確認すべく、4人のシールズ隊員が偵察に赴く。山の裏側に下りた4人は、足場の悪い山道を、夜を徹して偵察地点を目指す。何事もなく地点に到着し、シャーの姿も確認、すべが順調だった。ところが、電波の状況が悪い。ひとまず偵察地点に潜むことにした4人だが、そこに地元の山羊飼いが通りかかる。拘束した山羊飼いたちをどうするのか。無線が通じないので、指令部の指示を仰げない。「撃つか」、「許可されていない」。彼らは究極の選択を迫られる。結局「非武装の非戦闘員を攻撃してはいけない」という戦闘規則に従い、山羊飼いらを解放する。「さっきの決断は愛にあふれている」。ところが、この決断は4人の運命を大きく狂わせることになる。 |
映画「ナバロンの要塞」(1961年)の中で、ミラー伍長が言う。「人類が死滅するまで、戦争は無くならんさ」。動物の本能として、生き抜くため、種を保存するために、より広く条件のいいテリトリー(縄張り)を確保しようとする。その裏付けとなるのは「力」に他ならない。人間の場合、これに「カネの力」が表裏一体となる。そのいい例がウクライナの問題である。ウクライナが混乱するなか、あっという間にロシアが武力を背景に、クリミアを編入した。これに国連は何ら機能せず、アメリカは足元を見られ、欧州諸国も経済的な面から今一つ動きが鈍い。今「世界の警察」を自負していたアメリカが揺らいでいる。そのアメリカは、今月はじめ、4年ごとの国防計画を見直し発表した。新たな方針では、海軍の艦船の60%を太平洋地区に配備するなど、アジア・太平洋地域を重視したものとなっている。だがアメリカは深刻な財政赤字を抱えている。国防費削減に伴って、陸軍兵力の大幅な削減に踏み切る。映画に描かれているアフガニスタンからも、今年中には撤退する。 |
アメリカのテレビドラマ「リベンジ」の中で、こんなことを言う。「人生とは選択の積み重ねだと言われる。でも人生を決めるのは選択ではない。"覚悟"である」、「"覚悟"とは自分との約束。目的のために全てを尽くすこと。心に決めること」。山羊飼いに遭遇したマーカスたちは、前線におけるセオリーで射殺するのか、軍規や人間としての倫理を選択するのか。それは自分たちの生死をかけた"覚悟"に他ならない。衛星電話で指令部に救出を要請するため、見晴らしのいい場所に出ていくのもまたしかり。アパッチが出払って援護がないまま、戦友の救出に向かう救援ヘリも一つの"覚悟"である。絶望的な状況から辛くも脱したマーカスだが、タリバンの兵士か、民間人か見分けがつかない中で、差しのべる手を信頼するかどうかの決断もまた自分の命をかけた"覚悟"である。こういったシーンにおける"覚悟"を考えてみるに、そこに流れているのは人間としての倫理観ではあるまいか。それはただ一度の人生をどう生きるかということでもある。 |
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「ローン・サバイバー」 2013年/米/121分 2014/03/21公開 監督:ピーター・バーグ 出演:マーク・ウォールバーグ他 2005年、アフガニスタン、 米特殊部隊ネイビーシールズ ただ一人、奇跡の生還 |
2014/04/07 日米防衛相会談 | ||||||||
6日に、訪日中のヘーゲル米国防長官と小野寺防衛相の会談が行われた。共同記者会見では、2017年までにミサイル迎撃機能を搭載したイージス艦2隻を追加配備するとの計画を発表。この増強で計7隻態勢となる。 さらにヘーゲル国防長官は、次の中国訪問に先立って次のようにコメントした。 『私が中国に行ったら日米の条約上の責務や日本とのパートナーシップについて、米国の立場をあらためて明確に伝える』。 尚、今回の日米防衛相会談のポイントは次の通り。
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