新防衛大綱(2013) E2C 随筆のページへ

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File No.131215

オスプレイ
新防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)が、17日に閣議決定される予定である。安倍首相は「わが国の安全保障のありようを決定する歴史的文書になる」と話す。今回の大綱の大きな特徴は、現在の「動的防衛力」に代わり「統合機動防衛力」を基本理念に掲げたことにある。これは陸海空3自衛隊の統合運用をすることによって、機動的な防衛力を展開しようとするものである。“今、そこにある危機”には、NSCの的確な情勢判断を、合理的な部隊運用で迅速に対処することが求められる。今回の方針では、これまでの「節度ある防衛力の整備」という表現は削除される。南西諸島への防衛力を整備し、中国の軍事的脅威に対し、日本の主権を守り抜く明確な意思を示したといえる。中国がこれだけ傍若無人な行動をとるのは、背景に軍事力の台頭があるからだ。さらに何を起こすか分からない北朝鮮がいる。平和を保つ外交の基本は、軍事的なパワーバランスである。
防衛大綱のもとで、今後5年間の防衛力の整備を示すのが中期防である。大まかな内容は下記の通りである。「与那国島に陸自の沿岸監視部隊を新設」「南西諸島に初動担任の警備部隊を新設」など南西諸島攻撃への警戒監視体制を充実させている。これに加え早期警戒機E2Cの飛行隊を那覇基地に新設する。これまで三沢基地を拠点としていたが、半数を那覇に移し、第2飛行警戒監視隊となる。無人偵察機グローバルホークも導入される。一方戦闘機については、那覇基地の戦闘機部隊飛行隊を倍増する。これに伴い空自は大規模な改編となる。那覇基地には、築城基地のF-15が20機移駐され、築城基地には三沢基地のF-2が20機移駐される(尚、三沢基地には、次期主力戦闘機F-35が随時配備される)。これで那覇基地にF-15が40機、築城基地にはF-2が40機となり、那覇と築城で80機体勢になる。これに那覇のE2C部隊の新設ということで、南西諸島の抑止力は格段に高まりそうだ
グローバルホーク

機動戦闘車
兵器関係で目を引くのがいくつかある。まず「オスプレイ17機」の新規導入がある。以前沖縄米軍基地に、オスプレイが配備されたとき、私はこう書いた。「・・・CH46に対してMV22は飛躍的に能力が向上する。巡航速力は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は約4倍になる。さらに航続距離は3900kmで空中給油機能を持っている」。尖閣諸島の有事においては、この機動力が必要不可欠になる。「機動戦闘車」という耳慣れない兵器が導入される。左の写真のように一見戦車に見えるが、車輪に一般車両と同じタイヤを装着し、最高時速100kmで走行できるという。今後戦車が順次削減され、機動戦闘車が導入されていく。これが最大の利点は軽量なので有事に空輸ができることである。次に「水陸両用車」の整備がある。新設された「水陸機動団」の離島上陸作戦などに使用される。敵に離島が占領されたとき、これで上陸し奪還する。いづれの兵器も南西諸島の防衛に大いにその威力を発揮しそうだ。



今回の防衛大綱には「敵基地攻撃能力の保有」は盛り込まれなかった。「日米間の適切な役割分担に基づき、ミサイル発射手段への対応能力の在り方について検討を行い必要な措置を講じる」という表現になったという。北朝鮮にしても、中国にしても、日本に照準を合わせた弾道ミサイルが相当数あるはずだ。それが次々に発射された場合、そのひとつひとつに対処など出来るはずもない。反対する側の論理は決まって「専守防衛を逸脱する」「周辺国の不安を高める」などである。だが以前に「他に手段がない場合、誘導弾の基地をたたくことは自衛の範囲内」という統一見解も出されている。敵基地攻撃能力は、発射元を無力化すると同時に、それ以前に抑止力として有効に機能する。今回の防衛大綱と中期防は概ね満足しているが、敵基地攻撃能力の保有と、集団的自衛権の行使が盛り込まれなかったのは残念である。
水陸両用車


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中期防で計画された自衛隊の主な装備
・与那国島に陸自の沿岸監視部隊を新設
・那覇基地に早期警戒機E2Cの飛行隊を新設
・同基地の戦闘機部隊飛行隊を倍増
・新型輸送機オスプレイの新規導入
・水陸両用車の整備
・南西諸島に初動担任の警備部隊を新設
・機動戦闘車の配備
・無人偵察機グローバルホークの新規導入
・イージス艦2隻追加配備  など

2014/07/08 揚陸艦の導入を検討

米海軍・強襲揚陸艦「マキン・アイランド」
「揚陸艦」は、地上兵力を、港湾施設の無い砂浜などに上陸させるための艦艇である。防衛省は、海上自衛隊への導入を本格的に検討する。小野寺防衛相は「島しょ防衛のため、必要な部隊を速やかに展開できる多機能の輸送艦という意味合いで考えたい」と話す。これは中国の尖閣諸島侵略などを想定している。導入されれば、抑止力はかなり向上する。防衛相が視察した「マキン・アイランド」は、250m以上の甲板を持ち、海兵隊とともに、オスプレイや水陸両用車、ヘリコプターなど多数を輸送できる。一刻も早い導入を期待したい。