映画「四十九日のレシピ」を観て | 注)ネタバレです。先に映画鑑賞されることをお勧めします。 |
映画のページへ | 随筆のページへ | トップページへ | File No.131121 |
それまで居てあたり前だった妻であり母である乙美が突然逝ってしまった。残された家族はそれをどう受け止め、受け入れて、ふたたび自分の人生を歩きだせばいいのか。「母の人生が知りたいんです」、「そうそう、このレシピカード。これこそ乙美さんの人生じゃないかしら」。彼女の遺した手作りのレシピには、暮しの知恵やアドバイスがいっぱい書かれていた。それが残された人それぞれの人生の踏切り板となって、新しい一歩を踏み出させていく。そんな物語である。百合子を演じているのは永作博美。「八日目の蝉」では愛人の娘を誘拐して育てる女性を演じ、最優秀助演女優賞を受賞した。しかし今回は一転して、自分の悩みも打ち明けられず、内に抱え込むような女性を演じている。母の人生に触れ、少しづつ変わっていく百合子を、確かな演技力で表現する永作博美がいい。 |
妻・乙美の突然の死から数日が経っていた。不器用な夫・熱田良平(石橋蓮司)は、なす術もなく呆然と日々を過ごしていた。そこにギャル風の派手なイモと名乗る女の子が訪れる。イモは乙美から生前、私が死んだら四十九日までこの家の面倒を見るようにと言われていたのだ。一方、百合子(永作博美)は、夫・浩之(原田泰造)と愛人との間に子供ができ、離婚を決意して実家に帰ってくる。乙美の遺した暮らしのレシピカードで、少しづつ日常生活に慣れてきた良平。レシピの四十九日には「みんなで楽しく、呑んで食べて大宴会」と書かれていた。「やるぞ、盛大に大宴会」。一気に四十九日に向けて動き出す熱田家。そこで乙美の「人生の年表」を作ろうという案がでる。だが、乙美の年表は空白だらけだった。「こんな真っ白の年表じゃ、お母さんかわいそう。私は絶対この空白を埋めたい」と百合子が動き出す。 |
「川のそばの家、いい家よ。亡くなった人たちが、その川の向こうから、私たちを見守ってくれているんだから。本当にいい家だわ」。熱田家の前には、川が流れている。この川が折に触れ重要な役割を果たしている。「百合ちゃん、迷ったら川にくるといいよ。答えが見つかるから。迷う気持ちを水に流して、前に進ませてくれるのよ」。前を流れる川は、心を清めてくれる川であり、またあの世との結界でもある。良平が川辺に座り込んで「乙美、お前はこんな男と結婚しちまって」とつぶやく姿には哀愁が漂う。乙美の魂が、この世を離れる最後の日の大宴会で、全員が別れを惜しみ「アロハ オエ」を踊るシーンで、「アロハ オエ」をバックにこの川が映し出される。『ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。・・・世の中にある人とすみかと、またかくの如し』である。 |
果たして乙美の人生は、幸せだったのだろうか。四十九日に向けて作った年表はまっ白だった。暗い部屋の中で、空白の年表を前にたたずむ良平。百合子は一生懸命、母の人生を聞いて回る。結婚したときは天涯孤独の身、結婚してからも子供を産まなかった乙美の年表は空白のままだった。だが四十九日の大宴会には、生前乙美が関わった人たちが大勢訪れる。「あの年表の隅っこに私のこと書いていいですか」「隅っこなんて言わないで、真ん中に大きく書いて」「そんなことならおれもにも書けるよ」。宴会が終わって後片付けをしている百合子は、年表がすべて埋まっていることに気づく。空白は乙美が関わった人たちの思い出で埋められていた。「どこもかしこもきれい。お母さんの人生、どこにも空白なんてない」。多くの人の心に生き続ける乙美の人生は、幸せだったと言える。 |
映画のページへ | 随筆のページへ | トップページへ |
映画「四十九日のレシピ」 2013年11月公開/129分 原作:伊吹有喜「四十九日のレシピ」 監督:タナダユキ 出演:永作博美、石橋蓮司 他 四十九日のページには、 「みんなで楽しく、呑んで食べて大宴会」 と書かれていた。 |
「Blendy Stick カフェオレ」 この一箱に30本のスティックが入っている。その一本一本の裏に「ホッと幸せ♪エピソード」として、短いエピソードが印刷されている。それは毎日の中にある小さな幸せであるが、こんなことの積み重ねが“幸せな人生”なのである。カフェオレを飲むとき、今日はどんなことが書いてあるか楽しみながら飲んでいる。一部を紹介してみよう。特に分類されている訳ではないが、私が勝手に分類してみた。 |
|||||||||||||||||||||||||
|