ウィスキーが、お好きでしょ

ブルックリン・パーラーにて→
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File No.130703
ラジオから、いい雰囲気の音楽が流れてきた。サキソフォンが誘うようにささやき、ミュートトランペットがあやしく絡み合う。まるで50年も昔にタイムスリップしたような感覚に陥った。一体だれが演奏しているのだろうか。曲は「ウィスキーが、お好きでしょ」、演奏は女性アルトサックス奏者・矢野沙織、トランペットは日野皓正さんだった。ネットで調べてみると、矢野沙織が10周年記念で出したアルバムで、曲目はリクエストによるものだという。リクエストによる選曲だけに、耳慣れた曲が並んでいる。早速購入した。日野皓正さんとの共演がもう一つあった。「チュニジアの夜」だが、これは「ウィスキーが・・・・」とがらりと変わって、荒々しいバトルが繰り広げられている。
アルバムに入っている冊子に、こんなことが書いてあった。
14歳で家を飛び出してほうぼうのライブハウスに出演交渉をしては門前払いに会い、新宿駅東口で歩き疲れて、とうとうしゃがみこんで泣いてしまったことを思い出します。あの頃はまだ、女子供がバップをやるというのが珍しく、また信用もなかったのです。どうにか、出演させて下さるライブハウスを見つけ・・・・・ 15歳になると同時にニューヨークへ行き、本場の強烈な可愛がりにあい・・・・
なんという激しい生き方だろうか。ジャズはある意味、生き方をベースにした表現方法でもある。
JamesMoody「サオリ、いいね。音楽のために生きるんじゃないよ。生きるために音楽をやるのさ。いいね」
これが矢野沙織の人生に大きな一言になったという。矢野沙織の人生に、紆余曲折があったとしても、きっと持前のバイタリティで切り拓いていくことだろう。
「博多リバレイン」(福岡市・下川端)の1Fに「ブルックリン・パーラー博多」がある。ここはリバレインがテコ入れし、親しみやすい雰囲気にした最初の店舗である。ブルーノートジャパンが監修する店で、コンセプトは「人生における無駄で優雅なもの、ぜんぶ」と洒落ている。店内にはジャズな流れ、ニューヨークの雰囲気を演出している。当然ライブもできるようになっていて、今月は7/18に小沼ようすけのライブが予定されている。ブルーノート東京の方は、クインシー・ジョーンズ、ディオンヌ・ワーウィックなど、大物ミュージシャンが来る。8/16〜18にはテレンス・ブランチャードのステージがあるようだ。行ってみたいが、東京はちと遠い。
「JAZZ JAPAN」というジャズの雑誌がある。最新号Vol.35ではナット・キング・コールを特集し、その魅力を四つの視点から解説している。私は10代後半、よく聴いていたが、当時ジャズという認識はなかった。ジャズといえばモダンジャズだった。今はその垣根がなくなってきたということだろう。「JAZZ JAPAN」の中で、青木保氏は「今やジャズは日本人にとって自分の国のものといっても過言ではない文化となった」と言っている。纐纈歩美や寺久保エレナといった女性サックス奏者が次々と誕生していることを思えば、成熟期に入ったといえるのかもしれない。少なくとも矢野沙織が、その先駆けであったことは間違いない。




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矢野沙織「 Answer 」

COLUMBIA COCB-54001

Saori Yano(A-Sax)
Toru Nakajima(Pf、Tb)
Ken Kaneko(Bass)
Nobuyuki Komatsu(Drums)

GUEST:Terumasa Hino(Tp)(Tr.7&14)
(1)酒とバラの日々(2)オール・オブ・ミー(3)ムーン・リバー(4)砂とスカート(5)ムーディーズ・ムード・フォー・ラブ(6)「タクシードライバー」のテーマ(7)チュニジアの夜(8)シング・シング・シング(9)Answer(10)ワルツ・フォー・デヴィ(11)バラ色の人生(12)ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム(13)レフト・アローン(14)ウィスキーが、お好きでしょ

「Popular Vocal Best Collction」

もう20年も前になると思う。10枚組のCDを買った。
1枚に20曲、合計200曲が入っている。
当時、歌手と曲目を見てほとんど衝動買いだった。 今もよく聞いている。
この中に、ナット・キング・コールの曲が15曲入っている。「アンフォゲタブル」は、フィルムの中の父と、ナタリー・コールとの感動の共演で更に有名になった。
(1)枯葉(2)モナ・リザ(3)トゥ・ヤング(4)恋に落ちた時(5)プリテンド(6)カチート(7)ラブ(8)スターダスト(9)魅惑のワルツ(10)アンフォゲタブル(11)キサス・キサス・キサス(12)パパ・ラブス・マンボ(13)暑い夏をぶっとばせ(14)君住む街で(15)ネイチャー・ボーイ
その他、ジャズ・ヴォーカルの大御所たちの曲が収録されている。

ビリー・ホリデイ: 「恋は愚かというけれど」「オール・オブ・ミー」など15曲
エラ・フィッツジェラルド: 「マイ・メランコリー・ベイビー」「サテン・ドール」など5曲
カーメン・マクレー 「月光のいたずら」「ラヴァー・マン」など4曲
サラ・ヴォーン: 「バードランドの子守歌」「ラヴァーズ・コンチェルト」など5曲
アニタ・オデイ: 「ハニーサックル・ローズ」「A列車で行こう」など5曲
ヘレン・メリル: 「バイ・バイ・ブラックバード」「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」など7曲

この顔ぶれと曲目を見たら、やはり衝動買いする。