地方紙の実体
随筆のページへ トップページへ File No.130418

2012年6月12日・西日本新聞
随筆No.436「教科書について」で『そもそも私は西日本新聞を読んでいて、常々思想的に違和感を感じる記事が多々あり、不快に思っていた』と書いた。そこでいろいろ調べてみると『誰も書かなかった「反日」地方紙の正体」(以下「地方紙の正体」と略す)という本を見つけた。この本は、これまで何となく抱いていた疑問をズバッと解決してくれた。「目から鱗が落ちる」とはこのことだ。新聞業界の内幕が、私にもはっきり理解できた。そういえばいつか「共同通信の配信を受けている新聞は、左翼になりやすい」と聞いたことがある。日本に蔓延している左翼思想の“A級戦犯”は共同通信といえるかもしれない。
「共同通信」というのは、地方紙にニュースを配信する通信社である。共同通信の配信を受けている地方紙は、中央の政治・経済ニュースや国際ニュースは、取材のネットワークがないから、共同通信の配信に頼るしかない。しかもその配信の中には「資料版論説」というサービスがあり、地方紙は、これを参考に社説を書いていることも多いという。だから場合によっては、全く違う県で、ほとんど同じ社説が載ることもあるそうだ。社説だけではない。あらゆるニュースの軽重まで共同通信がつけてくる。左翼思想を垂れ流す共同通信の意のままに動かされている地方紙は、思考能力を停止させると、こんな楽な仕事はない。それぞれの新聞社の独自の思想に基づく、価値判断など無いも同然である。こんな背景だから「教科書をつくる会」の教科書を、叩くとなったら全国一斉に袋叩きにする。「地方紙の正体」はこれを『言論によるリンチとも言える異様なものだった』と書いている。
2012年3月19日
西日本新聞

2013年3月12日
西日本新聞記事
「主権回復の日」に関する各新聞の社説
20130313産経新聞独立回復の日・主権守り抜く覚悟新たに・・・敗戦国の日本が占領体制から脱し、独立を回復した日である。この事実を思い起こし、国際社会での日本の責任ある貢献の意義を再確認しようという安倍晋三政権の姿勢を評価したい
20130401読売新聞・4/28記念式典・主権の大切さ考える日に・・・歴史を振り返りつつ、主権国家と平和の持つ意味を改めて考える機会としたい
20130331毎日新聞・主権回復式典・祝う日より考える日に・・・政府が4月28日に開催する主権回復記念式典に対し、沖縄県の反発が強まっている
20130321朝日新聞・主権回復の日・歴史の光と影に学ぶ・・・4・28とは、沖縄を切りすてその犠牲の上に本土の繁栄が築かれた日でもある。
20130325西日本新聞・主権回復の日・丁寧な説明と配慮尽くせ・・・沖縄ではこの4月28日が「屈辱の日」とも呼ばれていることを忘れてはならない
上記、社説をその内容から分類すると、おおむね下記のようになろうかと思う。
←左翼
思想
右翼→
朝日
毎日
西日本
   
   
読売
産経
それと上に掲載した3月12日西日本新聞「4・28 主権回復の日 式典」の記事だが、これを見た読者はどう受け取るだろうか。「沖縄への配慮置き去り」というタイトルだけが印象に残りそうだ。その上の西日本新聞記事画像二枚もまた同じである。「地方紙の正体」にはこう書いてあった。『事実の中にあらかじめ特定の価値観を忍び込ませて、中立を装いつつ特定の偏見を読者に植えつけられることになる』『特に報道記事の場合、書き出しで読者に特定のイメージを与える効果があり、問題の定義それ自体を客観的な装いのもとに読者に押しつけることが可能になる』


今日の新聞に「対中緊急発進が最多・空自306回」と載っている。中国を含む2012年度のスクランブル発進の総数は567回に及んだという。国民の生命と財産を守るには、相手国を抑止するだけの軍事力を持たねばならない。左翼は憲法9条と外交で平和を守れると言うが、軍事力を背景にするからこそ外交も成り立つ。中国の傍若無人ぶりをみれば、わかるはずだ。左翼どもは、日米安保に守られ、自衛隊に守られ、安心して空理空論を振り回す。反対のための反対では、国が停滞するだけである。普天間基地を固定化させているのは、前向きな姿勢など微塵も感じられない左翼の扇動によるところも大きい。先日の西日本新聞の社説はこんなことを書いていた。
党派に偏しないのが公器としての基本です。時の政府や公権力を厳しく監視し、国民に真実を伝え、的確な判断を呼び掛けるのが、先の大戦の反省を踏まえた使命と考えます。新聞のあり方が問われ、主張の中身が厳しく吟味されています。私たちは今後も冷静・公正を旨とし自戒を怠らず、西日本新聞らしい主張を行っていきます。
どこからみても文句のつけようのない主張である。しかし、私の個人的見解は、これとはかなりかけ離れている。それは先日の「教科書」に関する記事に象徴されよう。共同通信の加盟社の中でも、ブロック紙の出資比率は大きいという。西日本新聞の幹部は、共同通信の社員社のなかでも重要な位置にいる理事らしい。


随筆のページへ トップページへ

『誰も書かなかった「反日」地方紙の正体』
平成23年8月4日 第1刷発行

編 者:日下公人
発行者:皆川豪志
発行所:株式会社産経新聞出版

執 筆:日下公人、渡部昇一、藤岡信勝、八木秀次 他