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美術館では「フランスの宝石箱・ナント美術館展」が開催されている(1/25〜3/10)。説明によれば、ナント美術館は、19世紀初めに創設された美術館で、フランスの中でも屈指の歴史と伝統を誇っているという。その歴史を物語るように、13世紀のイタリア絵画から現代絵画まで、その所蔵作品は幅広い。今回19世紀から20世紀にかけての作品を展示しているが、我々が西洋絵画の歴史をたどるのには、願ってもない展示である。
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アカデミズム絵画からバルビゾン派、印象派、キュビスムが並んでいる。サロンの重鎮・ジェロームの「羊の角をつけた女性」があるかと思えば、シャガールの「四季」がある。展示室の中央に立てられたボードの片面には、「ルノワール」と「モネ」があり、もう片方には「ピカソ」と「ローランサン」が掛けられている。順路に従って観ていくと、西洋絵画の変遷が実によくわかる展示になっている。
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それぞれの時代に、その時代が要求した絵画があり、またそれを打ち破ろうとして葛藤し戦った画家たちがいた。バルビゾン派は自然の中へ出て、感じるままに風景や農民を描いた。それを更に進めて、印象派は一瞬の光をキャンバスに留めようとした。その後にピカソのキュビスムがあり、現代絵画へと変遷していく。だが必ずしも彼らは、その時代に受け入れられた訳ではなかった。自由な表現に信念を貫いた画家たちの歴史である。この展覧会はそんなところに印象深いものを感じた。
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帰りに、いつものように絵ハガキを買った。シスレーの「モレ=シュル=ロワンの運河沿い」(1892年)と、ルノワールの「アネモネ」(1900年)の二枚である。シャガールや、カンディンスキーの「黒のグリッド」などもあれば買いたかったが限られた種類しかなかった。結局買った二枚は、印象派を代表する画家たちだった。部屋に飾るのに、やはり印象派の色彩を選んでしまう。
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