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File No.130125

「任務:未来から来る犯罪者を消せ。標的:30年後の自分」。タイムトラベルのストーリーでも、この設定はインパクトがある。ちょっと頭が混乱しそうである。出演がブルース・ウィリスということもあって、観てみようという気になった。ルーパーは、30年後の未来から、タイムマシンで送られてくる犯罪者を始末するのが仕事である。だがルーパーになるとき、ループを閉じるための特殊な条項に同意しなければならない。「あいつは未来の俺だったんだよ」。失敗は即ち、現在の自分と未来の自分、双方の死を意味する。ルーパーは、自分自身を始末して、余命30年を生きるのだ。現在のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と、30年後のジョー(ブルース・ウィリス)が、対峙し、格闘するという発想が斬新である。

2044年。ルーパーと呼ばれる男達が居る。彼らは、指示された時間に指示された場所に行って、タイムマシンで未来から送られてきた犯罪者を殺す。2074年の社会では死体の処理は不可能になっている。ルーパーたちは高額な報酬をもらって任務を遂行する。しかし、いづれ引退する時が来る。殺した犯罪者が金の延べ棒を背負っていたら、それがルーパーの最後の仕事である。引退した彼らは、その後の30年の人生を享楽するのである。ジョーは、一番若いルーパーだが、確実に仕事を遂行していた。ジョーに新しい仕事が指示された。タイムマシンでやってきた男(ブルース ウィルス)は、30年後の自分だった。


予備知識なしに映画を観たので、状況がよく理解できなかった。後でパンフレットなどを読んだが、今も何となく分かったような気がしているだけである。一例をあげれば「なぜ未来社会では死体の処理が不可能なのか?」である。説明によると"未来社会では、生まれたときに、ナノマシンを注射される。それは微生物のようなロボットで、体内で自立して作動し続ける。しかも、死後2年間は動き続ける。人を殺せば、殺人の時刻と場所が一瞬にしてバレる。そこで犯罪組織は、禁止されているタイムマシンを使って、30年前に送り込み、ルーパーに始末させるている”。しかし、考えてみるに、過去へ送るということは、そこでナノマシンが忽然と消えてしまうということである。映画では"行方不明"という安易な処理にしているようだが、同じ場所で何人もが行方不明になるのだから、ナノマシンの時代、それこそ一瞬にして“消えた時間と場所”が特定でき、分からないわけがないと思うが・・・。

タイムトラベルそのものが、現実にはありえないので、矛盾が出てくるのは仕方がない。細かく考えれば、映画そのものが成り立たなくなる。そんな中でもオールド・ジョーが、ガットマンどもを、マシンガンでガンガン撃ち殺し、爆殺するシーンは、ブルース・ウィリスの面目躍如である。ヤング・ジョーは、最後の仕事を終わり、その後の限りある人生を、何不自由なく生きる(許せない事件を回避できればだが・・)。このループを永遠に続けるなら30年後、またタイムマシンで戻って、更に30年、享楽人生を送ることができる。それに飽きたら、2044年のヤング・ジョーを始末すれば、新しく分岐したパラレルワールドが現れ、何事もなかったかのような世界が広がる。要は奇抜なストーリーをいかに楽しむかである。



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映画「LOOPER」
2012年/アメリカ/118分

監督:ライアン・ジョンソン
出演:ブルース・ウィリス