衆院選2012
自民圧勝・民主壊滅
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File No.121217
自公で3分の2を超える325議席を得る圧勝の一方で、民主党は解散時の4分の1になる大惨敗という結果に終わった。今回の衆院選の争点は「脱原発」「TPP」などいろいろ言われたが、日本の直面する危機的状況を目の当たりにした国民は、結局"政治の安定"を選んだ。それは泳げない子供(民主党)を水泳大会(政権)に出してしまった国民の痛烈な反省でもある。その反省の裏返しが、政権が弱体だと、こんなにも国家がガタガタになるのかという激しい怒りである。その証拠に議席を伸ばしたのは、自民、維新、みんなの党など、しっかりした「国家観」を持った党である。しかし、圧勝したとはいえ、安倍総裁は「自民党に100%信頼が戻ってきたわけではない」と慎重な姿勢である。投票率が59.32%と戦後最低を記録したことと、比例選の投票では大敗した前回とほぼ同じ27%程度だったのをみればもっともである。だが、それは手堅い政権運営を促すことになり、悪くはないのかもしれない。

所詮は砂上の楼閣だった民主党の崩壊ぶりはすごかった。菅元首相の小選挙区落選はその代表である。続いて藤村官房長官、樽床総務相をはじめ現職閣僚が次々と落選していった。現職閣僚8人の落選は現憲法下では最多だという。閣僚経験者も10人が落選し、民主党を離党した議員も、1勝70敗という惨敗ぶりだった。田中文部科学相が落選の弁で「私の努力不足です」と言っていたが、正確には「私の"能力"不足です」と言うべきである。それは、落選した閣僚、閣僚経験者のほとんどに当てはまる。つまり、閣僚になるとメディアたびたび登場するが、そこで無能ぶりが公になる。それまで、口から出まかせの良いことばかりを言っていた化けの皮が剥がされるのである。そういう意味から言えば与党議員(与党から逃げ出した議員も含む)の敗者復活は如何なものか。与党はそれまで行なってきた政治に対して、国民の審判を仰ぐのが選挙である。国民が「ノー」を突きつけたその政治家を復活させては、それは国民への裏切りである。

韓国も12月19日、大統領選を控えている。現在のところ朴候補が、文候補を若干上回っているようだが、文候補がわずかにリードという調査もあるらしい。政治というのは、どこの国も同じようなものだ。無党派層や若者たちは、政争を繰り広げ、不正が続く政界に、嫌気がさしている。そんな中、政治の刷新を訴える安氏は、若者や無党派層のカリスマ的存在だった。期待された安氏だが、先月、野党一本化で折り合わず候補を辞退した。その後安氏は、一本化した候補・文氏への積極的な支持行動を取らなかった。ところが今後の我が身を考え、積極的な支援姿勢に転じたようだ。果たして安氏支持層が、文氏へ投票するかが勝敗を決めそうな雰囲気である。野党候補の文氏は、慰安婦問題など、歴史認識に関して日本に対し強硬な方針のようである。そんな韓国であるから、自民党の圧勝のニュースは、ただちに伝わっている。韓国メディアは「過去へ帰る日本」「極右の帰還」など強い警戒心を示しているという。自覚がないようだから言っておくが、ここにきて日本を右傾化させたのは、他ならぬ韓国自身である。

もちろん右傾化の要因は韓国だけではない。中国も、選挙選のさなか、相変わらずの領海侵犯である。しかもエスカレートして、今度はいよいよ領空侵犯までするという傍若無人ぶりである。領空侵犯には、空自のスクランブルで対応したが、こうしてだんだん侵食してくるのが中国である。新首相誕生を前にして、早速「靖国神社」「尖閣諸島」「憲法改正」について、脅しをかけてきている。新政権にしっかりした思想があるだけで、かなりの反応である。9条さえあれば平和は守れる、などという夢見る夢子では、国民の生命と財産は守れない。アメリカが銃を無くせないのは何故か。銃を禁止したら、善良な市民だけが銃の危険にさらされることになるからである。国民は、しっかりした国家観のある政党に、希望を託した。まずは弱体化した日米同盟を立て直し、強固な基盤を築き、その上に立って高度な外交が展開されることを期待したい。



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2012/12/18 安倍総裁・会見要旨
憲法改正 改正要件を定めた96条改正を行い、改憲発議に必要な3分の2の勢力は参院ではほど遠いが、日本維新の会とみんなの党も基本的に一致できるのではないか。
日中関係 国際法上も日本は尖閣諸島を所有し、実行支配している。交渉の余地はない。日本経済が発展し、成長していく上で中国は欠かせない。日系企業の襲撃は国際ルールに反している。そういうふるまいをしてはならないことを強く国際社会で訴えていく必要がある。
靖国参拝 首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだ。本来、外交上の問題に発展するべき性格のものではないが、そうなっている。

2012/12/19 韓国大統領選:保守派の女性大統領
女性が国政のトップに就くのは、韓国では初めてで、東アジアでも初めてだという。前政権から引き続き保守派が政権を握るが、朴新大統領は前政権には批判的である。前政権が大企業重視だったことから、選挙では国民の生活重視を訴え勝利した。

日韓関係において新大統領は、基本的には「過去を乗り越え、未来を志向する」方針のようだ。冷え込んだ対日関係の改善を目指すといっても、そう簡単にはいかない。韓国では「親日」は、即ち「売国」を意味するというから、慎重な姿勢にならざるを得ないだろう。

米国は、保守系の大統領が決まって、良好な米韓関係を期待している。アジア重視のオバマ大統領は、中国包囲網をつくるのに、強い米韓同盟を必要としている。少なくとも、革新系の文候補でなくてよかったのは、日本も同じである。

日韓関係については、安倍政権も慎重に動かねばなるまい。米国も日韓関係改善を望んでいる。相手の出方を見極めつつ、大所高所からの判断での舵取りになるだろう。と言っても従来のような、お詫びばかりするような外交であってはならない。あくまでも基本的な思想をしっかり堅持しつつ、毅然とした外交であってほしい。