国防・雑感 随筆のページへ

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File No.120920

尖閣国有化で、吹き荒れた反日デモも、表面的には落ち着きを取り戻したかに見える。しかし、経済やサイバーなど形をかえての攻撃は今後も続く。中国市民の怒りの本質は、中国政府への不満である。中国政府は、市民のガス抜きに"愛国無罪"を利用している。今回、暴徒による大きな被害を被った日本だが、逆に国防に対する国民の意識は高まったと言える。中国という国がいかに無法な国家であるかをみんなが再認識したはずだ。尖閣諸島を狙う中国の真の目的は、沖縄の略奪である。最近中国政府は堂々と「琉球は中国領である」と世論工作を始めている。周囲を海に囲まれた日本の領土を防衛する体制を、さらに強固なものにしなければならない。海保と海自の更なる連携の強化、減り続ける海保や自衛隊の予算の見直しなど、これをいい機会にするべきだ。一方中国は、得たものは何一つなかったのではないか。世界に向かって"中国は法治国家ではない"と、自ら傍若無人ぶり宣伝したようなものである。

政府は、オスプレイの安全宣言を出した。転換モードの飛行時間を短くするほか、出来得る限りの安全対策をとることで合意に至った。受け入れ側には誠意を以って説明を尽くさねばならないが、どこかで決断も下さなければならない。これで10月には本格運用が始まる。今回のオスプレイの配備は、老朽化したCH46のリプレースである。CH46に対してMV22は飛躍的に能力が向上する。巡航速力は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は約4倍になる。さらに航続距離は3900kmで空中給油機能を持っている。MV22は、あたかも危険極まりない航空機であるかのように騒ぎ立てるが、事故率は海兵隊の航空機の平均事故率よりはるかに低いという。今後も隣の無法国家は、間違いなく軍事力を背景に着々と侵略を試みてくる。MV22は"安全に配慮しながら"という枕詞は付くが、導入による米海兵隊の機動力の強化は、即ち日本の防衛力の強化であり、東アジアの安定にもつながる。

過日、"沖縄選出の国会議員"がテレビでこんなことを言っていた。「中国の脅威は現実的ではない。外交努力をしっかりやっていけば、軍隊はいらない。国際連合もある。沖縄の人間は出会った人は皆兄弟だという発想を先輩から教えられてきたから、中国脅威論などというイメージはない。こんな小さな島に軍を置いてもしょうがないだろう」。この脳天気ぶりには怒りを通り越して、開いた口がふさがらなかった。これでは普天間基地の移設問題が先に進まないのも当然である。そもそも普天間基地は、基地ができた時はサトウキビ畑など、広大な畑が広がる場所だった(戦前と現在の航空写真を見比べてみるといい)。その畑の真ん中に米軍が基地を造った。その後、この基地から軍用機が頻繁に離着陸するのを横目で見ながら、みんな住宅を建て学校をつくり病院を建て、気がつけば東京、大阪より人口密度が高いことになっていた。その結果"左翼の扇動"で、「何故こんな危険なところに米軍の基地があるんだ。許せない、出ていけ」の大合唱である。

領海侵犯に対する取り締まりは、現在海上保安庁が行っている。しかし、今回のようなことが起こり、また今後も継続して起こりうる不測の事態を考えれば「領海警備法」の制定を急ぎたい。現在、自衛隊は海上警備行動が発令されてはじめて領海警備を行うことになっている。早急に「領海警備法」を制定し、不法侵入を阻止しなければならない。法的なことで言えば、「憲法改正」が最も望まれるところである。日本維新の会が、憲法改正要件の3分の2を、過半数にするとしている。まずもってこれを最優先で実現してもらいたい。この実現不可能な高いハードルが故に、これまで何も決められなかった。自分で自分の国を守る普通の国になるための第一歩である。たとえば中国軍が尖閣に侵入しても、中国が攻撃しない限りこちらから攻撃がし排除することが出来ないのが現状である。日米同盟をさらに強固なものにし、日本の主権を守るために、ぜひ法的な根拠を与えてもらいたい。




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オスプレイとCH46の比較
    オスプレイ CH46
最大時速(2倍)  520km 270km
貨物積載(3倍) 9100kg 2300kg
行動半径(4倍)  600km 140km
航続距離(5倍) 3900km 700km
空中給油機能   有り 無し

2012・09・22 日米共同・離島奪還訓練
先日、キャンベル米国務次官補は「尖閣諸島は明確な日本政府の施政権下にある。日米安保の適用範囲だ」と証言した。中国と尖閣国有化で緊迫化する中、陸上自衛隊と米海兵隊は、敵に奪われた離島を奪還するシナリオで共同訓練を実施した。陸上自衛隊は「特定の国や島は想定していない」と言うが、参加部隊を見れば、尖閣諸島を想定しているのは間違いない。参加部隊は、米軍は沖縄に司令部を置く部隊であり、陸自も西部方面隊である。実施した場所は、グアム島米海軍基地内の海岸で、陸自と海兵隊の隊員が同じゴムボートに乗って上陸し、陸自隊員は、制圧する想定で小銃を構えて移動したという。
中国も9月になって頻繁に軍事演習を行っている。10日ほど前にも黄海の無人島で、中国人民解放軍が尖閣諸島上陸を想定した軍事演習を実施していた。この時は、水陸両用車両などを使って偵察を行ったあと、島の防衛施設を一瞬で破壊し、上陸したという。また新型の高速艇を使った実弾射撃訓練も行われたようである。
こと主権にかかわる問題で、想定外は許されない。中国のこれまでの南沙諸島の侵略を見れば、最悪の想定のもと準備をしておくべきである。今回沖縄に配備されるオスプレイは、戦闘行動半径が約600kmで、尖閣諸島まで一気に飛べる。この性能面での向上は、海兵隊の機動力を生かし、抑止力は大幅に向上する。

2012/09/23  「尖閣は日本領」、中国地図裏付け
尖閣諸島について、中国や台湾の公的な地図の表記で、日本固有の領土であることが裏付けられたと、アメリカのCIAが発表した。1966年刊行の中国の紅衛兵向け地図では、中国の国境外に位置しているという。台湾の地図にも、尖閣が中国側であると表示したものはなかった。さらにソ連や欧州などの地図にも、尖閣が中国側とする表記はなかったという。従ってCIAは「日本の主張には説得力があり、尖閣の所有権を示す責任は中国側にある」と報告書に書いている。
CIAは、中国と台湾が尖閣の領有権を言いだしたのは、尖閣周辺の海域に石油が埋蔵されていることが分かってからだとしている。