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File No.120707

「リービング・ラスベガス」でアカデミー主演男優賞を受賞したニコラス・ケイジと、同じく「めぐりあう時間たち」で主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン、二大スターが夫婦役で共演している。百戦錬磨のビジネスマンを演じるニコラス・ケイジ。その美しさを余すところなく見せてくれるニコール・キッドマン。二人の共演は初めてだという。ウェブでは、"ニコ&ニコ"とか、"ダブル・ニコ"とか書かれていた。密室の中で繰り広げられる緊迫した演技を、"ニコ&ニコ"が畳みかけるように見せてくれる。90分と若干短めだが、最初から最後まで緊張の連続で、観る側にとってはこの辺が限界かもしれない。ジャンルとしては"サスペンス"となっているが、その全編を貫く激しいアクションは、ヴァイオレンス・アクションと言った方がよさそうだ。
ダイヤモンド・ディーラーとして成功したカイル・ミラー(ニコラス・ケイジ)は、美しい妻サラ(ニコール・キッドマン)と、反抗期の娘エイブリー(リアナ・リベトラ)の3人で豪邸に住んでいる。この豪邸はサラの設計によるものだ。今日もカイルは必死に仕事をこなしている。出迎えるサラに「きれいだよ。あまり家に居られなくてごめん」。なんとなくさびしそうなサラ。一方、娘のエイブリーは、友達のパーティに行きたがっている。サラからも、カイルからも反対されるが、エイブリーは家をそっと抜け出して、パーティに行ってしまう。そんな中、「強盗が多発しているので巡回しています」と警察官が訪問してくる。しかし、それは武装強盗グループだった。「今から俺の家だ。俺に従え」と、あっという間に強盗に制圧されてしまう。
ニコール・キッドマンが綺麗だ。いや"美しい"という表現が適切だ。黒い服に身を包んだニコールの顔が、黒を基調にデザインされたキッチンに浮かび上がる。風にそよぐ白いカーテンをバックに、白い部屋着のニコールがたたずむ。この美貌は、人の心をも翻弄する。死と隣り合わせの緊迫した場面でサラは「娘を外へ。そうしたら私はあなたのものよ」「娘と夫を救ってくれたら何でもする」と強盗のひとりジョーナの心に揺さぶりをかける。サラにぞっこんのジョーナは「彼女に絶対手を出すな」と、次第に強盗グループは結束を乱されていく。この映画でニコールは、81回絶叫したという。さすがPG−12映画である。確かにイントロ部分と、時折差し込まれる美しい映像以外は、ほとんど絶叫している。しかし、整った顔というのは恐怖の時、ニコールの演技力とも相まって、さらに緊迫感を増す。
ストーリーが進んでいくうち、家族の隠されていた秘密が次第に明るみに出てくる。だが極限状態に置かれた家族は肩を寄せ合い、それぞれが身を呈して家族を守ろうとする。サラの心理作戦、エイブリーの機転。そしてカイルの一歩も引かない緊迫の交渉術は見ごたえがある。「ルーペで盗品とばれるぞ」「君らが持ったらただの石だ」。「(金庫を)開けないとこの場で殺す」「開けたら殺される」「遅かれ早かれ(生体認証の金庫に)親指を当てる。親指が体に付いているかどうかだ」。全体の流れとしては、絶対絶命の状況において、カイル家が、次第に結束を固くしていき、強盗一味のチームワークは次第に乱されていく。全編を通じ、その激しいアクション、強盗との緊迫した交渉、息詰まるような心理戦に手に汗握り、あっという間のエンディングだった。



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「ブレイクアウト」

2011年・米/91分
公開:2012/06/23
ジャンル:サスペンス PG-12

監督:ジョエル・シューマカー
出演:ニコラス・ケイジ 、 ニコール・キッドマン