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File No.120625

今朝の新聞の政治欄のタイトルはこうだ。「消費増税法案・反対明言、離党は慎重」「後期高齢者医療、議論進まず廃止棚上げ」「府省庁仕分け実効性疑問、廃止は総予算の1%止まり、付言で骨抜き」。何なんだこれは!民主党のマニフェストはすでに破たんし、マニフェストにはない増税へまっしぐらである。本来審議すべき法案の成立は20数%、人気取りのためにやった仕分けは、総予算のわずか1%というお粗末さだ。行革で財源は簡単に生み出せると豪語していたのは、私の記憶違いか?もともと民主党のマニフェストなんて、とりあえず耳触りのいいことを書いておこうという作文だったから、実行する能力などなかった。一方、自民党も似たようなものだ。いつの間にか郵政民営化は逆戻りした。特定郵便局長の"集票力"とパーティ券購入の"カネ"ほしさで、民意などそっちのけである。こうして政治屋どもは利権の確保に奔走し、官僚はめでたく天下り先を確保するのである。


小沢一郎が「私どもの主張は国民のための正義だと思っている」と、ヘソが茶を沸かすようなことを言っている。“うそ”をつくやつに限って自分から「絶対にウソをつかない」などと言いだす。民主党では次の選挙に勝てないから、何とか生き残る道を探っているのは誰の目にも明らかである。その見せかけの道具として「増税反対」「原発反対」を叫んでいるにすぎない。小沢の暴力的金権に屈した40数人で、いくら新党を作ったところで、だれも投票などしない。国民をばかにするのもいい加減にしろ。被告人・小沢一郎に判決を申し渡す。「国民のための正義」などという言葉は「禁止用語」とする。かくも小沢一郎の口から出てくる言葉は薄っぺらい。エネルギーはゼロでバランスしていると以前書いたが、小沢一郎もまた見事にバランスさせている。"言葉が薄っぺらい(軽薄)"かわりに"面(つら)の皮が厚い"。"政策の実行が遅い"かわりに"放射能から逃げ出すのはえらく速い(胆小)"。


地方議会もまた同じ、というよりもっとひどい。政策条令一本提案する能力もないのに、政務調査費は使い放題である。今月初め福岡市議会の11年度政務調査費が、6345万円返還された。この金額がどれくらいのものかは、平成21年度の消費者行政分野への財政支出が約6800万円だったことで理解していただけるだろう。悪質業者に泣かされている市民のために、身を粉にして働いている相談員の待遇はひどい。「人間扱いしてほしい」という悲痛な声が耳に残る。国は自治体の問題と言うが、自治体はそんなことにまわすカネなどなく、癒着の企業に鎮静剤(税金の横流しを私はこう呼んでいる)を打つのに余念がない。福岡市をはじめ、各市町村の待遇改善策をみると、そのほとんどが「相談員の研修参加の旅費を支援する」程度である。それまで研修参加の旅費すら出していなかったのである。そして一方で無駄遣いしてましたというカネが6300万円である。これが怒らずにいられるか!バカどもが!


野田首相は国会で「公務員制度改革や独立行政法人改革を含め不退転の覚悟で聖域なき行政改革の取り組みを進める」などと申された。あれは夢かまぼろしか。公明党向けにつくった衆院選改革法案、TPP交渉参加など、何もかも"骨抜き三兄弟"(なれあい、なしくずし、先送り)の大パレードだ。もっとも、公務員制度改革などやる気がないのは最初から分かっていた。何も決められず、何も先に進まない。大阪の橋下市長誕生から半年が経った。橋下市長は、やろうと思えば改革はやれる、決めようと思えば政治は決められるということを我々に教えてくれた。本当に政治を市民のためのものにしようとする信念が見える。「今の国会議員が去っていくような案を出さねば日本は変わらない」という言葉に強い決意が伺える。首長が真剣に改革しようとしているかどうかはすぐに分かる。どんな地方の小さな議会でも、戦えばメディアが放っておかない。毎年の予算案が出されても、全くの無風なのは、首長が議会や自治労の言いなりになっているからである。




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