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File No120515

中国の人権問題はいたるところで起きている。チベットに対する人権弾圧はひどい。これに対する抗議の焼身自殺が後を絶たない。ウィグル族に対する人権問題もそうである。地下資源の豊富な地区で、漢族が武力弾圧によって牛耳っている。先日、中国の人権活動家・陳光誠氏が、自宅軟禁から逃れ、アメリカ大使館に保護された。この問題は米中協議の結果、最終的には陳氏のアメリカ留学という名目で出国が決まった。ところがこの後、陳氏の親族への暴行が激化している。しかも、その暴力を阻止するため立ち向かうと、逆に「故意殺人容疑」で逮捕されたという。こういうことは中国では日常茶飯事である。エジプトなどの革命が起きて、中国共産党には危機感がある。中国では大きな抗議行動だけでも、一日約200件、年間約8万件も起きている。その弾圧のための予算は、国防予算を超えているというから尋常ではない。国民の怒りを武力で制圧しようとしても、反発がエスカレートするばかりである。

先日、日本はミャンマーに対して、25年ぶりの円借款を再開した。加えて延滞債権約3千億円を免除する。ミャンマーは、豊富な資源や市場としての魅力があり、産業界からの強い要望があったのも分かるが、外務省は、交渉の必要がないとなれば、ずいぶん前のめりである。世界から制裁を受けている中、カネを出します、借金は棒引きにしますと言われれば、ミャンマー大統領ならずとも手放しで喜ぶ。外務省はこれまで「日本はいい国」と言われて喜んできた。支援するのも、よほどしっかりしないと、結局貢いだ挙句、日本はいい国で終わってしまう。アウン・サン・スー・チーさんが大勝したとはいえ、国会は軍人が牛耳っている。おそらく、民主化には相当の紆余曲折があるだろう。あるいは、結局何ら変わらないかもしれない。内戦問題も深刻である。人権侵害、子供の兵士、地雷など、長引く内戦でタイなど隣国への難民が絶えない。日本の支援も、ミャンマー社会の安定化が必須条件である。

京都府亀岡市で小学生ら10人が登校中、軽乗用車にはねられ死傷した事故で、京都地検は昨日(5/14)、過失致死傷と道交法違反の非行事実で京都家裁に送致した。妨害運転や未熟運転に該当しないということで、危険運転致死傷の適用は見送られた。しかし、"居眠り"と言っても、それまでの経緯を見れば、過失などではない。しかも、これまで無免許で度々運転しているから"未熟運転"には当たらないと言うに至っては、本当に血管がブチ切れそうである。ブレーキとアクセルの操作さえできれば、それでいいのか。法令の知識や運転にあたっての心構え、あらゆる場面を想定し対処できる能力、そういうものが習得できてはじめて運転能力が認められるのではないのか。この事故は明らかに殺人である。遺族の人は、怒りのやり場がなかろう。検察のこの冷酷とも思える冷めた判断はどうしたものか。法律に照らすだけで決まるなら、検察も裁判官もいらん。被害者の方たちの人権の扱いの軽さに国民も怒っている。

人権と言えば「人権侵害救済法案」はどうなったのか。メディア規制条項が削除されたら、メディアから何の情報も伝わってこなくなった。メディアなんて所詮こんなものか。今回、メディア規制だけでなく、強制調査、罰則規定もなくなった。しかし、5年後をめどに見直し条項が盛り込まれる。そこが問題である。すべて復活する可能性も否定できない。何が人権侵害なのかの定義がないから、"人権擁護"という名の"人権侵害"がまかり通ることになる。三条委員会に呼び出され、集中砲火を浴び、社会的にも抹殺されてしまいかねない。あたかも太宰治の「走れメロス」に出てくる暴君のごとしである。万一、定住外国人に地方参政権を与えようものなら、外国人が三条委員会の委員になる可能性さえある。中国共産党の言論弾圧を、対岸の火事などと悠長に眺めているいる場合ではない。法務省は、改めて法律を作らなくても、現行の制度で99%解決
できるとしている。何としてもこの「人権侵害救済法案」は、阻止しなければならない。



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2013/12/02 悪質運転・厳罰化
京都市亀岡で発生した無免許運転などによる悪質な事故に対する罰則が強化される。「自動車運転死傷行為処罰法」が成立し、来年(平成26年)5月までに施行の予定だ。この法律では最高懲役15年が適用される。当然である。これで、これまで被害に遭った方や遺族の方々の傷が癒えるとは思わないが、少なくとも願いは通じた。検察はこれを踏まえて、被害者の立場に立った判断をしてほしいものだ。

2012・09・06 悪質事故の罰則強化
京都府亀岡市で、無免許運転の車が集団登校中の列に突っ込み、小学生ら10人が死傷した事故などで、遺族から適用条件について、法改正の強い要望が出されていた。これを受け法相は諮問機関である法制審議会に罰則見直しを諮問した。

検討されている内容は、最高懲役7年の自動車運転過失致死傷罪より罰則が重く、最高懲役20年の危険運転致死傷罪より軽い「準危険運転致死傷罪」を検討している。亀岡のケースなど、運転技術はあるが、無免許で起こしたような事故を想定しているという。

もう一つ、法務省は少年法の改正案を公表した。少年への有期刑を、現在最高15年と定めているが、これを上限20年に引き上げるという。これは犯罪被害者や裁判員から「成人の量刑と差がありすぎる」との指摘で見直しを検討するものである。

やはり遺族は、理不尽な事故、事件について、積極的に声を上げるべきである


2012/05/20 陳氏、家族と米へ出国
中国の人権活動家・陳光誠氏は、5月19日午後、北京発のユナイテッド航空でニューヨークへ出発した。名目はあくまで留学だが、事実上の亡命である。今後、ニューヨーク大の研究員として滞在する。陳氏はメディアの取材に対し、おいが殺人容疑で逮捕されるなどもあって「(出国は)うれしいとは言えない」と話した。こうした状況にあっても、中国は米国に対し内政干渉だというコメントを繰り返す一方、国内の人権活動家に対する弾圧を緩める気配は全く無いという。