映画「ミッション:インポッシブル/
ゴースト・プロトコル」を観て
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File No.111220

今回の作品は、トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズ第4作である。トム・クルーズが、公開に先立ち世界11か国を回るワールドツアーの最初の国に日本を選んだ。それは東日本大震災を受けた日本への気遣いからである。このシリーズは第1作からすべてトム・クルーズがプロデューサーとして製作にかかわっている。監督いわく「これはトムのシリーズだと言ってもいい。彼自身が"貴重な資源"なんだ」。48才(撮影時)のトム・クルーズが、プロデューサーとしての腕をふるい、かつ主演で過酷なアクションをこなす。ドバイにある世界一の超高層ビル"ブルジュ・ハリファ(828m)"の壁を這いあがり、駆け下り、走りまわる。この超高層ビルの外観はすべて実写で、トム・クルーズが自ら演じたという。ストーリー展開はスピーディで、ハラハラ、ドキドキ、ユーモアあり、超人的でもあり、人間的でもあると多彩な展開で楽しませてくれる。

IMFのエージェント、トレヴァー・ハナウェイは、「核の発射コード」の運び屋を見つけ手に入れる。しかし、直後にすご腕の殺し屋サビーヌ・モローに殺され、「核の発射コード」を奪われてしまう。一方、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、コバルトというコードネームの男に関する情報を取り戻すためにクレムリンに侵入する。ところが、丁度この時クレムリンが爆破され、巧妙に仕掛けられた罠で、疑いがイーサンチームにかけられる。国家間の関係悪化を懸念したアメリカ大統領は、「ゴースト・プロトコル」を発令し、エージェンシーそのものを解体してしまう。後ろ盾を失ったイーサンチームだが、コバルトが計画している核戦争を阻止し、自らの潔白を証明するために動き出す。モローとコバルトが、超高層ビル、ブルジュ・ハリファで取引をする情報を得て、チームはドバイへ向かう。難攻不落のセキュリティシステムに守られたビルでミッションが始まる。

映画「ミッション・インポッシブル」は、昭和40年代の人気テレビ番組「スパイ大作戦」がもとになっている。「君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る」。イントロのセリフとテーマ曲は、楽しみに観ていた当時を懐かしく思い出す。それぞれのエージェントが卓越した能力を持ち、チームリーダーの下、見事な連携をみせる。周到に計画された作戦を、あざやかな手際で遂行していく。そのプロセスの中でアクシデントも起きるが、そこはプロフェッショナルたちのチームである。ターゲットが破滅し、罠だったことに気づいたときには、すでにチームは撤収している。チームを構成していたメンバーも、ピーター・グレイブス(チームリーダー)、マーチン・ランドー(ローラン)、バーバラ・ベイン(シナモン)、グレッグ・モリス(バーニー)など個性的で存在感があった。

これまでの「ミッション・インポッシブル」3作品は、トム・クルーズひとりの活躍を描いていた。しかし、今回は見事なチームワークを見せてくれる。「スパイ大作戦」では、作戦に必要な能力をもつメンバーでチームが構成される。ところが、今回の映画では、成り行きでチームが構成され、お互いの能力も分からないまま、ミッションを遂行していく。そこにストーリー展開の面白さが生まれてくる。ただ「M:I:V」で出演していたベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)は、ITのエキスパートで出演している。お互いの見事な連携は、モローとヘンドリクスの取引場面に象徴される。モローからコードを買い取り、偽コードとすりかえる作戦。上の階と下の階で同時進行していく薄氷を踏む思いの取引は、「スパイ大作戦」を彷彿とさせる。そのチーム力は、イーサン・ハントの言う「唯一、機能したのはチームだ。よくやった。誇りに思う」という言葉に表わされる。オールドファンの私としては、映画版の「M:I」シリーズでは今回の作品が一番気に入った。



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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

監督:ブラッド・バード
プロデューサー:トム・クルーズ、J.J.エイブラムス、ブライアン・バーク
出演:トム・クルーズ、ポーラ・パットン

2011年12月公開
上映時間:132分