映画「アジャストメント」を観て
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この映画のジャンルは一般的に言えば「SFサスペンス」である。だがその主題は壮大で、一言で言うなら「運命に立ち向かう自由意思」ということになるだろう。この主題の面白さと、主演がマット・デイモンということもあって早速観てきた。人々の運命は、調整局なる組織からすべてコントロールされている。「お前の人生を計画通りに操作する」「君に自由意思はない」、「僕は選ぶことができる」。デヴィッド(マット・デイモン)が、自分の未来を賭けて立ち向かおうとするのは、エリース(エミリー・ブラント)との"愛"である。組織は人類を1910年まで操作していたが、操作を止めると、世界大戦などを起こし人類を危うくした。「人類は重大事を決めるほどまだ成熟していない」。運命調整局は、人類を見守りより良い方向へと導く、人知をはるかに超えた存在のようだ。調整局の作った「運命の書」では、デヴィッドが世界を救う大統領になる。「今後彼女に逢うのは"想定外"だ」。調整局にとって、エリースとの愛は、人類を救うためには障害になる。デビッドにとって、究極の選択である。

デヴィッドは、ブルックリン・レッドフック育ちの下院議員である。上院議員の選挙に出馬し、優位を保っていたデヴィッドだが、懇親会で起こしたスキャンダルで敗戦濃厚の情勢である。トイレで敗北宣言を準備していたところ、見知らぬ女性エリースに出会う。初対面ながら二人は、ほんの少しの会話だけで意気投合する。そんなデヴィッドを監視し、彼の行動をコントロールしている影の組織があった。それは「運命の書」に書かれた通りの人生を歩かせるための組織"運命調整局"である。そこのエージェント・ハリーの操作でデヴィッドは、ある朝7時5分、公園でコーヒーをこぼしバスに遅れるはずだった。ところがハリーは、うっかり居眠りをし、デヴィッドはバスに乗ってしまう。そのバスにはエリースが乗っていた。エリースと再会したデヴィッドは、彼女から携帯番号のメモをもらう。しかし、調整局に捕まったデヴィッドは、組織の存在を口外するようなら、リセットすると脅される。今後彼女と逢うことも拒否され、唯一の接点である携帯番号のメモも燃やされてしまう。

調整局のエージェントは、いつも「運命の書」を持ち、設定されたとおりに進んでいるか、常に監視をしている。操作に失敗すると、議長の許可により再調整に入る。人間をコントロールするのは比較的簡単である。ただし、デヴィッドとエリースについては、過去の古い運命の残骸が影響して、一筋縄ではいかない。普通は、彼らの持つ能力を使えば操作は簡単である。彼らはターゲットを追跡するのに、空間を移動することができる。あたかも「どこでもドア」のごとくである。ドアを開けるとそこはヤンキースタジアムであり、近代美術館であり、自由の女神像の下である。そして、頭で念じるだけで物理的に物を動かし、実在の人物になりすまして、ターゲットを操作すこともできる。究極は人の心を読み、その行動を予測し、記憶を操作することができることだ。つまり、時空を自在にコントロールできるのである。「君をリセットする。感情や記憶が削除され、君は知能を失ってしまう」。

運命調整局の存在は、まさに"未来は決定している"である。量子力学では通用しないというが、私の考えも「決定論」であることは前に書いた。ただ私は、自分の未来は、議長ではなく、自分で設定すると思っている。無敵と思われる運命調整局だが、ひとつ調整に失敗すると、まさにカオス理論の「バタフライ効果」のごとく運命の波紋が広がり、大きく変わっていく。自分の居眠りで調整に失敗したハリーは、必死にデヴィッドとエリースの乗っているバスを追いかける。何とか波紋を収束させないといけない。これだけ多彩な能力を持ち、クールなエージェントにしては、実に間が抜けていて人間味がある。だからこそハリーは「運命の書」と「自由意思」の狭間で揺れたのである。結局、デヴィッドに調整局の秘密を明かし、全面的に協力することになる。「運命の書」の著者は、議長とよばれている。ハリーがデヴィッドの運命を書き換えさせたということは、ひょっとしたらハリーこそが、"なりすまし"を使った議長だったのではないか。


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「アジャストメント」(2011年5月公開、106分、ドルビーSDR)

すべての出来事を疑え、あらゆる偶然を信じるな

監督:ジョージ・ノルフィ
出演:マット・デイモン 、 エミリー・ブラント
2011/06/04 「能なし」に「ウソつき」を上乗せ
丁度1年前の2010/06/16、菅首相登場時に私は次のように書いた。

菅首相は鳩山政権時代「副首相」だった。どういう仕事をしたのか全く印象がない。国家戦略室の初代担当相として何をしたのか。話題になったのは、亀井大臣とのケンカと、国会での居眠りくらいだ。鳩山首相が暴風雨にさらせれているとき、頭を低くして目立たず影をひそめ、ただひたすら嵐が過ぎ去るのを待っていたかのようである。まさに静菅?(静観)である。嵐が過ぎ去ったと見るや、さっそうと登場だ。よくも出てこれたものだ。


・・・菅首相の答弁は何なんだ。官僚が作った答弁書を棒読み状態だ。日向ぼっこで屁をこいているような、この落差は許し難い。答弁は即ち、国民に対する答弁である。そこを理解できていないのではないか。・・・

内閣不信任案を否決した後の、記者会見でのヘラヘラした顔を見ただろうか。今の菅首相ひどさは、予測していた私でさえ、目を覆うばかりである。
2011/06/01 九州新幹線の名前は「つばめ」
 今日の「笑っていいとも」のテフォンショッキングのゲストは、松田聖子さんでした。トークの中で出てきたのが、聖子さんが「九州クイズ」に全く答えられなかったという話。その問題のひとつが「九州新幹線が開通しましたが、新幹線の名前は何?」ということでした。タモリさんが「えーとね、(九州新幹線が)出来る前は“リレーつばさ”というのが行ってたんだよね。そしてつながりましたよね。つながってそのまま“つばさ”」と言うと聖子さんが「うん、“つばさ”そうなんです。正解です」。(会場から拍手)
 訂正しておきます。“つばさ”は、E3系の山形新幹線で、九州新幹線を走っているのは、800系“つばめ”です。九州新幹線は、全通までは、新八代−鹿児島中央間で一部営業していました。このとき“つばめ”と接続するため、博多−新八代間で走っていたのが787系特急“リレーつばめ”です。九州新幹線は他に「みずほ」「さくら」も走っています。
 きっと増刊号では、画面下のスーパーで訂正が入ると思います。それにしてもテレフォンアナウンサーに阿部知代が頻繁に登場しますが、パワハラじゃないでしょうね。
2011/06/05 「笑っていいとも・増刊号」
水曜日に登場した松田聖子さんでしたが、なぜか“九州クイズ”のところだけ、増刊号の一番最初に放映されました。しかし、九州新幹線名の部分は完全にカットされていました。全く違和感なく、うまく編集するものです。