二重ローン問題 随筆のページへ

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File No.110507

今朝(5/7)のテレビ番組「ウェークアップ・プラス」では、「被災者に突きつけられた"お金"の現実」を取り上げていた。"当面の生活をまかなうお金・生活費の不安""住む家も、仕事も失い、生活を立て直そうにも、行政からどれだけの支援を受けることができるのかわからない。生活再建をしようにも一歩を踏み出せない"と厳しい現実の報告である。義捐金も当座をしのぐだけであり、将来の見通しのない不安がのしかかっている。番組の中で言っていたが「"ケッパレ"というのは、馬が大地を後ろ足で力強く蹴って、前に進んでいくということ」だそうだ。今回の被災者は、自宅も、働く場(工場・農地・漁船・漁場)も、生活の手段を一気に奪われてしまった。再建へ向けて"ケッパル"には、踏みしめる大地が必要である。「明けない夜明けはない」と必死に、自分を鼓舞している人に、早く手を差し伸べないと、本当に夜が明けない可能性だってある。それは阪神大震災で充分経験しているはずである。被災者を破産から救い、何より将来への希望が描ける政策が必要である。

収入の目途が立たない中、ローンだけが残っている。漁業も農家も中小企業も、ローンを組んだ時は、厳しい中にあっても資金はそれなりに回転していた時である。個人も家を建てるときは、その時組めるぎりぎりで借入をする。基盤を失くした中、新たに借り入れを起こし、二重にローンを払っていくのは、ほぼ不可能に近いだろう。先ごろ、日本弁護士会は、この二重ローン問題で、救済策を政府へ提言した。それは、金融機関はローンを放棄する。国は、放棄した分の税金を安くする。体力のない金融機関には、ローンを買い取る、あるいは公的資金を投入するというものである。「マイナス」からではなく、せめて「ゼロ」からスタートできるようにとの思いである。もちろん、個人に対する税金投入という問題点はあるが、ここはかつて経験したことのない大災害である。今回だけ限定した特別な施策であれば、国民の了解も得られるのではなかろうか。少なくとも東電への税金投入より納得がいく。

東電と言えば、先日のテレビで、これまで東電と官僚と政党がどんな関係にあったかを話していた。それはこんな内容だった。
最初、石油のない日本は、新たな電力を原子力に求めたまではよかった。しかし、公共事業と同じように、もっとひどい利権のかたまりになってきた。経産省は電力会社を天下り先にし、電力会社は地域の独占、発電と送電を分離させない。経産省と電力会社はズブズブの関係になり、自民党はそこから献金をもらい、民主党は労働組合から票をもらう。こうやってみんなが原子力利権の中に入り込んで身動きとれなくなったというのが今まで。
これは許せん。今回の原発事故で故郷を離れなければならない多くの人たちがいる。今回の人災は、「能なし(政権)」「ろくでなし(官僚)」「人でなし(東電)」の三位一体によるものである。杜撰な運営と危機管理のツケに、どれだけの税金がつぎ込まれるのだろうか。電気料金値上げという方法で、二重に国民からむしり取るつもりのようだ。東電社長は当初、役員報酬半減を「大変厳しい数字」と言っていたが、この期に及んでその程度の感覚である。幹部も会社も、徹底的に身を切り、丸裸にならんと許されんぞ。

国のトップの決断について言えば、今、BSフジで「24・シーズン7」が放映されている。その第二話の話である。テロリストから、すべてのインフラを守るファイヤーウォールシステムを乗っ取られる。大統領首席補佐官から一報を受けた大統領は、間髪を入れず「国土交通省、FBI、国防総省との会議を設定して」と指示を出す。即刻会議は開かれ、大統領は、セキュリティシステム回復の可能性、インフラを守る方法、万一の場合の社会への影響などを矢継ぎ早に質問し全体を把握する。緊急事態における正確な状況の把握、冷静な判断、こここそが今の政権に決定的に欠落している。「木を見て、森を見ず」の政権である。首相は先日の衆院予算委員会で、震災関連で成立した特別立法の数を問われ、5本成立していたにもかかわらず、1本だと答弁し厳しく批判されていた。その程度の政権だが、二重ローン問題については「東北の地銀の責任者が"やる気のある経営者でも心が折れる"と言っている」と、一応対応の必要性を認識しているようだ。的確で素早い決断が待たれるところである。

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2011/11/25 震災前のローン・私的整理を (西日本新聞「ほう!な話」より)
「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」
法的手続きによらず、債務整理が迅速にできるようになりました。手順は次の通り
@期限の猶予、債務の減免を求める申請書を各債権者に提出
A弁済計画案を作成し、中立な立場のガイドライン運営委員会が作成した報告書とともに債権者に提出
B全債権者が計画に同意すれば、それに従って弁済する。
申し出から計画成立までは4〜5ヵ月が見込まれ、その間の支払は一時停止されます。ブラックリストに登録される心配もありません。
2011/10/22 二重ローン救済策、民・自・公、合意
救済策では、金融機関が抱える事業者向け債権(リース債権や信用保証協会の求償債権を含む)を買い取る新機構「東日本大震災事業者再生支援機構」を設立する。また「産業復興機構」で、小規模事業者や農林水産事業者、医療福祉事業者など事業者を中心とした支援を行い、「支援機構」と共に幅広い支援を行う。
債券の買い取り価格は「適正な時価」とし、買い取った債権は、債務免除や最長15年の返済猶予などで事業者の負担を軽くする。尚、債権が焦げ付いた場合、支援機構と金融機関が負担を分けるとなっている。
2011/07/19 2010年度福岡市消費生活相談概要〜(西日本新聞掲載記事)
福岡市の消費生活相談件数は、2004年度以降減少傾向にありましたが、10年度は、1万4444件と、前年度比991件増となりました。相談件数の上位は昨年度に引き続き「デジタルコンテンツ(携帯電話やパソコンのワンクリック請求等)」「不動産賃貸借」「フリーローン・消費者金融」の順。年代別では、20〜30歳代の相談は減少したものの、その他の年代で相談が増加、特に60歳以上では、前年度比20%の増と、高齢者の相談の増加が目立ちました。
 高齢者の相談の特徴として訪問販売・電話勧誘販売を入口にするものが多く、手口では「利殖商法」「点検商法」「次々販売」などの問題商法が目立ち、特に「利殖商法」は昨年度の2.5倍に急増しました。
 一方、20歳未満及び20歳代の若年層ではエステに関する相談が急増しています。エステにおいては「無料商法」「キャッチセールス」「次々販売」などの問題商法による契約が多く、特に販売方法に問題の多いサービスと言えるでしょう。
 消費生活センターでは、商品やサービスの名称、契約日、事業者名、契約金額、契約のきっかけなどの経緯を確認し、解決への糸口を見つけます。早めのご相談がよりよい解決につながります。その際は、契約書やパンフレットなどの関係書類を用意し、事情のわかる契約者ご自身が相談されることをお勧めします。お気軽にご相談ください。
福岡市消費生活センター 電話092(781)0999
2011/05/14 原子力発電のコスト
今朝の「ウェークアップ・プラス」では、本当に原発のコストは安いのかを検証していた。その比較結果は、次の通り。
(1KWHの発電コスト) 原子力 火力 水力
国が発表してきた発電コスト 5〜6円 7〜8円 8〜13円
電力会社の有価証券報告書からの算出 10.68円 9.90円 3.98円
原子炉設置許可申請書記載の初年度発電原価(玄海原発など4原発の平均) 17.69円
有価証券報告書からの算出分は、営業費用を発電量で割ったもので、原子力分は、それに原発事業にかかる国の財政負担を加えたもの。但し、原子力事故による損害賠償費用は含まれていないので、これを含めると圧倒的な高コストになる。