尾形総一郎(堤真一)が、自分の人生のすべてをかけ、準備してきた目的をついに実行する時がきた。それは、ドラマ版の最後で山西が麻田総理を前に「20年の間、てっぺんが何度も変わったはずなのに、何も変わってなかった。これまでも、これからも同じような頭がすげかわっていくだけで、何も変わらないんだよ」と言ったことが伏線となっている。「現在をもって、国会議事堂・衆院棟は我々の支配下に入った」。尾形総一郎が革命のリーダーとして次々と要求を出していく。議場にすっくと立つ堤真一の存在感。更に、伊達國男(香川照之)を狙うときに見せた堤真一のあの苦渋に満ちた表情、見事である。今回の映画の、もうひとつの見どころは「格闘」シーンである。格闘場面には、岡田准一のアイデアが相当反映されているという。井上(岡田准一)と中里、四係と新四係、井上と尾形の対決など見せ場は多い。特に地下通路で繰り広げられる尾形と井上の対決は見ごたえがある。尾形の強い信念、井上の強い使命感が激しくぶつかり合う。その中にあっても二人は、心の底で相手を理解し合い繋がっている。映画全体を貫くエネルギーとスピード感は、やはり大きいスクリーンならではである。 |
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官房長官を狙ったテロ事件から2か月後。ボーガンで左肩を射抜かれた笹本(真木よう子)の傷もどうやら回復している。久しぶりに休暇を楽しんだ四係の面々だが、井上(岡田准一)のシンクロの症状は相変わらず続いている。それは、係長・尾形総一郎(堤真一)の不穏な動きを感じ取っていたからだ。しかし、メンバーの尾形を思う気持ちは変わらない。「もし、係長が悪いことに手を染めていたとしても、何か理由があるんだよ。それを分かってあげられるのは私たちだけでしょ。だから私たち全員で止めてあげればいいんだよ」。その不穏な動きの尾形を追う公安の田中(野間口徹)は、岡山の尾形の実家を訪ねる。そこで、田中は、尾形が別人であることを突き止め、公安に報告する。一方、テロリストたちの準備は着々と進んでいる。尾形と伊達が話している。「迷っているのか。麻田内閣は死にかかっている。安心しろ、お前の計画は完ぺきだ。お前と俺は、生きる時も死ぬ時も一緒だ」「あなたを信用してもいいんですね」。四係のメンバーは、議員を警護し、次々と国会議事堂に入る。今日の国会では、麻田内閣の不信任案が採決されようとしていた。その本会議場に、尾形率いるテロリストたちが姿を現わす。 |
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「汚職まみれで、派閥抗争に明け暮れ、貴様たちの存在意義はどこにある」。テレビ放映のなか、政治家の汚い部分が次々に暴かれていく。それは現実の政治家の実態を反映させていると言える。日本のリーダーとして、私に強烈なインパクトを与えたのはやはり小泉元総理である。「改革なくして成長なし」「自民党をぶっ壊す」などワンフレーズで、我々に語りかけた。それは、一国のリーダーとして、何をなそうとしているのか、進む方向をはっきりと示してくれた。それまでの派閥の数の力関係で、密室で決められてきた政治を脱却し、我々国民に直接語りかける政治に変えた。だが、それだけで国民が熱狂的に支持した訳ではない。それは、小泉元総理が抵抗勢力に対し「説得せず、調整せず、妥協せず」、自らの信念を貫き通す強い姿勢を支持したのである。それこそ国のリーダーとして、最も重要な要素である。さて今の総理はと言うと、今度の大震災では、バラマキのために人数を減らした自衛隊に全面的に頼り、大所高所から冷静な判断で全体をコントロールすべきところ、東電に行ってどなりちらすという体たらくである。いい加減にせんと、本当にクーデターが起きるぞ。 |
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「エアコンの定期クリーニングに来ました」。あっさりリバプールクリーニングの車が入り込む。「こんなに簡単でいいんですかね」「いいんだよ、これが日本だ」。革命篇のキャッチコピーは「SPシリーズ、ついに運命の最終章」。「これで、すべてが終わる」と言うが、ゆるキャラ日本と、存在価値のない議員ども、突っ込みどころは満載、作ろうと思えば如何様にもである。このままSPシリーズを終わらせるのはいかにももったいない。映画の中でも、何か続編の匂いがしないでもない。尾形が革命決行直前、井上の机に入れたあの手紙には何が書かれていたのか。尾形が履歴を詐称してSPになれたのはなぜか。警察内部に巣くう闇に興味を示す公安。しかしそうなると、尾形係長はどうなる?尾形を含む四係のメンバープラス庶務の原川、どのひとりが欠けてもいけない。メンバー全員が慕う尾形、特殊能力を持つ井上、悩む後輩・井上を気遣う笹本、石田の冷静沈着な存在、それに反していつも笹本に頭をはたかれている山本。だがその山本も、新四係との格闘でみせたように、やるときはやる。原川の存在は緊張のなかにあってほっとさせる。続編があるとすれば、このメンバーを変えてほしくない。 |