平成教育委員会 随筆のページへ

トップページへ

File No.100901

「ブブゼラも いまや懐かし 蝉しぐれ」。これは、先日の平成教育委員会(フジテレビ)で紹介していた川柳である。とは言うものの「今年はセミの鳴き声が少ないのでは・・・」と何かの番組で言っていた。そう言われれば、確かにあの「ワーシ、ワーシ」という鳴き声が少なかったような気がする。連日、猛暑日が続く中だが、もはや夜になれば虫の声が聞こえてくる。以前、アメリカの17年ゼミをレポートしているテレビを見たことがある。具体的な数は忘れたが、おそらく数億匹はいたのではないかと思われる、すさまじいばかりの光景だった。17年間じっと地中で待ち続けたセミが、満を持して地上に現れ、伴侶を求め声を限りに鳴き叫ぶ。セミにとって、それは"種の保存"を図るための人生(?)唯一最大のイベントである。今年のセミは、命を繋ぐという自分に課せられた重大な役目を放棄してしまったのか。地上での活動は、ほんの一夏。種の保存の役目を終えたセミは、静かに死んでいく。そのはかない運命に、人間は"哀れ"を感じるのであるが、それは人間の大いなる勘違いである。

平成教育委員会では、昆虫のコーナーではこんなことも教えてくれた。新種の昆虫が毎年2500種も発見され、動物種の75%が昆虫である。地球上には100万種もの昆虫が生息し、地球は昆虫の星だという。今年、日本で「生物多様性条約締約国会議」が開かれる。その主目的は「生物学的な多様性を守ること」である。人間以外の生物にしてみれば、進化が間に合わないくらい環境を激変させておいて、人間は実に勝手な動物だと思っているだろう。人類は、地球の歴史から見ればほんの一瞬しか生きていない一生物である。「人間は、少し静かにしていただいた方が、地球のためにいいのではないか」(どこかで聞いたようなセリフ?) 「マッチ・ポンプやってるんじゃないよ」などと生物たちの怒りの声が聞こえてきそうだ。生物の多様性を守るということは、即ち人類自身を守ることでもあろうが、もはや地球を蘇らせるのは、人類の絶滅しかないのだろうか。人類は、縄文時代中期くらいで進化を止めておけばよかった。

最近、インパクトのあるテレビCMを見た。正確ではないかもしれないが「大人というのは、子供の創造の産物」というようなものだった。この年になって分かるが、確かにおっしゃる通りです。こういうコピーを考える人は、本当に才能がある。「三つ子の魂百まで」というが、人間はそうそう変わるものではない。相応の年の人の話す内容をよ〜く聞いてみると、みんな無邪気なものである。だが、子供のころを思い出すと、その頃の大人は実に大人に見えた。なぜ子供が、大人という想像の産物をつくるかと言えば、その大部分は単に見た目なのかもしれない。それに何がしかの経験値の差も加わって、創造の産物が出来上がる。若いころからあまり進歩していないのに、外観だけは年相応になってくる。つまり、外観と内面にギャップが生じる。ところが、ギャップのない立派な大人もいる。そういう人は、若い時からしっかりしていたのである。つまり若い時にギャップがあったはずだ。私には、とても子供店長のような、大人びた立派な振る舞いはできそうにない。

平成教育委員会では宇宙のコーナーもあった。「夏の方が天の川が輝いて見えるのは、夏は銀河系の( ? )を見ているから」という問題が出された。答は(中心方向)を見ているからで、宇治原君は見事正解だった。天の川は、恒星が2000憶個も集まったもので、こういう銀河が、宇宙には1000億くらいあるという。講師の先生は「地球と同じ環境の星の存在確率は高い」と話す。「人間だけが選ばれた存在ではない」とはいうものの、知的生命体が存在する可能性は、限りなくゼロに近いだろう。地球に生まれた、この奇跡の「知的生命体」の絶滅だけは回避したいものだ。それには、いくつかの方法が思い浮かぶ。ひとつは人類自体が「絶滅危惧種」として、ひっそり自然の中に溶け込んで生き延びる。もうひとつは、宇宙開発の最大の目的である「人類の地球脱出」である。ノアの方舟で、地球を脱出した人類は、違う天体で種の保存を続ける。ただ永遠に他の天体で生きていく必要はない。いつの日か正常化した地球に戻ってくればいい。真っ青な美しい地球が迎えてくれる。

随筆のページへ トップページへ

2010・09・03 異常気象
 気象庁の発表によると、今年の6〜8月の平均気温は、統計を開始(1898年)以来最も高かったという。気象庁も“これを異常気象と言わずして何と言う”ということだろう。月別でもすべての月で上回ったが、なかでも8月が突出して高かった。しかし7月も、あの豪雨に襲われながら上回った訳だから、異常気象としては8月をしのぐと言っていい。猛暑日、熱帯夜も全国各地で記録づくめだったようだ。福岡市も8月の気温は、平年より2,7度高く、30,3度と30度を超えた。
猛暑の原因として次のような理由が考えられるという。
(1)北のオホーツク海高気圧や寒気の影響を受けにくかった。
(2)偏西風が例年より北寄りに蛇行し日本付近が強い太平洋高気圧に広く覆われた。
(3)エルニーニョ現象の影響で北日本中緯度帯全体で気温が高かった。