映画「ソルト」を観て 映画のページへ

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File No.100801

アンジェリーナ・ジョリーのアクションがすごい。もともと男性のために書かれた脚本だったそうだが、アンジェリーナ・ジョリーが演じることで、はるかにスリリングな映画に仕上がっている。ソルトが得意とする接近戦で見せる激しい格闘シーンは、息をするのを忘れて観た。愛する夫を目の前で射殺され、その怒りを秘めてKAプログラムで育った同士を全員射殺するシーンは、女性だからこそのインパクトがある。先日、映画のキャンペーンで来日していたが、会見の模様をみても、その存在感は群を抜いている。今回の監督はアンジェリーナ・ジョリーが出演した「ボーン・コレクター」のフィリップ・ノイス監督だ。10年前のこの映画の時からすでに、彼女の大物オーラは出ていた。「ボーン・コレクター」の中で、デンゼル・ワシントンがこんなことを言う。「人の運命は、遺伝子によって予め決められているというが、僕はそんな説は信じない。運命は自分で切り拓くものだ」。お言葉ですが、アンジェリーナ・ジョリーについては、やはり遺伝子ではないかと思います。ただ、父ジョン・ボイトを超えた(?)部分は、自分で切り拓いたと言えるでしょう。


2年前の北朝鮮。イヴリン・ソルトは、延々と続く拷問にも負けず「私はスパイじゃない」と言い続ける。一方、のちに結婚することになるマイクは、CIAが「彼がムチャする前に手を打った」というほど、必死に彼女の救出に駆け回り、捕虜交換という形で彼女を取り戻す。彼女は表向きは「リンク石油」の社員だが、本当の顔はCIAロシア担当の優秀な分析官である。結婚記念日で帰りを急ぐソルトが呼び止められた。ロシアから亡命者と名乗る男が来たという。「ソルト、もつれた糸は君しかほぐせない」。亡命者オルロフは「ガンにかかっている。わしは何も恐れるものはない。大事な話を伝えにきた」という。脳波の確認でも、神経スキャンでも彼の言ってることは真実のようだ。「ロシアのスパイが大統領を暗殺するために現れる」「ロシアのスパイの名前はイヴリン・ソルト」。突然スパイ容疑のかかったソルトは、スパイ追跡のプロたちから激しい追跡を受けることになる。しかし、そこいらにいる同僚とは資質が違う。特技は接近戦と応用爆発技術。優れた身体能力と巧みな変装を駆使し、追跡をかわしミッションを成功させていく。


スパイ映画といえば、父ジョン・ボイトが、フェルプス役で出演していた「ミッション・インポッシブル」がある。もとはテレビシリーズの「スパイ大作戦」だが、彼らの組織IMFは、今回のソルトが勤務するCIAの下部組織で、「おはよう、フェルプス君」というお馴染みの秘密指令はCIAから届く。スパイと言えば忘れてはならない「007ジェームズ・ボンド」がある。ボンドが所属するのはイギリスMI−6(情報局秘密情報部)である。ボンドが表向き勤務しているのは「国際輸出協会」で、この商会の専務がMということになっている。実はイギリス秘密情報部である。今回のソルトはやはり表向き「リンク石油・世界本部」としているが、実はCIAの隠れ蓑である。北朝鮮に拉致されたソルトが拷問を受けるとき「私はスパイじゃない。会社員よ」と言い続ける。ソルトが物心付くときからスパイのエリート教育を受けたソ連の情報機関と言えばKGB(現在FSB)である。KGBのスメルッシュは当初のボンドの宿敵で、「カジノ・ロワイヤル」のル・シッフルはスメルッシュのエージェントである。またボンドに協力的なフェリックスは、CIAのエージェントである。スパイものは大抵「CIA」「MI-6」「KGB」のエージェントが活躍する。


つい先日、現実の世界でスパイのニュースが流れた。4年前のFSBによるリトビネンコの毒殺は衝撃だったが、今回はロシアとの捕虜交換ということで事なきを得た。と言うより、アメリカは今、ロシアとゴタゴタを起こしている余裕がなかったようだ。「美しすぎる女スパイ」として騒がれたロシアのスパイだが、ひょっとして今回の映画の宣伝の一環ではないかとさえ思うような事件だった。何だか「ソルト」冒頭の北朝鮮との捕虜交換シーンを彷彿とさせる。今回摘発されたスパイたちは、アメリカ東部で10年以上に渡って一般市民として、ごくごく普通に暮らしていた。ソルトは、ソ連のスパイ養成所でアメリカ人としての英才教育を受けたエリートであるが、何年も何年も、ごく普通のアメリカ人として生活し「Xデー」を待っていた。通常、スパイの末路は、マタ・ハリがそうであったように銃殺刑が待っている。二重スパイの疑いがかかったとき、ソルトが「スパイを葬るなら、家族もすべて葬られる」と、必死で夫と連絡を取ろうとする。夫はソ連の同士に殺されたが、今回のソルトの働きはロシアやイスラム圏からアメリカを守ったことになる。おそらく「ソルト2」があるのではないかと期待している。


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「う〜ん、迫力がある」
「ソルト」

2010年アメリカ映画
上映時間 100分

監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー

2010/11/12 「美しすぎるスパイ」の摘発は「ロシア対外情報局」幹部からの情報だった
ロシア対外情報局(SVR、旧KGB)のスパイ10人が摘発された事件は、SVRの幹部からの情報提供によるものだった。この幹部は、対米スパイ要員を統括する部署の大佐で、すでに6月に米国へ出国している。SVRには激震がはしり、SVR解体論も出ているという。

2010/08/02 民主党川柳

・「 コンテスト 茶番が好きな 民主党 」

・「 民主党 コンテストという 学芸会 」

今度やるという政策コンテストだが、1割削減の対象になるのは、公共事業・文教・科学・防衛などである。削減した中から、社会保障の自然増1.3兆円に充当した残り1兆円を競わせる。恐らく削減はある程度公平になされるだろう。しかし、コンテストで復活するのは、選挙支援や民主党の支援組織などに有利な部分だろう。さて、さて、どんな先生方が審査なさるのやら。結局、削減と政策コンテストという学芸会で泣くのは、文教・科学・防衛などになるだろう。高校無償化など“ばらまき”の財源を捻出するのに、「はやぶさ2」をぶった切ったり、防衛費を削減した事業仕訳を見れば、民主党に先々を見据えた戦略など無いのは明らかだ。

2010/08/05 猛暑日
 今日は今年一番の暑さとなり、全国177ヵ所で猛暑日を記録したという。その中で最も暑かったのが、最高気温38.6度を記録した福井県坂井市だった。そして第2位が、我が福岡県糸島市の38.3度である。その最高気温の頃外出したが、本当〜に暑かった。何だか細胞が煮えているような気がした。これはもはや「溶暑」と言うべきか。これだけ暑かったのだから、せめて日本で一番暑かったというならまだしも、残念なことに2位だった。“残念なことに”という意味もない競争心が芽生えている。「2位ではだめですか」どこかで聞いたセリフだが、2位は何の意味もなさないということがよく分かった。