ルビー婚 | 随筆のページへ トップページへ File No.090925 |
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結婚53年目[2022/09/25] | |
2009・11・01 テレビを見て |
テレビのインタビューで、若い男性が彼女を横に「一生、彼女を守ります」と言っていた。SMAPの曲に「らいおんハート」というのがあるが、その歌詞のなかにも「・・・・君を守るため そのために生まれてきたんだ・・・・」とある。ところが、ベテラン夫婦のインタビューでよく聞かれるのは「ここまで来れたのも、妻が支えてきてくれたおかげです」と感謝の言葉である。間違っても「私が、妻を守りぬきました」などという言葉は聞こえてこない。 万葉集にこんな歌がある。「我が背子は 物を思ひそ 事しあらば 火にも水にも 我がなけなくに」。詠んだのは安倍女郎(あべのいらつめ)である。現代語訳は「あなたそんなに一人で心配しないで。何かあったなら、火にも水にも飛び込む、私というものが一緒にいるじゃありませんか」。“内助の功”というのは、山内一豊の妻が有名だが、万葉の時代から現代に至るまで、脈々と受け継がれている。 以前、日見子と、ある公園に芝桜を見に行った時のことである。小石がゴロゴロしていて、少々足元の悪い坂があった。一緒にその坂を歩いている時、私が「もし倒れたら、一緒に倒れてあげるよ」と冗談を言うと、「あら、心強いわ」と日見子。実際、人生で共に歩いて行くのに、安倍女郎ではないが、どちらかが圧倒的に優位などということは考えにくい。一方が倒れたら、もう一方も倒れる。たいていそこでは、お互いが精神的に支え合って切り抜けていくことになる。 テレビのインタビューに応えていた若者も、その意気込みは分かるが、実態から言えば「僕の一生を支えて下さい」だろう。彼が考えているほど、女性は弱くはない。しかし、言われた彼女も、それでは面食らうだろう。“支え合う”ということからすれば「一生、苦楽を共にしましょう」くらいが正解に近いのではないか。坂道で二人一緒にこけたら、傍から見ている人はおかしさが2倍だろうが、倒れた当人たちの恥ずかしさは半分になる。 |
2009/11/22 西日本新聞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「理想の夫婦」・・・・明治安田生命が20〜50代の既婚者対象に実施したアンケート結果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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