「
博多座」の
ミュージカル
「ミス・サイゴン」
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File No.090312
今年で、博多座は開場10周年になる。この記念公演の第一弾として、年初から3月15日まで、ミュージカル「ミス・サイゴン」が上演されている。第一弾が「ミス・サイゴン」というのには理由がある。博多座は「ミス・サイゴン」をオリジナル演出で見られるように、設計段階から考えて建てられた劇場なのである。帝国劇場でさえ改装工事に約1ヶ月のを要したという大きな舞台だ。この経緯からして「ミス・サイゴン」は、第一弾を飾るに相応しい公演である。世界でオリジナル演出で見られるのは「帝劇」と「博多座」だけだそうだ。世界の中で日本だけ、そのひとつが博多座となれば絶対に見逃せない。キャストは、公演によって入れ代わるが、私が観たときは、エンジニアを筧利夫さん、キムをソニンさんが演じた。筧さんはテレビなどでもよく見かけていて、知っている俳優さんだが、舞台は実にすばらしかった。中でもキャデラックが出てきて、アメリカン・ドリームを夢見て歌い踊るシーンが印象的だった。
ストーリーは単純明快である。パンフレットに載っているストーリーを一部紹介しよう。・・・・陥落直前のサイゴン。フランス系ベトナム人のエンジニアが経営するキャバレーでのアメリカ兵クリスと17才ベトナム人の少女・キムの出会いから始まる。この戦争に大きな疑問を持つクリスと戦禍で全てを失い生きるすべを求めてこの店に働きに出たキム・・・二人の出会いはすぐに恋にかわった。お互いに永遠の愛を誓い合いながらも、サイゴン陥落の混乱のなか、米兵救出のヘリコプターの轟音は無情にも二人を引き裂いていく・・・・。事前にストーリーを頭に入れておいたが、観ているとキムとクリスが結婚式を挙げたあと、次の場面では、もうキムに子供が出来ていた。「え〜っ」サイゴン陥落の混乱で、クリスとキムが引き裂かれるシーンがない。それこそ大事なヘリコプター登場のシーンがない。早速、休憩時間にフロアの係りの人に、聞いてみると「それは第二幕です。回想シーンで出てくるんです」とにこやかに答えてくれた。大変失礼しました。
映画館で公開のミュージカルと言えば、先月映画「ハイスクール・ミュージカル3」を観にいった。これはシリーズ3作目で「ザ・ムービー」としての上映である。1、2作目を観ていたので、完結編は見ておかねば、などと思って観に行ったが、どうも4作目も計画があるらしい。イースト高校のバスケット部キャプテンのトロイと天才少女ガブリエラが、紆余曲折ありながらも二人の愛を深めていく。全編、若さが爆発したようなダンスと強烈な色彩に彩られ、いかにもアメリカのハイスクールを思わせる。私には昔からアメリカのハイスクールにあこがれみたいなものがあった。高校生のころ、ポピュラーソングで「ヘイ・ポーラ」というのがヒットしたが、そんなところに原点があるのかもしれない。「アメリカン・グラフィティ」や「グリース」などがなつかしい。蛇足だが、バスケットと言えば、先日のWJBLのシャンソンは残念だった。それと早くJBLとbjリーグが仲直りしてほしいと思っている。
「ミス・サイゴン」は全編、歌で表現しているので、あらかじめ登場人物や物語の展開を頭に入れておいたほうがよりわかりやすい。すべてのセリフが歌で、男性のパートはあの「千の風になって」の雰囲気だと思えばいい。普通なら、そこで歌をうたうのはありえないだろう、というシーンの連続である。だがそれこそがミュージカル。わたしはオードリ・ヘップバーンの「マイ・フェア・レディ」以来、なぜかミュージカルは好んで観てきた。休憩時間に、本田美奈子さんの基金の場内アナウンスがあった。初代キム役を、本田美奈子さんが演じた。キムは最後の場面で、クリス夫妻にタムを引き取ってくれるようたのむ。それは子供の幸せを思う母親が、自分の命をかけた願いだった。クリスの目の前で自殺し逝ってしまったキム。このシーンが志半ばで逝った本田美奈子さんの無念の思いと重なって深く感じるものがあった。帰りがけに、ほんの気持ちだけだが基金に入れさせていただいた。
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博多座
当日のキャスト
映画「ハイスクール・ミュージカル3」