博多情緒めぐり | 随筆のページへ トップページへ FileNo.081029 |
今、博多では“ガイドと一緒に博多の街を散策しましょう!”という「ガイドと街歩き」が催されている。これは「博多情緒めぐり」キャンペーンの一環で、その核となっているものである。コースはたくさんあり「文化の発祥寺社めぐり」「時の流れ博多今昔めぐり」など、全部で9コース用意されている。受付は、博多山笠でおなじみの櫛田神社の境内で、ここからスタート(朝10時と午後2時)し約2時間ほどのコースである。私は「博多の思い出“小話”コース」に参加してみた。観光ボランティアガイドさんが、いろんな逸話を紹介しながら博多の街をゆっくり散策する。「櫛田神社→東長寺→妙楽寺→西門蒲鉾→濡れ衣塚→海元寺→萬四郎神社→松屋菓子舗」というコースで巡ったが、ここに含まれていなくても、通りすがりに、いろんなエピソードを話してくれる。「トリビアの泉」ではないが、「へえ〜」「へえ〜」の連続で実に楽しい。2時間という時間も、散策に丁度いい。
「博多情緒めぐり」の立て札 櫛田神社境内 |
ベロタクシー 櫛田神社前にて ベロタクシーに乗って走るコースもある |
東長寺 空海が開いた日本で始めての 真言密教の寺 |
逸話を少し紹介してみよう。「濡れ衣塚」は、“濡れ衣を着せられる”という語源になった8世紀ころのエピソードである。京都から佐野近世という人が、筑前守護職として博多に赴任してきた。妻は後妻で、守護職には先妻の娘がいた。ところが、この後妻はどうしてもその先妻の娘が目ざわりで仕方がない。そこで、この娘を謀略によって亡き者にしようとする。後妻は漁師と結託して「釣り衣を盗んだ」と嘘の噂を流す。寝ている娘の部屋に持ち込まれた濡れた衣を見て、守護職は娘を切り殺してしまう。ところが、その娘は亡霊となって無実を訴えたというもの。御笠川の千代町付近の川岸に碑が立っている。「萬四郎神社」は、豪商・伊藤小左衛門の子供、小四郎(5才)と萬之助(3才)を祀る神社。密貿易の罪で、一族全部が処刑されたが、子供二人があまりにも不憫(ふびん)と、同情した人たちが萬四郎神社として祀ったという。だが、ガイドさんの話しでは、密かに生き延びたという説もあるらしい。
濡衣塚 |
萬四郎神社 |
博多は、さまざまな大陸文化をもたらした日本の窓口である。ガイドコースのひとつ「文化の発祥寺社めぐり」はこれを物語るものだ。弥生時代には、伊都国が「一大率」をもって君臨していたが、大陸の玄関口として福岡が栄えたのは極自然のことといえる。この文化発祥に関するエピソードは、実に驚きである。「東長寺」は空海(弘法大師)が日本で最初に開いた真言密教の寺であり、「聖福寺」は栄西(ようさい)禅師が日本ではじめて建てた禅寺である。食文化の発祥もまた多い。栄西禅師は、お茶を栽培して飲むことを伝えた。「妙楽寺」で「とうちんこう」という薬につけたお菓子が現在の「ういろう」の始まりという。「承天寺」を開いた聖一国師は、宋から製粉技術を持ち帰り、「うどん」「そば」「まんじゅう」といったものを広めた。つまり、うどん、そばという麺の文化は博多が発祥の地である。“博多うどん”が日本一うまいのは当たり前ということだろう。
聖福寺 “お茶”の始まりはこの寺 |
妙楽寺 “ういろう”伝来の地 |
松屋菓子舗 御饅頭所の看板 (聖一国師筆) |
「御供所、寺町かいわいの旧街並散策」コースには“博多うどん”がセットになっている。歴史の散策と食文化のコラボは、観光の基本である。神社仏閣といった歴史遺産とともに、文化発祥の地という博多ならではの貴重な資源を大いにPRすべきだ。そして、巡ってみて感じたことは、すべてのものがコンパクトにまとまり、わずか2時間で散策できるというところだ。これは博多部の大きな強みかもしれない。新博多駅ビルが出来れば、この駅ビルを核として、博多部の歴史に触れ、博多の食文化を楽しむことで、天神地区との差別化をはかれば、福岡の魅力も2倍になろうというものだ。ガイドさんから福岡と博多の確執の歴史も聞いた。博多町衆のプライドにかけても、博多部の“存在”を誇示したいところだ。「福岡・釜山 超広域経済圏」という国の枠を超えた計画も実施されるという。国内外の観光客やビジネス客の増加が期待される。「ガイドと街歩き」などが特別なイベントではなく、いつ訪れても博多の文化に接することができるような“にぎわい”を期待したいところだ。
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2008/11/29 福岡市博多区・承天寺で「饅頭」発祥の地をあらわす石碑の除幕式が行われた | |
「御饅頭所」石碑“除幕式”の様子 | 右が「御饅頭所」の石碑 左は「うどん・そば」発祥の地の石碑 |
2008/11/24 西日本新聞 |
まんじゅうの碑が完成・・・・博多区の承天寺 「発祥の地」に、商売繁盛願い 福岡市菓子協同組合 |
福岡市菓子協同組合は、中国から粉ひきの技術が伝わったことで知られ、まんじゅう発祥の地とされる同市博多区博多駅前の承天寺(じょうてんじ)に、商売繁盛を願い石碑を建立した。同組合関係者は「まんじゅうのルーツは博多」を全国にアピールし、福岡の菓子業界全体をもり立てたいと意気込んでいる。 まんじゅうは、中国から帰国して同寺を開いた聖一国師が、博多の茶店の主人に製法を伝えたのが起源とされる。石碑には聖一国師の揮毫(きごう)と伝わる「御饅頭所」の文字が彫られている。 碑の両隣には、同寺を発祥とする「博多織」「うどん・そば」の石碑が既に建立されている。 |
一日天神塾「福博を学ぶ」 ・ 西日本天神文化サークル | ||||||||
平成20年10月30日 午前10時〜午後4時40分 天神ビル10F 受講料・一講座 900円 |
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講座内容の一部
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初代・博多駅跡地の出来町公園(西日本銀行本店の裏)にある「九州鉄道発祥の地」の記念碑。動輪はC6118型のもの。 | 第2代博多駅の屋根の一部を記念塔にしたもの。博多駅裏(筑紫口)から約1kmくらいの山王公園にある。(公園内にある日吉神社参道入口にある) |