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スピルバーグ、ルーカス、ハリソン・フォード、いまだ健在。断崖絶壁ぎりぎりを2台の車が疾走しながら激しいスカルの争奪戦を繰り広げたり、巨大な滝に何度も何度も落ちたり。インディー・ジョーンズ・シリーズの、これでもか、これでもかと畳み掛ける危機、一難去ってまた一難、圧倒的なスピード感と迫力で見せてくれる。今回は、前作“インディ・ジョーンズ・最後の聖戦”から19年後の1957年が舞台になっているが、現実の時間でも前作が公開された1989年から19年が経っている。第一作目からすればもう27年になる。上記3人と、音楽のジョン・ウィリアムス、編集のマイケル・カーンは第一作からずっと同じである。ハリソン・フォードは1942年生まれ、今年66才になる。恐れ入りました。ところで最近の映画をみると、今回のようにシリーズものの続編が目立つ。「ダイ・ハード」「ロッキー」「ランボー」など続々と公開されている。巨額の資金を出す方にすれば、ある程度回収が見込めないと二の足を踏むということだろう。今回のインディー・ジョーンズは、公開2日間と先行上映2日間のわずか4日間で110万人を動員したという。順調のようだ。
今回の映画には「失われたアーク」とのつながりが多く見られる。「アーク」の冒頭、巨大な丸い岩石が転がってくるシーンは、今回と同じペルーの奥地だった。「アーク」最後のシーンでアークが保管されたのが、今回冒頭の舞台となったエリア51である。また、マリオン(カレン・アレン)の再登場も、それを物語っている。「失われたアーク」の後、結婚一週間前に一方的に婚約を破棄したインディ・ジョーンズは、マリオンに子供が出来たことを知らない。今回の映画で、マット(シャイヤ・ラブーフ)が自分の息子だと知ることになる。インディの、女をポイポイ捨てるクセは、これで治るのか。このマットは1950年代の若者。リーゼントの髪に何度も櫛を入れ、皮ジャンに身をつつみハーレーでぶっ飛ばす。冒頭、ネバダ州の荒野を若者4人が車で大騒ぎしながら走るシーンでバックに流れるのは、プレスリーの「ハウンド・ドッグ」だ。大学の学生の中には、フレアスカートにポニーテールの女の子などもいて、何だかなつかしい。さすがに、監督、製作、主演いづれも60代。このあたりの世代感覚はリアルタイムの記憶だろう。
先ごろ、福岡市博物館で「インカ・マヤ・アステカ展」が開催された。200点を超える展示物のほとんどが日本初公開の貴重なものばかりだった。入場者も10万人を超えたという。私は2度見に行ったが、会場入口の一文が興味をひいた。「・・・およそ2万年前、当時陸続きであったアジアから新大陸に渡った最初の移住者たちは、私たち日本人とルーツを同じくするモンゴロイドでした・・・・モンゴロイドの末裔たちが築いた驚くべき文明の姿を通してそのことを考えていただければ幸いです」。展示のなかには、映画のクリスタル・スカルと同じ変形した頭蓋骨や、眠っているかのようなミイラがあった。ミイラに関しては、彼ら独特の死生観があったようだ。展示の説明によれば「インカでは王や王妃は死後ミイラに加工され、生前と同じように王宮に住み、召使いにかしずかれて過ごした」という。民は農耕で生活をし、王は神々が支配する自然が安定し、豊饒が保証されるように儀礼を行った。我々の祖先と多くの共通点が見られるのは、やはり同じDNAだからだろうか。
映画の最初の場面は、ネバダ州の米軍基地「エリア51」。ソ連兵が巨大格納庫から奪おうとしたものは、10年前(1947年)のロズウェル事件の遺物だった。今回の映画のベースになっているのは、この「ロズウェル事件」のようである。この事件は地球に墜落したUFOから回収した地球外生命体、つまり宇宙人の遺体や、地球には存在しない金属などが回収されたというものだ。映画では、この宇宙からの侵入者がクリスタル・スカルであり、それをアケトーの神殿に戻すことで、秘められた宇宙のパワーが得られるという設定である。実際、古代マヤではピラミッドの頂上に置かれたクリスタル・スカルで、宇宙からのエネルギーを取り込み、大地に流すということが行われていたようだ。米ソ冷戦時代を背景に、その超常現象を軍事利用しようと、ソ連が送り込んだのがスパルコ大佐(ケイト・ブランシェット)である。大佐はクリスタル・スカルが人間の脳を刺激し、強大な超能力が得られると思っている。しかし、クリスタル・スカルが神殿に戻されたそのとき、待ち続けていた他のスカルと一体化し、つくり出された強大なパワーは嵐のような渦となり、宇宙と宇宙のはざ間への入口、異次元への入口を開く。
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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 2008年6月公開 監督:スティーブン・スピルバーグ 製作:ジョージ・ルーカス 音楽:ジョン・ウィリアムス 出演:ハリソン・フォード、カレン・アレン、ケイト・ブランシェット 【あらすじ】 1957年ネバダ州。米軍基地をソ連軍が襲撃した。ソ連軍を率いるのは、予知能力を持つというスパルコ大佐。彼女は、この基地に保管されている「ロズウェル事件」で収容された遺体を奪おうとしていた。インディ・ジョーンズは、彼女に拉致され、この遺体を見つけることと、それを解明するために連れてこられたのだ。インディ・ジョーンズは、一瞬の隙をついて、敵から脱出する。さー、軽快なテーマ曲にのって、追いつ追われつのノンストップ・アクションが始まる。 |