シドニーオリンピック開幕 | 随筆のページへ トップページへ File−No.000916 |
アトラクションが終わり、200カ国の入場行進が、ギリシャからスタートした。どの国が、どんな衣装で登場するか楽しみである。進行につれ私が選んだベスト国は、まず「ギリシャ」実にスマートであった。「フランス」は、やはりデザインではどこにも負けないぞというセンスの良さが際立つ。「イタリア」は、ベネトンのカラーイメージがなかなか良い。日本選手団の登場を待つうち、子供が「日本も、殻をやぶって着物をデザインしたらいい」といった。妻が「そうね、中森明菜の"デザイア"みたいなデザインならいいかもね…」。そう言えば、小人数の参加国で民族衣装で誇らしく堂々と行進する国も少なくなかった。そして、いよいよ日本選手団の登場となった。な、な、なんと、カラーマントを全員が羽織っているではないか。一瞬を息をのんだ。この演出は、実況担当のアナウンサーも知らなかったようだ。オーストラリアの自然をイメージし、行進全体で一枚の絵に見えるようにデザインしたという。殻を打ち破ろうとするスタッフの意気込みである。
行進においてもう一つ感動的なことがあった。韓国と北朝鮮が「KOREA」として文字通り手をつないで行進したのである。注目された統一旗は白地に青い色で朝鮮半島をかたどっていた。旗手が1つの旗を持ち合い、なびかせると、観客からは大きな拍手が起こった。サマランチ会長らも立ち上がって拍手した。選手たちも握り合った手を大きく上にあげ友好を強調した。オリンピックでは、国境を越え、夢を実現することに大きな意義がある。6月の南北首脳会談では韓国側が北朝鮮側に提案し、実現に注目が集まっていた。和解ムードを演出する政治的な狙いもあるが、大いに統一への意気込みをアピールすることは出来たようだ。
この開会式で世界に向けて表現した強い思いを胸に17日間にわたる熱い戦いが繰り広げられる。選手は国民の期待が大きいだけに、その精神的重圧は計り知れない。ベストを尽くして戦った結果がどんなであれ、その戦いに大きな拍手を送ろう。負けた選手ほど、暖かく迎えてあげたいものである。