文章教室・課題「

ミレー「落穂拾い」
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 妻に誘われて「ミレーとバルビゾン派の画家たち展」に行った。ある作品を、どうしても実物で鑑賞したいという。美術館には、ノート片手の小中学生も多く見られ賑わっていた。私は、絵画について詳しいわけではないが、義兄が、県展に入選したこともあって絵に対する興味は強い。

バルビゾン村に集まった画家たちは、ごくありふれた田舎の風景、フォンテーヌブローの森、農民の生活を題材にした。それまで「背景」でしかなかった「風景」に生命を与え、自然主義風景画の基を築いた。彼らはごく普通の自然やごく普段の生活に「生命力」や「エネルギー」を見出したのである。

その作品の中でもバルビゾン派の先駆けとなったミレーの「落穂拾い」は有名である。この作品は、当時豪農の畑で働く貧しい階層の人々が1割の落穂を拾う権利があったと言う風習にミレーが感銘し永年にわたって描きつづけたものである。そこに存在する生きる厳しさを鋭く観察し、彼独特の思想で昇華し表現している。心打つ作品である。

 みる人に感銘を与える作品には、主張や訴えるものがある。芸術とは、自分の中に沸き上がった情熱を目に見える形で表現した結果なのである。ミレーやバルビゾン派の画家たちの絵を鑑賞していると、彼らがいかに純粋な気持ちで画と向かい合っていたかがよく分かる。だからこそ彼らの存在感が多くの人に支持され、印象派へと引き継がれていったのであろう。

山口県立美術館では「クロード・モネ展」があっている。入場者数は、すでに一万人を超えていると言う。是非行きたいと思っている。

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