吹奏楽の祭典

(第19回国民文化祭・ふくおか2004 一年前イベント)

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先日、福岡サンパレスで「吹奏楽の祭典」があったので行ってきた。この祭典は、来年福岡県で開催される「国民文化祭」の気運を盛り上げようと、一年前イベントと称して開催されたものである。当日は、朝9時から夕方5時まで、27団体が演奏をした。出演団体の内容も、市民楽団、社会人楽団、中学高校大学のクラブとさまざまであったが、特に市民楽団が三分の一を占めていたのは、国文祭を意識したものであろうか。入場は無料で、お目当ての団体が演奏するのを聞きに来る人や、純粋に音楽ファンとして楽しみに来た人たち、それに加え出演者もめいめいの楽器を抱えてロビーを行き来して、にぎやかだった。出演まえにメンバーが集まって、ロビーなどで楽器片手に談笑している姿はなかなかいい。在りし日を思い出して、本当になつかしかった。

なかでも特に私の印象に残ったある市民バンドがある。このバンドは、メンバー30人ほど。常任指揮者の鹿児島への帰省や、メンバーの転勤など市民バンドだからこその苦労が演奏まえにアナウンスされていた。ステージでは、さっきフルートを演奏していた人が、今度はパーカッションに回っているという具合である。メンバーを見ると、ファッションモデルみたいな人がいるかと思えば、小学生ではないかと思われる人、マタニティ服を着た人など服装もまちまちで、いかにも市民バンドの雰囲気である。パンフレットに載っているプロフィールには「ステージ上にあやしい団員を見つけても、演奏にはまったく問題ありませんので、気にしないで下さい」と書いてあった。

この市民バンドのオープニングの曲はスーザのマーチ「ワシントンポスト」だった。最近こういうコンサートでは、マーチをほとんど演奏しないのでちょっとさびしい思いをしていた。久々に聞いてなつかしく胸が躍るおもいだった。指揮者がまたユニークで、躍動の指揮もまた楽しませてくれた。考えてみればこういう市民バンドに参加しているこの人たちこそ、本当に音楽が好きで好きでたまらない人たちなのである。他の市民楽団のプロフィールをみても「音楽好き集団です」「無理せず一生涯吹奏楽を楽しめる楽団をめざしています」「エンジョイブラスをモットーに」と参加している人たちの心が伝わってくるコメントが並んでいる。なかには「練習日に演奏を楽しむのは、もちろんのことですが、本番後の打ち上げを最大の目的?としています」という楽しいバンドもあった。

国民文化祭は、来年10月30日から11月14日まで福岡県の各地でさまざまなイベントが開催される。「ふくおか2004」の基本的な考え方に「古代から外国からの賓客が数多く訪れ、交流することによって、多くの文化がこの地より発信されてきた。本県では、このように古来絶えることなく蓄えられてきた文化的蓄積の上に・・・」とある。「文化」とは、民族や社会の風習・伝統・思考方法・価値観の総称と定義されている。要するに「人間の生活様式の全体」(大辞泉より)である。一年前イベントは、吹奏楽の祭典以外にも、漢詩大会、人形劇、演劇祭、俳句、大茶会、にわかフェスタ、ファッション、舞踊祭などなど県内各地で催されている。まさに人間の活動以外のなにものでもない。
文化交流の要所である福岡県の「とびうめ国文祭」に期待したい。

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