我が家のカレンダー

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2001年へのカウントダウン

File-No.010204

年は変わってついに21世紀を迎えた。百年に一度の貴重な経験である。21世紀を迎えての企画であろうか博物館で、「暦と暮らし展」をしていたので、その歴史に触れてきた。暦の移り変わりとその時代の人が、どういう暦によって、どういう生活をしていたかが分かってなかなか興味深いものがあった。昔は、幕府や政府が出す暦だけだったようだが、戦後発行が自由化されて、今や年末ともなると、タレントものからビジネス用、家庭用に至るまで、さまざまなカレンダーがあふれている。そういう恩恵の波は、我が家にも押し寄せ、今年は例年と違って上質のカレンダーが我が家を飾っている。って訳で我が家のカレンダーについて書いてみた。

「TOPPAN」のカレンダー

このカレンダーは、「凸版印刷」が株主に対してサービスで配布したものである。当然非売品であるから、一般には手に入らない。去年の10月頃であろうか、凸版から、希望を募ってきたので早速希望した。私としては、日本のトップ企業が、それも印刷会社が、株主の恩典として配布するカレンダーとはどんなものであろうか、という期待があった。12月末、カレンダーが届いた。期待通りの立派なものであった。一見しただけでも上質と分かる高級感あふれる厚手の紙を使用している。中央の元宗の絵の周りには丁度、額縁風に枠がエンボスされており更に上質感を出している。そしてメインの絵であるが、奥田元宋の画風は、独特の筆致で霧や雨にけむる風景を描き「潤んだ空気を漂わせる朦朧とした画面」と表現されている。この元宋独特の淡い微妙な色合いを「TOPPAN」の技術の粋を駆使して余すところなく表現している。満足すべき一品である。当然我が家の居間の一番いい場所に飾っている。

「JAS」のカレンダー

このカレンダーは、「日本エアーシステム」の航空機カレンダーで、知人からもらったものである。きっかけは、私のパソコンのスクリーンセーバー(JASのジャンボ機やエアバス機が次々に画面上で飛び去っていくなかなかのもの)を見た知人が「是非自分のパソコンにもインストールしたい」というので、メールでそのソフトを送ってあげたらお礼にくれたものである。この知人は、「JAS」のパイロットやスチュワーデスと親交がある人で、もらったカレンダーも我々では手に入らないしろものである。絵の題材は、第二次大戦以前(1945年以前)に大空を飛び回った飛行機をイラストしたもので、日本の「彗星」やドイツの「メッサーシュミット」(いずれも最大速度が550km/hのプロペラ機)などお馴染みのなつかしい機が描かれている。今の巨大で高速なジェット機とはまた違った趣があり格好良い。このカレンダーは、私の部屋に飾っている。



我社のカレンダー

これは、毎年必ず飾っている。当たり前である。トイレに飾っていると言うと「え〜」と言うかも知れないが、このカレンダーこそ我が家で一番見ているカレンダーなのである。しかし、特別にその存在を意識はしていない空気みたいな存在である。こう言うとなんだか長年連れ添った女房みたいである。デザインは、毎年全く同じ内容で、「ふるさとの玩具」をテーマにしている。各県に古くから伝わる伝統の玩具で、もちろん手作りのものである。毎年「よくこれだけ見つけてくる」と感心している。我社の、あくまでも真面目一方の考えが伝わってくる。「このコンセプトを維持してこそ我社」と言う気持ちと、「ここらで斬新なデザインに変えてみたら」と言う気持ちが交錯する。しかし、斬新さを狙った結果が、「シドニーオリンピックのカラーマント」では困る。「暦と暮らし展」に、昭和40年ころ我社の親会社が作ったカレンダーが飾ってあって驚いた。と同時に、この数十年親会社にして基本的な考えは変わっていないというのも十分わかった。

ここで我社のカレンダー作成コンセプトを書いておこう。

「ニッポンには素晴らしい玩具がある。日々の暮らしのなかから生まれ愛されて育ったものである。人間の、人間らしい願いや祈りが結晶したもの−−−それが郷土玩具である。だから郷土玩具にはふる里がある。優しさがあり、楽しさがあり、楽しさがあり、悲しみさえある。つまり、人と人、風土とのつながりがしっかりとある。心のこもったコミュニケーションを願いつつ“ふる里の玩具”を訪ねてみたい。」


「読売ホームメモ」と「ムービーカレンダー」

これらのカレンダーは、毎月月初めに「読売新聞」に入っている。「ただ」ではあるが、内容は充実している。「読売ホームメモ」は、きわめてローカルなその月のイベントが詳しく載っている。講演会や写真展・クラシックのコンサートから保育園の器楽発表会・博物館や美術館の催し・ローカルな展覧会や体育館のイベント等々事細かに載っている。更に一日ごとに4行ほどのメモが書けるようになっているので、もっぱらこのメモ欄を使ってひと月のスケジュールを管理している。都会と田舎の差は、文化に接する機会の多さにあるように思う。都会とは「ソフト部分の高密度状態を指す」と勝手に定義している。つまり、まず「頭脳」ありき、で「設備」はそれに付随する。せっかく都会に住むのであるから、その恩恵を積極的に享受しよう。今月も、県警音楽隊の演奏会、「消費者契約法」のシンポジューム、「北条時宗」についての講演会などなど予定が目白押しである。
このカレンダーとは別にもう一つ新聞に入ってくるカレンダーがある。福岡ドーム近くにある映画館の「ムービーカレンダー」である。その月の上映映画のスケジュールや映画の簡単な解説はもちろん、映画が安く見れたり、3時間駐車場が無料などいろんなサービスも載っている。おまけに隅の方に切り取り線があって、ポップコーンのサービス券まで付いている。
ただのカレンダーとあなどるなかれ、生かすも殺すも使う人次第の貴重な存在なのである。


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