グッドデザインの50年展 文房具のページへ

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FileNo.070119

福岡アジア美術館で「グッドデザイン賞」創設50年の記念展(福岡展2007/01/18〜01/23)が開かれている。先日の新聞で開催知って楽しみにしていた。今日(1/18)からということで、早速朝一番に行った。グッドデザイン賞は、1957年(昭和32年)通産省によって創設された。「我が国の産業を延ばし、生活の質を向上させるためにはデザインが不可欠」との思いからだそうだ。戦後の食うや食わずの時代からわずか10数年。まだまだ貧しかった時代にして、もう”質の向上”をコンセプトにしたという先見性に驚く。それから50年、「生活の豊かさ」にプラス「心の豊かさ」への貢献という点で、その目的は充分に果たされてきたと言える。この展示を観て改めて思うことは、その時その時に、鋭い感性で作り上げられたデザインは、半世紀の時を超えても、なお輝いているということだ。それは即ち、その物の持つ機能を最大限に引き出す“機能美”だからこそであろう。それともう一つ気づいたことがある。それは、私の年齢が丁度このグッドデザインの歴史にシンクロしていることである。すべてのものがリアルタイムで、目にし、耳にし、使ったものである。ちょっと嬉しくなる。特に文房具は、全部使っている。観て回っていると、これもグッドデザイン賞だったのか、と新しい発見もあって、どれも引き付けられる。午後からは福岡市役所で開催された「持続可能な都市構造を考える」というシンポジュームを聞きに行った。パネリストの澁谷氏(国土交通省)は「顔の見える少人数の取り組みに始まって“都市構造の改革”という大きな流れに・・・」と言っておられた。グッドデザインが“デザイン”によって“質の向上”をはかり、ひいては“生活の豊かさ”という大きな流れになっていったのと、どこか重なるように思える。都市構造もまた、大きな意味で“デザイン”なのかもしれない。

(注)キャプションは、会場の商品個々に記載されていたものです。


1964年 Gファイル  (株)キングジム、D:平野拓夫
近代的な企業経営を背景に、古めかしい「帳簿」からの脱却を目指して開発された事務用ファイル。赤、緑、青、5センチ角のパターンによる背部の見出しは、便利性だけでなくオフィスに明るさをもたらした。


1969年 マックスホッチキスHD-10D  マックス(株)
オフィスの作業、環境にも関心が向けられはじめたことを背景に開発されたステープラー。観やすい針残数、底部に施したリムーバなど、耐久性、操作性を重点にデザインされている。このステープラーの成功により、ホッチキスというブランド名が、この商品の代名詞になった。






1974年 カッター万能 L 型  
オルファ(株)
ハーシーのチョコレートをヒントとして発想されたと言われる「折る刃」式のカッターナイフシリーズの一つ。今では日常生活に欠かせない道具の一つとなり、日本発の国際スタンダード商品へと成長した。


1974年 ボールぺんてる  ぺんてる(株)
世界初の水性ボールペン。水性インクとボールを保持する樹脂チップ使用により滑らかな書き味が特徴。従来の筆記具とは明らかに異なる明快なストレートラインでデザインと書き味の良さによって、あらゆる用途に受け入れられ世界中で使われる商品へと育った。


1974年 事務鋏 アレックスシリーズ
  林刃物(株)、D:ユニデザイン渡辺篤治
ステンレス鋼板をプレスしてつくるという、合理的で画期的な生産方法により開発・デザインされた事務用鋏(はさみ)シリーズ。産地メーカーとデザイン事務所の共同作業が結実した代表例でもある。この商品が事務用の身辺商品にデザインが導入されるきっかけになった。


1979年 電子式卓上計算機  シャープ(株)
表面テクスチャにステンレスを採用し、薄さ1.6ミリの個性的なデザインにまとめた。ステンレスタッチキーの採用とストレージコンピュータ機能付。「軽く、薄く、小さく」を何より目指した当時のデザインの象徴的商品と言える。


1985年 文具セット チームデミ プラス(株)
点を小ケースに納めたアイテムの組み合わせは、ステーショナリーの主な機能である、切る、貼る、綴るなどの役割を果たすものを使用頻度から選ばれた。アイテムそれぞれはもちろん、セットとしての楽しさがデザインされている。





1987年 シャープペンシル SMASH ぺんてる(株)
グリップにラバーと金属を用いたシャープペンシル。部品点数の削減や、グリップ部の組み立て方法の改善が図られている。商品としての熟成度を高め、ロングライフを導いた。


1991年 ノート Campus コクヨ(株)
店頭で選びやすいように、実物大の罫幅や行数、枚数等のデータも正面下部にレイアウト。表紙カラーの選び方やブランドネームの出し方にも配慮が見られる。ユーザーに伝えるべきメッセージをデザイン的に解決している。ゆえに、基準的なロングセラー商品として親しまれてきた。

掲載について・・・→会場におられた関係者の方にお聞きし、個々の商品及びそこに記載してあったキャプションの掲載は、その旨書いて掲載するようご指示いただいたものです。

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