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随筆のページへ 映画のページへ トップページへ File.No.041229 |
「ゴジラ」がスクリーンに登場したのは、1954年のことだった。以来50年、今回の「FINAL WARS」で終わりを告げる。全作品を観てきた訳ではないが、当初のゴジラやモスラを観たものとして、最後も見とどけなくてはと映画館へ足を運んだ。パンフレットには「半世紀28作目。トータル動員1億人突破に向けたファイナルカウントダウン」と書かれている。1億人という数字が、ゴジラの人気を物語る。人気は日本だけではない。先日の新聞に「米ハリウッドで、ゴジラ殿堂入り」と報道されていた。“GODZILLA”と書かれたプレートが、コダック・シアター近くの一等地に埋め込まれたそうだ。世界50カ国で公開され400億の外貨を稼いだという。“ぬいぐるみ”という全く新しい発想、今観てもリアルさを感じさせる特撮、そして人間を圧倒するあの強さが世界的なヒーローを生んだ。今回の「FINAL WARS」の冒頭には「本多猪四郎、円谷英二に捧ぐ」と映し出される。
轟天号によってゴジラが南極のエリアGに封じ込められるところから始まる。前半スクリーンでは、X星人の操る怪獣が世界中で暴れまわる。激しい画面の切り替えとCGのすごさに驚く。いかにも新進気鋭の監督の作品である。ファミコンやゲームで育った今の若い人たちにとって、このスピード感は普通なのかもしれない。しかし一方では、この映画に出てくる「地球防衛軍」という名前になつかしさもあった。1957年に「ゴジラ」のスタッフが作った映画である。50年の時の流れで技術は高度化したものの、「宇宙大戦争」「地球防衛軍」といった
かっての発想は変えていないようだ。この作品で特徴的なのがミュータントで組織するM機関である。強靭な身体能力を持ち、激しい戦闘訓練を経て怪獣に対戦する。監督は「人間と怪獣の対峙の仕方を変えることで、かってのゴジラ映画の勢いを取り戻したい」と言っている。とは言うものの、冒頭の南極のシーンから約1時間、主役のゴジラが現れないのはちょっとさびしい。
福岡在住としては「ゴジラ対スペースゴジラ」は見逃せない。ゴジラが九州を縦断し、福岡が最終決戦地となる作品である。鹿児島に上陸し桜島、熊本城、別府と九州を上って行く。縦断と言うには、別府はだいぶん方向が違うが観光地めぐりで仕方ないだろう。福岡市内に入ると、アクロスから天神、大濠公園を経て、最終地の百地浜へ着く。ストーリーの要になるのが「福岡タワー」である。スペースゴジラがエネルギー源として福岡タワーから宇宙エネルギーを取り込むという設定になっている。という訳でゴジラとスペースゴジラがこのタワーをめぐって激しいバトルを展開する。ところでこの“スペースゴジラ”がどうして生まれたかが面白い。宇宙へ飛び出したゴジラのG細胞が、ブラックホールに飲み込まれ、ホワイトホールから放出される急速な進化の中で結晶生物を取り込み、更に恒星の爆発による超高エネルギーを浴び、凶悪な部分だけが成長した怪獣という。脱帽。
第一作は960万人を動員したそうだ。なぜこんなにもゴジラが受け入れられたのだろうか。先にも書いたように“強さ”とそれをリアルに見せてくれる“特撮”という要素は確かに大きい。だが、それだけではないようだ。当時「バカヤロー解散」などで揺れた議事堂を壊すシーンでは、期せずして拍手が起きたという。観ている人は、巨大なゴジラが圧倒的な力で、自分の心の中に渦巻く何かを破壊してくれるところに、快感を覚えているのである。力道山が空手チョップでやっつけるシーンを、街頭テレビで熱く応援していたのに通じるものがある。破壊する対象は、観る人によってさまざまである。ただ私は逆に、ありとあらゆる人間の武器で集中砲火を受けているゴジラの咆哮が、なぜか悲しく聞こえた。文化面における55年体制の中で生きてきた私はもうすぐ“定”年を迎える。まさにその時代にシンクロしたゴジラも「FINAL WARS」で“停”年を迎えた。
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STORY | |
監督:北村 龍平 出演:松岡 昌宏、菊川 怜、水野 真紀 |
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今地球上で最も強い怪獣ゴジラは、人類によって南極の氷のそこに眠らされている。そんな中、北海道沖で未知の怪獣が引揚げられた。この調査のために生物学者音無美雪(菊川怜)と、その警護に地球防衛軍M機関の兵士尾崎真一(松岡昌宏)が派遣される。この未知の生命体は怪獣と機械と生物の融合体で、およそ12000年前のものだった。この怪獣はガイガンと言い、甦れば地球を破滅させるほどの危険な怪獣である。その前兆なのか世界中でラドン、アンギラスなどの怪獣が現れ破壊を始める。特殊な身体能力を持つミュータントによって組織された地球防衛軍のM機関が出動する。ところが、突然現れたX星人のUFOによって暴れる怪獣たちは一瞬にして姿を消す。更にX星人は妖星ゴラスが、地球を直撃する危険を知らせる。人類は、X星人を大いに歓迎する。その中にあって、疑いを持つキャスターの音無杏奈(水野真紀)は、インタビューでその化けの皮をはがす。はたしてX星人の本当の目的は・・・?。そしてゴジラは、人類を守る最終兵器となる。 |
2004年のニュースを私的にピックアップしてみました |
*振り込め詐欺被害の増加:10月迄の被害2万830件222億円 |
*インド洋大津波→津波として史上最大の惨事 |
*震度7の新潟県中越地震 |
*台風が最多の10個上陸 |
*米大リーグで、ゴジラ松井・イチローが活躍 |
*アテネオリンピックでメダル37個の活躍 |
*福岡ソフトバンクホークス誕生 |
*プロ野球選手会初めてのストライキ |
*ブッシュ大統領再選 |
*イラク邦人の殺害・拉致 |
平成18年(2006)2月9日 西日本新聞 |
映画「ゴジラ」の作曲家・伊福部昭さん死去 |
映画「ゴジラ」「ビルマの竪琴」などの音楽を手掛けた文化功労者で、作曲家の伊福部昭(いふくべ・あきら)氏が8日夜、多臓器不全のため東京都内の病院で亡くなった。91歳。北海道出身。北海道大卒。 独学で作曲をマスターし、1950年代から「原爆の子」(52年)「ゴジラ」(54年)などの話題作の音楽を担当。「ゴジラ」テーマ曲は、怪獣の恐ろしさを表現して外国映画にも大きな影響を与えた。ほかに「ビルマの竪琴」(56年)や「大魔人」(66年)シリーズなどが代表作。 76年から87年まで東京音楽大学長を務めた。2003年に文化功労者に選ばれた。 |