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FileNo.021020

最近入ってきた情報の中で、私が気になったキーワードがある。それは「遺伝子DNA」だ。
このところメディアは連日、北朝鮮に拉致された被害者5人の一時帰国を報道している。しかし、この感動的なシーンの裏に、既に死亡と発表された8人の人がいることが悲しい。その中の一人、横田さんの娘さんとされる少女について「DNA鑑定で横田さんの娘さんにほぼ間違いないという結果が出た」という記事が出ていた。横田さんの父、滋さんは会見で「提出しているへその緒の鑑定で最終的に断定されるのを待ちたい」と語った。
しかし、判明したとしても、どうあることが彼女にとってよいことなのか、他人には分からない。平穏で幸せな彼女の一生を望むばかりである。

先日、私は「縄文時代の技術」という講座を聞きに行った。そのなかで、青森県の三内丸山遺跡の「栗」について「DNA鑑定」の結果、やはり栽培された栗であるとのことだった。4千年〜5千年も昔の栗のDNA鑑定で、正しい歴史が明かされる。また、数日前の新聞には「再クローン牛に子牛」という記事が出ていた。この記事にある「体細胞再クローン牛」とはなんぞや。新聞の解説を見ると「遺伝子情報をもつ細胞核を取り除いた雌の卵子に、優れた遺伝子を持つ牛の体細胞から核移植を行い、同一の遺伝的形質を持ったクローン牛を雌牛の子宮を借りて誕生させる。このクローン牛から同様の方法で生まれたのが再クローン牛」とあったが解説を読んでも混乱しそうな内容だ。ともあれ、生命が自由に操作されていることだけは分かる。

21世紀は「生命科学の世紀」と言われる。地球上の全ての生物が、この遺伝子情報DNAで構成されている。人間の遺伝子ヒトゲノムも、驚くべき現代の科学技術で解析された。政府の科学技術予算も、重点的なものとして@生命科学A情報通信B環境Cナノテクノロジーが掲げられている。分子・原子レベルの技術ナノテクノロジーが、生命科学の分野にも大きく貢献している。横田さんのDNA鑑定や三内丸山遺跡の栗のDNA鑑定などは、大いにその技術を生かしてほしい分野である。「アルツハイマー病」など脳の病気を克服できる日も近いという。

研究や学問というものは純粋な研究心の反対側に、成果や功績というものがついて回る。あの人が発掘すると必ず新事実が出るなどというインチキ研究者の事件もあった。考古学が、ねばならないという窮屈な呪縛に縛られて、邪馬台国近畿説を唱えるなんてこともある。生命科学の進歩においては、研究や技術におぼれるような事があってはならない。
「人間の尊厳」という見地から大所高所からの正しい判断の裏付けが必要である。「人間」と「チンパンジー」の遺伝子の違いは、わずか1.2%という。しかしこの1.2%に人間の人間たるところがある。いくら科学が進歩しようとも「人間らしさ」を侵す領域に踏み込んではならない。



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