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FileNo.040307
このところ私の住む地区には、来年二月に開通する地下鉄七隈線の客をターゲットに、大型店が続々とオープンしている。昨日も大型ディスカウントストアのオープンで、新聞に巾1bもあるような“どでかい”チラシが入っていた。そのチラシに「オープン記念・日替わり奉仕品」として、二日目の今日土曜日に「電波時計・70%引・限定40本」と出ていた。実売価格がいくら位か分からないが、相当に安く買えることは間違いない。ここ数年前から、この次に腕時計を買う時はぜひ電波時計にしようと、きっかけ待ち状態だった。という訳で今日開店時刻に合わせて行ったが、予想通り店内は騒乱状態になっていた。40本限定商品だったが、さいわい手に入れることが出来た。対象商品にはアナログ表示とデジタル表示の2種類があったが、太陽電池で充電する電波時計という先進のテクノロジーなのだからと、迷うことなく「デジタル表示」を買ってきた。

電波時計というのは、送信所から送られてくる標準電波を時計が受信し、時刻を修正し正しく表示する時計、つまり「時刻自動修正付時計」である。電波時計は10年ほど前からあったが、2年ほど前に佐賀県と福岡県の県境にある“はがね山”に送信所が出来て、九州全体がカバーされたことで買ってみようという気になった。今回購入した時計は、福島局の40KHzと九州局60KHzを自動的に切り替えて受信する。日本全国カバーするのはもちろんだが、アメリカの電波にも対応している。たとえば“ニューヨーク”を設定するとアメリカの標準電波を3000kmの範囲で受信するそうだ。ひょっとして、定年後にニューヨークに旅行など出来れば、気分的にうれしい機能、なんてことも考えたりする。内臓しているカレンダーは2039年12月31日まである。あと36年あるから、平均寿命をはるかに超えて、私には時計など必要なくなってしまっているかもしれない。

デジタル時計と言えば、もう25〜26年前にも買ったことがある。当時、デジタル時計の出始めでその斬新なデザインや機能が気に入って、かなりの間使っていた。忘れもしない、そのデジタル時計を買ったときにもらった抽選券で「徳之島旅行」を当てて日見子は旅行を楽しんできた。その後、時計も大きく様変わりした。1000円の時計でも、その機能に大した遜色もなく、ファッションの一部としてデザインも豊富になった。昔は、時計といえばスイス製というイメージだったが、技術進歩のなせる技だろう。現在は、ファッショナブルで安価なものと、かなり高額なものの両極端になっているようだ。本屋で見かける時計の雑誌も何種類もあり、数十万、数百万といった私などには全く無縁の時計が掲載されている。正確には覚えていないが「服を着替えるように、どうして時計も着替えないの」というようなCMもあった。時計に対する感覚も変わってきた。

“先進のテクノロジーだから「デジタル表示」にした”と私は冒頭に書いた。イメージとしては、「デジタル=先進」「アナログ=時代遅れ」というイメージがある。今や、世の中は何もかもデジタル化の方向だ。昔の音楽レコードは、あっと言う間にCDに駆逐された。カメラはデジカメになり、音楽テープはMDに、ビデオはDVDになりつつある。最近では、放送もデジタル化が進められ、将来は完全にデジタル放送に切り替わる。私など、このインターネットも含めて、どっぷり先進の技術の恩恵を被っている。そして今日、また一つ「電波時計」という電池交換も要らない、時刻の修正も要らないというハイテクを手に入れた。誤差は10万年に1秒。私の左腕には、その存在を主張するかのように先進の技術が燦然と輝いている。だが、こういう風にすべてがハイテクで処理されると、“右脳に働きかける人間味あふれる「アナログ」の世界の良さも忘れてはいけない”と戒めの声が聞こえてきそうだ


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