雨音はショパンの調べ 随筆のページへ

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File No.050702

朝ベッドの中でフッと気付くと、何だか「雨」が降っている様子である。間違いない「待望の雨だ!」っと飛び起きた。本格的な雨は何日ぶりだろうか。福岡地方は6月10日に梅雨入りしたものの、6月の降雨量は15ミリと過去最少を記録した。先月27日に発表された県内主要17ダムの平均貯水率は、早くも50%を下回った。そんな中の雨である。これぞ「雨音はショパンの調べ」という訳で、窓を大きく開け、テレビもラジオも付けず、しばし雨の音を楽しんだ。早朝、我が家はまだ活動を始める前で静かだ。新聞に目を通しながら、雨音だけが耳に入ってくる。ところが、だんだん雨が激しくなってきた。雷まで鳴って、まるでカスケーズの「悲しき雨音」状態になってきた。降るとなったら、今度は一気に「大雨警報」「雷・洪水注意報」である。だが、とりあえず降ってくれるのは有難い。佐世保市では、市内の約11万世帯を対象に、減圧方式の給水制限が始まった。

この先一週間の天気予報では、おおむね「曇り」「時々雨」程度で、あまり期待できそうにない。一級河川のない福岡の水事情は大変である。ダムや、市内を流れる川、筑後川などからの受水でまかなっているが、過去深刻な水不足に何度か見舞われている。そんな経験から福岡市民は、節水を普段から心がけているようで、一日一人当たりの水使用料は、全国平均に比べ2割程度低いそうだ。先日、清瀧ダム建設計画が中止になったが、どうもその裏には、福岡都市圏の水道水需要が、ダム計画当初よりかなり低かったことがあるようだ。莫大な金と、永い年月をかけてダムを造るより、近隣からの水を融通してもらう方が、はるかに現実的である。しかし節水は永遠のテーマで、福岡市は7月1日からは民家の雨水貯留タンク設置に対し助成金を出す。確かに植木類への水をはじめ、生活の中で雨水で十分なものも多い。雨水の利用の動きは全国的なものでもある。

福岡市民の節水意識は高いことは先に書いた通りだが、我が家の水の使用状況はどうなのか。日見子に聞いたら、すぐに答えが返ってきた。どうも我が家は全国平均くらいのようだ。と言うことは大いに節水を心がけなければならない訳である。家庭で一日に使う水の4分の1が風呂で使われる。転勤々々で転々としたので、福岡の節水意識が身についていないとはいうものの、風呂に入る時は、貯めるお湯は最小限にし、洗うお湯はすべて浴槽の湯にしている。風呂にお湯を貯めるときは、必ずタイマーをセットしているので、入れ過ぎたことはほとんどない。水不足になったときから、シャワーで済ますなど、これでも一応節水には気を使っているつもりだ。風呂の次に多いのは、トイレの水である。家庭の水の20%を占めているそうだ。節水について調べてみると“トイレのタンクに水の入ったビンを入れると節水できる”などまだまだいろいろありそうだ。

成人の身体の60%が水である。赤ちゃんの時は80%が水分で、年と共に減ってきて大体60%で落ち着く。さらに、血液の83%は水である。人間にとって水は体内の循環を整えるのに不可欠である。私は一日2リットルくらいは取るようにしている。地球は「水の惑星」と言われている。その水は、変化をしながら海や湖、川や地下水、雲や空気中など、さまざまなところを循環している。その水の97%が海にあるという。福岡では「海の中道奈多海水淡水化センター」というのがあって、海水から一日3万トンの真水を生産している。この水不足で5万トンまで増やすそうだ。生命の誕生は海からであることは「人体」「羊水」「海水」それぞれが、ほとんど同じ成分であることからも分る。つまり赤ちゃんは、海水とほぼ同じ成分の 羊水の中で成長するのである。それなのに、どうして海の水を飲めないのかが不思議だ。目の前に生命を誕生させ、育ててくれた大量の水があるというのに「深刻な水不足」なのである。

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「わの会」の会員証をフル活用して、福岡アジア美術館の「大アンコールワット展」に行ってきた。栄華を極めたクメール王朝の美の数々。すばらしかった。ところで「ガルーダ・インドネシア航空」というのがある。この「ガルーダ」というのは、太陽神、維持の神「ヴィシュヌ神」の乗り物だそうだ。体は人間、頭・くちばし・翼・爪は鷲の形をしている。金色の羽を持ち、天界を巡る太陽にその起源があるという。更に、ヴィシュヌ神とシヴァ神最大の敵が「アスラ(阿修羅)」で「怒り」を表した悪神だそうだ。(050703)


平成18(2006)年2月16日 西日本新聞(ワードBOXより)
福北導水
福岡市都市圏の大渇水対策として2002年、福岡県、福岡、北九州両市の首長が構想具体化の検討に合意。ところが、水の需給バランスが取れていることなどを理由に、福岡都市圏側との競技が難航。昨年3月の福岡沖地震を機に、緊急時に水を融通する新たな導水構想が浮上し、昨年6月、県、両市のトップ会談で06年度の事業着手を決めた。計画では、遠賀川で取った水を北九州市の浄水場でろ過し、約50キロ離れた福岡市東区の配水池まで、日量で最大50000トンを送水する。