日本版 401K
確定拠出年金

随筆のページへ

トップページへ

file-No. 021124


わが社も「確定拠出型年金」がスタートした。定年後の年金を自己責任で運用するすることになる。従来型の企業年金はバブル崩壊後、低金利・株安などで企業の年金積立てが予定を大幅に下回り、巨額の積み立て不足が生じた。将来の年金額を約束している従来型は、積み立て不足が生じると企業が穴埋めしなければならない。しかし、年金額を約束していない確定拠出年金は、企業のリスクはないのである。


日本経済は物価下落と不況が同時に進むデフレスパイラルに陥っている。日本ばかりではない、米国・欧州でもその懸念は広がりを見せている。米国を代表する企業であるエンロンやワールドコムが行き詰まる時代である。この荒波のなか、右も左も分からない素人に、「さー自己責任で運用しなさい」と言うのである。「企業が運用してうまくいかなかったことを、個人に押し付けて“あとは知らない”はないでしょう」とグチの一つも言いたくなる。しかし、会社が制度の導入を決めたのだから、好むと好まざるとにかかわらず、我々は老後の生活をかけ自己責任で運用せざるを得ない。


金融商品は、安全なものから、ハイリスク・ハイリターンなものまで、選択肢はいろいろ用意してある。それぞれ、その人の状況や考え方によって運用方法は当然変わる。詳しい前提条件の説明は省くが、あるシュミレーションでは、「すべて国内株式で運用した場合」と「すべて元本保証商品で運用した場合」、前者のうまくいった場合が約5700万円、後者のうまくいった場合が約1000万円と大きな開きが生じる。素人が運用するのだからうまく行かない可能性は大である。ハイリスク商品なら、すべてなくすことだってありうる。


具体的にどうするのか。私は、ハイリスク・ハイリターンの「国内株式」を選択しようと思っている。この投資信託の内容を簡単に説明しておこう。まず自分の資金で「ベビーファンド」に投資する。このベビーファンドの資金をまとめて「マザーファンド」として証券会社が運用する。このファンドのベンチマークはTOPIXであり、ベンチマークの動きに連動した収益率を目指している。ところが注意書きには、「ベンチマークを上回る運用成果を目指すものではない」と書いてある。株式のプロが運用してTOPIXと同じなのかと疑問がわくが、プロ同士がしのぎを削る世界であるから、一瞬勝ちぬけても、即座に市場は反応して結局は全体の動きになるから仕方ないのかもしれない。


さて実際の運用は、株の売買と大差はない。「ベビーファンド」という銘柄の株式を、その時点の価格で購入する。値上がりしたら利益確定で売却するという感覚である。ただ、株式と違うのは、指し値が出来ない。当日の終値が購入額であり、売却額である。インターネットで毎日値動きは知る事が出来る。またどういう銘柄に投資しているのかも上位10社だけだが公表している。ただ、私の経験から言わしてもらえば、素人が頻繁に売り買いを繰り返せば必ず失敗する。ハイリスク・ハイリターン商品とはいえ、老後の大切な資金である。景気の悪い時に買って、好景気の時に売却するような、スパンの永い循環買いの感覚で取り組むのが良いように思う。そういう意味では、今がチャンスかもしれない。



随筆のページへ トップページへ


2012・11・30 401K運用状況
確定拠出年金の運用開始から丁度10年が経過した。この間の運用実績は次の通りである。
運用利回り
初回入金来; 年9.87%
直近1年; 年7.69%
尚、運用は「国内株式インデックス」を主力に投資した。通常は「定期預金」に置いて、ベンチマークのTOPIXの波を見ながら、スイッチングを繰り返す方法で運用した。