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随筆のページへ 映画のページへ トップページへ FileNo.061217 |
新作「カジノ・ロワイヤル」は、1962年「007は殺しの番号」から数えて21作目。と言ってもイアン・フレミングの原作では第一作である。“00(ダブルオー)”ボンドがいかに誕生し、その後のボンドを形成するに至ったかを描く。そういう意味で、今回は原点に立ち返った007を見せてくれる。ブロズナンのボンドが、原作から離れていたことも考えれば、今回の6代目新ボンドの誕生は必然だったのかもしれない。ダニエル・クレイグは、今までのボンドとかなりイメージが違っている。賛否両論分かれるところではあるが、「人間ボンド」「新人ダブルオー」を描くという事情もある。「カジノ・ロワイヤル」と言えば、1967年に一度映画化されている。だがこの映画は、原作をはなはだしく逸脱したパロディ版だった。アルバート・R・ブロッコリーとハリー・サルツマンがこの一本だけ映画化権が取れなかった故のことだが、満を持してイオン・プロによる007の登場である。
ボンドは殺しのライセンスと呼ばれる“00(ダブルオー)”に登用されようとしていた。昇格の条件は“2件の殺し”。秀でた能力を持つボンドは、あざやかにこの任務をやってのける。ボンドの“ダブルオー”としての最初の任務は、テロリストの資金源を突き止め、断つことだ。マダガスカルに飛んだボンドは、手がかりになる男を追跡し射殺する。これがダニエル・クレイグ新ボンドによる、すさまじいまでのアクションのお披露目である。男の携帯電話に残されたメッセージを追ってバハマへ飛ぶボンド。スカイフリート社の最新航空機発表を前に、同社株式の空売りと、航空機爆破による株価暴落で巨額の利益を目論むディミトリオスを突き止める。航空機爆破は阻止したものの、目指す男はディミトリオスはではなかった。謎の男はル・シッフル。いよいよ“カジノ・ロワイヤル”でテロリストの資金源を断つための、1500万ドルを賭けた緊迫のゲームが始まる。
今回のボンドカーは「アストンマーチンDBS」だ。その昔、「女王陛下の007」で登場したDBSの最新型である。これに加えて、「DB5」も登場する。ディミトリオスが足りない資金に自分の愛車「DB5」を上乗せしボンドと勝負する。当然ボンドのものになる。今年1月には、実際にボンドカーとして、007映画で使われた「65年式DB5クーペ」がアメリカで競売にかけられ、2億円で落札された。DB5の人気は今だ衰えを知らない。拳銃は、今回も「ワルサーP99」である。車・拳銃ほかに携帯電話が重要な役割を果たす。これは「ソニー・エリクソンM600」というまだ発売されていないモデルだそうだ。パソコンも「VAIO」を使っていた。ディミトリオスが爆破を謀った最新鋭航空機「スカイフリートS570」は、一見B747(ボーイング)とA380(エアバス)を足したように見える。この映画は共同制作になっているが、“アメリカ”と“イギリス・ドイツ”が入っているのでこうなったのかもしれない。
今現実の世界が注目するニュースがある。ロシアの元FSB中佐リトビネンコ氏暗殺事件である。イギリスの“MI−5”と“MI−6”が動いている。リトビネンコ氏の体内からは、致死量の100倍という多量の放射性物質ポロニュームが検出された。露の組織“尊厳と名誉”や“FSB(前身はKGB)”関与説がささやかれている。MI−6が、国家の威信をかけて挑む事件だ。現実のエージェントが、華やかさなどとは無縁の活動をしていることだろう。だが、映画は違う。ヴェスパー・リンドみたいな、とびっきりの美人のお目付け役が送り込まれたりする。従来の007らしいシーンも最後に用意されていた。ボンドに足を打ち抜かれ、のた打ち回る黒幕「誰だ。お前は」。スーツ姿にマシンガンのボンド「名前はボンド。ジェームズ・ボンド」。エンドロールとともに「007のテーマ」曲が館内に響き渡る。ここに我らが“ジェームズ・ボンド誕生”の演出がにくい。
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STORY |
監督:マーティン・キャンベル 出演:ダニエル・クレイグ、 エヴァ・グリーン |
ボンドは殺しのライセンスと呼ばれる“00(ダブルオー)”に登用されようとしていた。昇格の条件は“2件の殺し”。秀でた能力を持つボンドは、あざやかにこの任務をやってのける。ボンドの“ダブルオー”としての最初の任務は、テロリストの資金源を突き止め、断つことだ。マダガスカルに飛んだボンドは、手がかりになる男を追跡し射殺する。男の携帯電話に残されたメッセージを追ってバハマへ飛ぶボンド。スカイフリート社の最新航空機発表を前に、同社株式の空売りと、航空機爆破による株価暴落で巨額の利益を目論むディミトリオスを突き止める。航空機爆破は阻止したものの、目指す男はディミトリオスはではなかった。謎の男はル・シッフル。いよいよ“カジノ・ロワイヤル”でテロリストの資金源を断つための、1500万ドルを賭けた緊迫のゲームが始まる。 |
アストンマーチンDBS |
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SCREEN 2007年2月号 創刊60周年記念特別号 ありがとう、60周年!!の特別号。付録に「オールタイム人気スター100スペシャル・ポートレート・ブック」と「2007年カレンダー」が付いている。人気スター100では、女優トップがオードリ・ヘプバーン、男優はアラン・ドロン。ニコール・キッドマンとショーン・コネリーはともに31位。そのほか我々世代にも懐かしいところでは、アン・マーグレット21位、ヘンリー・フォンダ24位,ジェームズ・スチュアート28位などが顔を揃えている。このほか、本編の特集として「表紙でたどるSCREEN60年の歴史」も貴重な保存版だ。 |
1972年1月号「シネ・ストーリー」 「007/ダイヤモンドは永遠に」の公開に先がけ、“決定版007シリーズのすべて”という特集が組まれている。イアン・フレミングや、ボンドガール、レギュラーメンバーについての記事に加え、「007は殺しの番号」から「女王陛下の007」までの作品を掲載している。更に、7ページにわたって最新作の「ダイヤモンドは永遠に」のストーリーなども特集されている。 前作のジョージ・レーゼンビーから、ショーン・コネリーのボンド復活で力が入っている。 |
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