“夢”と命名
ソ連宇宙ロケット

太陽の十番目の惑星へ

昭和34年1月


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file-No. 040530

無線連絡絶える・・・地球から59万7千`で

【モスクワ五日発ロイター・共同】ソ連の宇宙科学者アレクサンドル・カザンチェク教授は五日のプラウダ紙上で、ソ連が二日打上げた宇宙ロケットを“夢”と命名、さらにつぎのように述べた。宇宙ロケット“夢”は太陽の第十番目の惑星になろう。科学者たちは将来大気圏に妨げられることなく、宇宙の神秘を解くための宇宙船で研究を行うことになろう。また科学者はエネルギーの変化を観察し、つきの表面から取出した土を手に取り、月の活火山を研究することができるようになるだろう。

なおソ連科学アカデミーのスポークスマンは同日「“夢”という名はカザンチェク教授がつけた詩的な名称であって、科学アカデミーとして正式な名称をつけるかどうかまだ決めていない」と言明した。

【ACH・共同】五日のモスクワ放送によれば、ソ連のタス通信は同日、宇宙ロケットの運行状況につきつぎのように発表した。

一、      五日ロケットから入ってくる無線通信は著しく弱くなった。電源の枯渇に伴ないロケットとの確実な無線連絡はモスクワ時間五日午前十時前後に中絶した。
一、     宇宙ロケットは発射の瞬間から五日午前十時まで六十二時間に地球から五十九万七千`遠ざかった。
一、    計画に従って六十二時間の間ロケットと地球の交信が行われ、ロケットの運行を観測でき、またロケットにある科学観測器具の作業にかんする情報が得られた。宇宙ロケット観測計画、科学調査計画は完了した。
一、   宇宙ロケットは七日か八日ごろ人工惑星の定期的軌道に乗る。人工惑星の軌道は地球と火星の軌道との間にある。人口惑星と火星の軌道との間の最短距離は約千五百万`で、これは火星が最も地坪に近づいた時の距離の約四分の一である。

九月、金星と火星に上陸
ソ連教授語る・・・宇宙船乗船者も決まる

【ケープタウン八日発AP・共同】ケープタウンの週刊誌“ランドシステム”が八日報道したところによると、ソ連アカデミー会員ブラゴヌラボス教授は、同誌のロンドン特派員が行った電話インタビューに応じ、ことしのソ連の宇宙探求計画についてつぎのように述べた。

 一、スプートニクは宇宙ロケットの道を切り開いた。つぎの段階は科学者をロケットに乗せ少なくとも六百四十`の上空に打上げることである。このロケットは今回の宇宙ロケットと全く同型のものとなろう。
 一、ロケットに乗った科学者はロケットをコントロールでき水と錠剤の食料を供給されよう。具合が悪くなって地上に帰還不能となった場合、乗員は無線で地上に帰りたいと連絡ができる。
 一、われわれは六月に金星と火星に惑星ロケットを上陸させる予定である。また九月に人間を金星と火星に上陸させるだろう。今回のソ連宇宙ロケットの経験からわれわれはこれになんの困難も感じていない。
 一、最初に宇宙船に乗組む人間に選ぼれたのは身長一八八a体重八十一`半のイワン・イゴルスキーと呼ばれる三十歳の独身青年である。
 一、われわれは金星と火星上に新しいソ導邦を建設する考えである。もし月の上での生存が可能であれば、われわれは本年の末までに選り抜きの科学者を一人月に送り、地上に帰らせたい。最初の宇宙旅行者が帰還する場所は確信できないが、ソ連かアフリカになるだろう。

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