快いサウンドを創り出すサックス群のユニゾン・コーラスをフィーチュアした大ヒット曲「浪路はるかに」をひっさげ、颯爽と日本のポピュラー界へデビューしたビリー・ヴォーン楽団でしたが、僅かここ数年の間にすっかり大スターの貫禄と実力を備えた人気者に成長して、ポピュラー界をリードする存在にまでなっております。
ビリー・ヴォーンのキャリアについては、既に発売された多くのアルバム等で語りつくされており、皆様もよく御存知の事と思いますので、ここでは省略させて戴きます。この「ビリー・ヴォーン・ベスト4」は、ヒット曲の大量生産で知られるビリー・ヴォーンと彼の楽団が、そのレパートリーの中でも特に人気の高い「真珠貝の歌」「浪路はるかに」「メキシコの真珠」「峠の幌馬車」の4曲をピック・アップして収めたもので、文字通り彼等の最高傑作と云われる曲ばかりです。
■真珠貝の歌
数多いビリー・ヴォーン楽団のレパートリーの中でも、最近もっともセンセインョナルなヒットをみせている曲です。かなり以前からマーティン・デニーやアーサー・ライマン等のいわゆるエキゾティック・サウンズ・グループによって演奏されていましたが、このビリー・ヴォーン盤が決定打となったようです。原曲は有名な真珠湾があるオアフ島民謡でPO PO O EWA(エワの貝)でハワイアンの大卸所・ウェブリー・エドワーズとL.ポバーが採譜し改作したものと云われております。昨年のヒット・パレード上位にランクされたジャック・ジョーンズの「月影はるかに」とも同曲です。映画ファンのあなたはジョン・ウェインが主演した「ドノバン珊瑚礁」にも使われていたのを憶えておいででしょう。
■波路はるかに
云わずと知れたビリー・ヴォーン楽団最大のヒット・ナンバーです。1937年に出版されたこのスタンダード・ナンバーは、ビリー・ヴォーンによってロッカ・フラ・スタイルに編曲され、華やかなリヴァイヴァル登場を果し、これによってビリー・ヴォーン楽団は現在の人気と地位を確立したと云えましょう。ハリイ・トビアス(詞)、パーシイ・ウエンリ ッチ(曲)のコンビが書いた曲です。この演奏も既になつかしいものゝ部類に入ってしまいました。まさに不朽のエヴァ・グリーンと呼ぶにふさわしい曲です。
■メキシコの真珠
「真珠貝の歌」に続いて放ったビリー・ヴォーンの最新ヒット・チューン。発表以来ほんのわずかな期間に、早くもリクエストが殺到しているものです。「真珠貝の歌」もファンタステイックな魅力をたゝえた佳曲ですが、同じビリー・ヴォーンの「真珠貝シリーズ第2弾」のこれも、スイートでノスタルジックな名曲です。ランディ/ミコラスが書いた傑作です。
■峠の幌馬車
軽快なテンポで演奏きれるこの曲は、他の前述した3曲同様にヒット・パレード上位を賑わしたインストルメンタル・ナンバー。トーレス/ステファンスのコンビが書いたこのアップ・テンポの曲を一糸乱れぬ冴えたオーケストレーションで聴かせるビリー・ヴォーン楽団は、さすが当代人気ナンバー・ワンのチームの名に恥じない好プレイです。